Concert Snap




マエストロ・オザワ・65歳祝賀チャリティーコンサート
2000年9月1日、松本文化会館


      

 クラシック音楽界の巨匠、ムスティスラフ・ロストロポービッチ氏の呼びかけによって実現した音楽会です。尺八の柿堺香さんと《エクリプス》を演奏しました。 ロストロポービッチ氏は私が尊敬し憧れていたロシアのチェリスト。写真は演奏会後、氏の楽屋を尋ねたときのものです。柿堺さんが撮ってくれました。右の写真は、95年に待望久しくようやく発売になったバッハの無伴奏チョロ組曲のCDブックレット。当日持参してサインしてもらいました。私の宝物です!  大チェリスト、カザルスと同じように氏もまた、単なる演奏家を超えたヒューマニストというべき偉大な人でした。旧ソビエト時代、芸術と言論の自由のため に、身の危険をも顧みず、物理学者サハロフ博士を擁護したり、文学者ソルジェニツインをかくまったりして国外追放されたことは有名です。  ちょうどこの演奏会の二ヶ月ほど前、NHK番組の「21世紀の証言/ロストロポービチ〜チェロを武器に国家と闘った男の勇気と良心の旋律」というドキュ メンタリーが放映されました。「私は良心に従っただけだ」という氏の一言は、私の心に深く刻まれ、いまもなおひびき続けています。演奏家であるまえに、一 人の人間として如何に生きるか、それがもっとも大事なことであることを、氏は身を以て示してくださいました。  氏は、残念ながら2007年4月27日に亡くなられました。