A親からの援助があった場合

第1回講座で不動産を取得した時には
@土地、建物の取得費用の 他に
A売買契約時に印紙税
B不動産取引仲介手数料
自分の不動産であることを法務局に登記するときの
C登記免許  不動産の価格(固定資産税評価額)×税率=税額
DCを司法書士に依頼した場合は司法書士報酬
E不動産取得税不動産の価額(固定資産税評価額)×税率=税額

不動産の取得金額の他に、これらの費用税金等が必要であることを確認しました。

このように住宅取得のための費用はとても高額です。

実際に取得する場合には、頭金を現金で、支払い、残金を住宅ローンを利用して支払うという方法が一般的です。

第2回講座では、この現金支払部分に関して、父母の資金援助があった場合のケースを想定して、どのような税金控除があるものか整理してゆきましょう。

@住宅取得資金以外の目的で渡し
 住宅取得資金以外の目的に使用する

A住宅取得資金として渡し
 住宅取得資金として使用

@の場合も、Aの場合も個人から500万円という現金が個人に支払われる贈与という行為になります。このように現金や不動産等の財産を贈与すると贈与者は贈与税を支払わなければなりません。
この贈与税の計算はこのように算式で計算することができます。

※≪贈与税の速算表≫の添付

法定相続人の法定相続分による取得金額 税率 控除額(万円)
200万円以下 10% -
300万円以下 15% 10
400万円以下 20% 25
600万円以下 30% 65
1,000万円以下 40% 125
1,000万円超 50% 225
(注)課税遺産総額を法定相続人が法定相続分に応じて取得したものとして計算します。

@の場合は(500万円−110万円)×20%−25万円で
53万円の納税額となります。

次にAの「住宅取得のための資金」の贈与を受けた場合も考えてみましょう。

ここでまず「相続時精算課税制度というものを利用します。
これは贈与税と相続税を一体化させたもので、平成15年度より導入されている制度です。
65歳以上の親(※1)から満20歳以上の子供(推定相続人)への贈与については、2500万円まではその時点で贈与税をかけずに、相続が発生した時に相続財産に付加して、一括して精算する制度です。
※1 住宅取得のための資金の贈与では65歳未満でもよい。

すると(500万円−2500万円)=▲2000万円
で、贈与税として税額は発生しなくなるのです。又、▲2000万円のうちなら何度贈与してもかまいません。
ただ、この制度を利用した後は、これ以後年間110万円の贈与税の基礎控除は利用できなくなります。自分が住宅資金を援助してもらうのに一番効率のよい控除制度を選択しましょう。又、一番効率のよい控除制度の利用という点を視点にしてBの場合を仮に紹介しましょう。


ここでもやはり相続時精算課税制度を利用します。
相続時精算課税制度の適用を受ける人が「住宅取得のための資金」の贈与を受けた場合には、2500万円の特別控除に上乗せして、1000万円の住宅資金特別控除額(合計3500万円まで非課税)を控除できるのです。
すると 3500万円−3500万円=0
これが、4000万円の贈与を受けたとすると残額の500万円に対し、(30%−65万円)の贈与税がかかり85万円の納税額が発生しますので、残額は自己資金でまかなうほうがよいでしょう。

以上3つの例を紹介しましたが、相続時精算課税制度は、いずれその資金援助してもらった金額が相続財産に付加されるわけですから、そのかねあいを考えて、自己資金、住宅ローン、親の援助金をうまく組み合わせて節税いたしましょう。

第3講座は、この「住宅取得のための資金」の説明と、適用を受けるための手続きの説明です。