サルーキのルナ 悪性リンパ腫闘病記

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悪性リンパ腫という癌の闘病記です。

生きている事になんの喜びも感じられない男が、ルナと触れ合っているあいだだけは幸せを感じる事ができました。その恩返しをしたい、1秒でも長く一緒にいたいと祈りながら書き綴りました。

悲しみに負けまいと、事実を淡々と記録しているだけですが、不治の病に10ヶ月も頑張ってくれたルナを憶えていてあげて下さい。

_beautiful life

1月5日-中旬 癌かもしれない

5日。腫れが大きくなり咳もでている。そしてなにより両目が開かなくなった。かなり心配したが注射と薬をもらって翌日には開くようになった。

が、ひと安心したのも束の間、日が経つにつれ食べる量が減ってきた。一日に何度も吐くようにもなった。空腹時に吐くような白透明のものではなく、赤黒いようなコゲ茶のようなチョコレートを溶かしたような色。以降しばらくは薬を控え注射のみに。

レントゲンでは肺まわりに炎症が見られた。血液検査ではGPT数値が高く肝臓を悪くしていることが判明。ほかに心筋関係を表す数値が高い、リンパ球の数も多いことがわかり、リンパ腫の疑いが再浮上。喉の腫れから注射でリンパ液を採取し調べた結果、リンパ球の形が悪いこともわかった。なんだか急に不安でいっぱいになってきた。

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1月23日 癌宣告

ルナは初めての大学病院。

助手の先生に連れられ、僕と離れたところで血液検査やレントゲンをこなしていく。ルナはいつもそうなのだが、どんなに嫌なことがあっても決して抵抗しない。うつむいて尻尾を引っ込めながら黙って耐えている。いままではこの姿を見ても単純に、我慢強い良い子だとしか思わなかったが、なんだかかわいそうになってきてしまった。もっと図々しく自己主張できる子にしてあげたかった。

相方や友人は「飼い主にそっくりだ」と笑う。長所ならまだしも、自身でいちばん嫌いなところが似てしまったのだ。ごめんなルナ。でも、だからこそお前が愛おしいよ。もっともっと一緒にいたい。

検査が終わり、信田(シダ)先生と初めて対峙する。見た感じはインテリとは程遠い、眼が力強くヒゲがかっこいいオヤジであった。なるほど遠方から彼を頼ってやってくるワンちゃんがたくさんいるのも十分頷ける頼もしい男性だ。彼から発せられる言葉の強さは、飼い主の僕を試すかのような力溢れる口調だった。そして....。

ルナはやはり悪性リンパ腫であった。以前からあった顎下の腫れと胸の腫れ、前日に気付いた股間部の腫れに加え、両後ろ足の膝裏やや上にも(筋肉や健でわかりにくいが)腫れがあった。レントゲンを見ると肺周りや腸管周りもリンパ腫の症状あり。

先生は私にうろたえる時間を与えない。「このまま放っておけば120日以内に確実に死ぬ」「抗がん剤治療で一年生きる可能性は3割強。二年は1割強。あくまでも平均ですぐに逝ってしまう子もいれば、5年生きた子もいる」「完治はない。いかに薬で押さえながら癌とつきあって生きるか」「現在の状況は5段階でいえばステージ3から4」「費用がかかるので治療するかしないかは飼い主の意志で決まる」・・・次々と浴びせられる言葉を、なぜか僕は冷静に受け止めていた。先生からの「どうしますか?」の問いに「お願いします」と声をはって応えた。

L-アスパラキナーゼを投与。癌に栄養が届くのを邪魔する薬、兵糧攻めらしい。これで早ければ翌日には腫れが小さくなったり柔らかくなったりするそうだ。ただ各腫れから溶け出した悪いリンパ球は、当然全身を通ることになるので、犬の多くはぐったりする。これは抗がん剤の副作用というよりも薬が確実に効いていることを示すのだそうだ。

2-3日経っても腫れが小さくならなければ、この薬はルナの症状には効かないということになる。腫れが小さくなり、ぐったりしたら、慌てず騒がずかかりつけの病院で点滴をすれば大丈夫とのことだった。

念のためにあらかじめ点滴をしてから抗がん剤を投与した。そのあとも時間いっぱいまで点滴。次回は一週間後。服用薬としてグリチロンとプレドニゾロンを渡された。とても長い一日だった。

帰宅して相方のやっしに報告。やっしは泣いた。僕もようやくはじめて悲しみを感じた。

付記:運転ド素人の僕にかわって車を出してくれた、かかりつけの病院のトリマーMさんにお礼申し上げます。

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1月24-26日 癌の勉強中

この期間、各所の腫れは確実に小さくなっていった。胸の部分は大きさはさほど変わらないものの柔らかくなっていた。薬は効いているようだ。

そして、信田先生をはじめ、ルナに触れた先生達が口々に言っていた「ぐったり」はまったくなかった。病院で念入りに点滴をしていただいたのが功を奏したのかもしれない。食欲もある・・・というか以前よりも増しているのでは?このままの食餌でいいのか?ネットで調べる。某MLメンバーの京子Alscherさんにも質問。蛋白質は癌の餌になってしまうことがわかった。さてさて、どうしようか。

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1月30日 状態は良い

二回めの大学病院。まず血液検査とレントゲンで前回治療の効果と現在の状況を確認。これから毎回こういう手順を踏むようだ。

信田先生いわく、確実に効果が出ているとのこと。病院で把握することができる癌細胞の数(だったかな?)は10の6乗個まで。先週はこれよりもはるかに高い数値だったが、今日は10の6乗に近い数値だったそうだ。6乗以下になると検査で正確に把握するのは困難だそうで、それがすぐ下の5乗程度か、もっとずっと低い数値かはわからないらしい。今はこの薬が効いているが、今後効かなくなってきたら数値は上昇する。そうなったら別の薬にかえて押さえ込む。一生それを繰り返す。

一時間ほど点滴をしたのち、L-アスパラキナーゼ。グリチロンとプレドニゾロンを一週間分もらった。食餌について相談。n/dを2缶もらったが、確実に下痢をするので、いままでの御飯に少しずつ混ぜるように注意を受ける。

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