映画「御法度」を見たので御法度の映画も見る(その1)

 1976年というと、だいたいこの時期は、最初の「スターウォーズ」や「未知との遭遇」などでルーカスやスピルバーグがハリウッドの若手として頭角を現してきたころだと思います。ぼくは、十代の後半で、もっとも映画を多く見ていた時期でした。その年にこの映画は製作されて、その後しばらくして日本でも滅茶苦茶に修正されて公開されました。日本人が日本語で作った映画なのですが、製作はフランスなので、フランス映画として輸入されてきたわけです。タイトルはフランス語で「官能の帝国」という意味の言葉。日本で公開された時には「愛のコリーダ」というタイトルでした。このタイトルは、その後なぜかクインシー・ジョーンズがそのまま(日本語のまま)のタイトルの曲を作ってこれがヒットしました。それほど世界的にこの映画は話題になったわけです。監督は大島渚です。

 当時ぼくは「完全な形で見られないんなら、この映画は見ない」と言っていた記憶があります。いまではまるで陳腐に聞こえますが、そのころの日本では、芸術か猥褻か、などと大騒ぎをしていたのです。

 あれから24年が過ぎました。十代だった男も、すっかりいい歳になりました。しかし、いまだに日本でこの映画を完全な形で公開する事は御法度なのです。おそらく、このまま今世紀中、20世紀のうちに公開される事はないのでしょう。すごい国です、この国は。

 試しにちょっと調べてみたんですが、有名なAmazon.comで捜してみると、英語タイトルの「in the Realm of the Senses」としてビデオもDVDも出ているようです。英語の字幕付きですけど、みんな日本語でしゃべってますから問題ないですね。いちおうNC-17(17才以下はだめ)の指定はあります。もちろん修正などしていない完全版です。つまり、ここで注文すれば買えるわけです。なにしろもうインターネットの時代なんですから。でも、おそらく手元には届かないでしょう。聞いたはなしですが、税関から「あなた宛にこんな物が送られてきました。御相談があるのでこちらに来てください」というようなお知らせが来るそうです。いや、もしかしたら自分ならすんなり届くかも知れない、と思う人がいたら、どうぞチャレンジして、そしてレポートを送ってください。もちろん、ぼくはいっさい責任は持ちませんのでそのつもりで。

 そんなわけで、子細は書けませんが、「完全な形でしか見ない」と言っていた十代の男が、ようやくこの映画を完全な形で見る事ができました。次回、その感想を書いていきたいと思います(またそのパターンか)長い前置きでゴメン。