Poem & Essay






霊峰富士




金色(こんじき)の霊気
天より降りそゝぐ

万有の精気

地より湧きあがる

白髯
(はくぜん)を空の青に靡かせて
両の手を広げ居
(お)る古老の主(ぬし)
霊峰富士

その雄渾のひびきよ
あなたは
一体どれほどの年月
(とき)を響かせてきたのか
大きな双眼
(まなこ)
何を見据えてきたのか

天人
(てんにん)の雲棚引かせ
浄めの息吹は雪と拉
(しだ)き散る

おゝどかなる生命
(いのち)
郁る気品

うるわしき相貌
(すがた)
漂う威厳

あゝ
霊峰富士

あなたはいつも閑かに
見守っている
そして語っている
この地球の未来を
やがて愛の星となりなむ希望を

ありがとう
霊峰富士よ

詩集『永遠の光』中村鶴城著より