Poem & Essay
光の糸
肩の力を抜き
ゆっくりと歩く
風を頬に辷(すべ)らせ
手のひらに転(まろ)ばせながら
空あおぐ瞳にはきよらな青を游(およ)がせ
道端(みちはた)の草花に微笑みかけては
生命(いのち)をひとつに融かして悦んでいる
そんな自分を尊く思い、愛(いと)おしみ
ありがたい、ありがたい
とひとり頷きながら
ゆっくりと歩く
いっぽ、いっぽ
深いあゆみを歩く
そうすると
一本の見えない糸が頭頂(てっぺん)に降りてきて
天からぶら下がっているかのよう
からだは軽(かろ)く伸びやかに
こころは大きく広やかに
ただただ感謝の想いに充たされる
その一本の糸は
天と地をつなぐひとすじの糸
光の糸
ああ、わたしは
天に釣られて歩く
想いはその糸の端(はた)
神の大慈悲(みこころ)に
澄みて消えゆく