サルーキのルナ 悪性リンパ腫闘病記

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悪性リンパ腫という癌の闘病記です。

生きている事になんの喜びも感じられない男が、ルナと触れ合っているあいだだけは幸せを感じる事ができました。その恩返しをしたい、1秒でも長く一緒にいたいと祈りながら書き綴りました。

悲しみに負けまいと、事実を淡々と記録しているだけですが、不治の病に10ヶ月も頑張ってくれたルナを憶えていてあげて下さい。

_beautiful life

3月6日 元気でアホ満開

七回めの大学病院。今日はパトラ(ブラックタン♀)のお母さん(サスケママさん)に車をだしていただいた。

いつものように病院手前の公園に行き、人がいないところを探して放した。ルナはなにを思ったか、広い平地ではなく、木々が生えた坂のところをにおいを嗅ぎながら歩く。やっしが遠くから呼ぶと....。ルナ姫、こちらに向かって走り出す。坂と平地の境目は、高さ150センチほどあっただろうか、崖のようになっていたのだが、姫は調子に乗って勢い良く飛び下りた。え?と焦ってももう遅い。着地地点も緩やかな坂になっていたため、姫は着地失敗。つんのめって転んだ。ゾッとしたのもつかの間、姫はすぐに立ち上がって、ピョコピョコと楽しそうに走った。あぁ、驚いた。

やっしさん、後先考えず呼び寄せるのはやめて下さいよ。そのくせ、そのあと、なんてことはない普通の階段を降りるときに、「危ない!」なんて言って。僕もサスケママさんもなにが危ないのかさっぱりわからなかったよ。

放牧を終え、ルナを車においてマクドナルドへ。ルナ姫、車の中での留守番は初めてだ。後部座席にはネットが張ってあるので、車を荒らすことはないだろうし、すぐ戻るから大丈夫でしょうと、お気楽な人間達。

10-15分後、食べ終えて車に戻る。姫はどうかなー。まぁ、鼻は鳴らしてるだろうねぇなんて言いながら。サスケママさんがいちはやく車内の異変に気付く。えぇ〜〜!!ルナが助手席にいる!!いったいどうやって?

あとになって姫は再現してくれたのだが、ネットの端にあるわずかな隙間に、体を潜り込ませて、必死にもがいて脱出したようだ。その様は、産卵のために川を懸命にのぼっていくシャケのよう。膝やスネをぶつけながら、もがく姿を見て爆笑してしまった。いや笑ってる場合じゃない。車を傷つけないでぇ!!

ひとしきり笑って病院に到着。先週から3日置きに飲ませていたエンドキサンは、とくに異常を起こすようなことはなかったと報告。血液をとって経過をチェック。抗がん剤はいれなかった。来週までのエンドキサン2回分と、プレドニゾロン、グリチロンをもらって終了。

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3月13日 体重回復

八回めの大学病院。体重が16kgまで回復してきた。元気もあり、とても癌の犬とは思えない。

抗がん剤がまた変わった。アドリアマイシンを点滴でいれた。かなり効く薬で、これを入れたくても入れられない犬もいるそうだ。おもに血液疾患に使われる。効果は3週間ほど続く。投薬から3-4日後に5-6パーセントの割り合いで、下痢をする可能性があるが、ぐったりすることがなければ、特に気にする必要はないらしい。ただ10日ほど経ってからの下痢は、腸の内側が混ざった血便のようなものになる。この場合、悪い菌が腸から入り込む可能性が出てしまうため、体調の善し悪しに関わらず、抗生物質を入れる必要があるそうだ。

吐き気を止めるプリンペランと、整腸剤のタイロシンを3週間分もらった。プレドニゾロンの量がまた半分に減って、一回1.25錠。グリチロンは変わらず、一回2錠。

次回は1か月後の4月10日。大学病院には春休みとやらがあるのだそうだ。ふぇ〜。

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3月某日 仕事を辞める

1月の下旬あたりから、会社のシフト管理部にずっと注意・警告されていた。このままシフト変更や当日欠勤が続くと、契約更新ができなくなると。

連中は単純にシフト管理だけをしている輩で、僕の顔と名前を一致させる事なんてできないし、僕の仕事っぷりや人柄や事情も知らない。ただ規約通り警告してくるだけだ。

そして3月上旬、うちの班の上司に呼ばれた。3月限りで契約終了だと。このところの事情を問われたので正直に話す。「犬の看病のために?」彼には理解できないようだった。しかし私の心情を悟ったのか、そういった事情であれば上に話してみようかと、気遣ってくださったが、今後勤務状況が改善するとは思えないので辞める事にした。

資格・スキルなし、正社員経験なしの30代男。ルナが亡くなってからの就職は困難を極めるだろう。でも今は、自分の事よりルナのことで頭がいっぱいだ。

ルナ、僕が生きている理由のほとんどは君の存在なんだよ。これからはずっとそばにいるからね。

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4月10日 一か月休み明け

前回、アドリアマイシンを入れてからの一ヶ月。特に副作用もなく、元気いっぱいに過ごすことができた。食欲もあり、体重も標準を超えるほどに。機嫌よく大学病院へ向かう。検査結果は良好。今日もアドリアマイシンを入れることにした。もらった薬は前回と同じ。

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5月1日 白血球やや減少

変わらず元気。しかし血液検査の結果、白血球がやや減少していることが判明。これではアドリアは入れられないとのことで、3日置きに飲ませるエンドキサンを入れることになった。次回は2週間後、5月15日。

この日、ルナと同じ若さで、リンパ腫にかかって通院していたバーニーズが亡くなった。朝、突然具合が悪くなり、そのまま亡くなってしまったそうだ。

リンパ腫の場合、薬で癌をおさえて体をよい状態に保つことが治療(というか延命?)になるわけだが、今回のように、突然容体が急変することがあるのだそうだ。

最近ルナが元気なので忘れていたけれど、リンパ腫は完治はない病気なのだと、思い出した。プレドニゾロンの量が、1日1回2.5錠に増えた。

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5月15日 不安

近ごろ、ルナの毛が薄くなってきた。人間の癌治療のように、ごっそりと抜け落ちることはないものの、やはり少し抜けているようだ。一度抜けると生えづらいらしい。耳や尾の自慢の飾り毛も、だいぶ少なくなってきた。耳の形がはっきりとわかる。まぁ、元気でいてくれることが、なにより嬉しいことなので、毛なんてどうでもいい。

検査をしたところ、白血球は回復して一安心。しかし、癌が再燃してきた。顎下を触るとしこりが確認できる。胸の部分も、小さくてわかりづらいが確認できた。前回アドリアマイシンを使えず、エンドキサンを使ったのだが、その効果がなかったのか?それとも癌が薬に強くなってきたのか?まだ、今の時点ではわからない。

白血球が回復しているので、前々回効果があった、アドリアを入れることにした。これで3週間様子を見て、癌を押さえることができれば、まだこの薬が有効であることになる。しかし効き目がなければ、残念ながら次の手段を打つしかない。もっとも有効だとしても、アドリアを入れられるのは4回までなのだそうだが。効いてくれることを願って、帰路についた。プレドニがまた倍に増えて、5.5錠に。

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5月30日 癌再燃

前回の治療からしばらくの間は、なんとなくだが、顎下や胸のしこりが、小さく柔らかくなっているように感じていた。

しかし、3週目に入った今日、ぱっと見で顎下が少し腫れているのがわかるようになってしまった。悲しいけど、アドリアマイシンの効果は薄れている。癌が強くなってしまったようだ。

別れは一歩一歩近づいている。

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