Poem & Essay






光の落葉よ



冬枯れの空
野辺
(のべ)の道
風に散りまた飄える
落ち葉 野
(の)も狭(せ)
季節はいよいよ神さびて
底ふかい生命
(いのち)の神秘に沈む
夏の日の濃い緑も
いまは朽ち果てた土色
やがて姿
(かた)もなく大地に還(かえ)

人はそのさまに
そこはかとないあわれを感じるけれど
落ち葉は語っている
生命のゆくえを
生命のさまを
落ち葉は
本当は悦んでいるのだ
風に身をまかせながら
最期のときを
うれしたのしと光り踊っている
(すさ)ぶ木枯らしにさえ歓喜している
あゝ新しい生命を栄えなすこと
それが落ち葉の無上の悦びなのだ

落ち葉よ
尊い落ち葉よ
やがてきたる黎明の春
あなたはきっと
花を咲かせる
樹木
(きぎ)の実と生(な)
あなたよ
落ち葉よ
光の落ち葉よ