Poem & Essay





夜の浜辺




(あま)の五百重(いほえ)の白波が
うち返しまた寄せては返す
その潮騒に
そつと耳を澄ませてゐるのは
誰でせう

(そら)わたる月の御船(みふね)の揺るゝみゆ
雲の波間に漕ぐをわすれて


波花が
浜の砂子
(すなご)にこゝかしこ
白く咲きむれてはかつ果て
戯れては消えゆく
その秘けさにふるえてゐるのは
誰でせう

天の川おつる泪の星あかり
息さへひそめ千夜にまたゝく