3月4日(月)
 やっと今年の初乗り!
 今日はかなり暖かくて、久しぶりにライダージャケットを着込んで出勤。駅を降りてから迷わず駐輪場に向かい、VInoのロックを外す。メットインに入れてあるボロ布でざっと埃を払い、ミラーについた錆にため息しながらヘルメットを被る。ショートカットにしたので、そのまますっぽりと被れてしまうのが新鮮に感じられる。恐る恐るセルスターターを押す。きゅるるん、と音がして止まる。放っておいたからなあ。もう一度、押してみる。エンジンが始動する。えらい!とにんまりしながらアクセルを開く。ゆっくり走り出す。
 思ったより風は冷たくない。気持ちはリラックスしていく。しかし、久しぶりなので身体が緊張している。スピードを上げられない。ご迷惑かもなあと思いつつ、無理せずにゆっくり走る。時速30km。法定制限速度だ。そうかー、このスピードで走ってれば、とにかく滅多なことじゃ事故には合わないよというスピードが法定制限速度なのか。ともかく、無事に職場に辿り着く。
 帰りは暗くなっていて、夜道をライトを上向けるタイミングがーとか、久々の操作なので勘を取り戻すのにちょっととまどう。それでも何とかなるもので、無事に駐輪場に戻る。管理人さんにナンバープレートを付け替えたこと等を挨拶して、なんとなくやれやれと肩の荷が下りた。気楽に乗れるには、まだ数日かかるかな。 

3月5日(火)
 今日は寒の戻りで、ものすごく冷え込んだ一日だった。先週までならこういう日は絶対にバスで通勤なんだけど、不思議なもので一度スクーター通勤に戻すと、寒いと文句を言いながらもスクーターに乗る気になる。もちろん、ライダージャケットは防寒仕様で裏にライナーを着込んでるし、ネックウォーマーもしてるし、革手袋もしている。これだけの装備があったら、真冬だって乗れるじゃん?と思うのだが、実際のところは身体の芯まで冷え込むのですぐに風邪をひくから無理なのであった。春先の、寒の戻りとか花冷えとか言われる日くらいならば、その前後はまた暖かいから乗ってもいいかなって気になるのだろう。
 そして、何気なくVinoの走行距離数を見たらば、なんと1510kmになっていた!
 すごいなー。去年の今頃の日記には600kmと書いてあったから、1年で900km走ったことになる。乗っていない時期を除いて考えたら、ほぼ半年で900km。やはり日々の走行距離が8kmあるからだろうか。磨いてもらってすらいないのに、よく走ってえらいのお。もう少し暖かくなったら、ちゃんと洗車してあげるね。

3月8日(金)
 春は花粉症の季節〜。
 というわけで、今日のような気持ちの良い快晴の日に「いい天気だねー」と相方にメールしても、「花粉が多い(T^T)」という返事しかもらえず、つまらない思いをしたりする。私は花粉症ないからねぇ。相方J氏はお薬を飲んで、点鼻薬も使ってて、それでも今日みたいな晴天だと花粉がたっくさん飛散しているのでつらくなっちゃうらしい。うーん、こういう人が相手では、お花見にも行けませんな。
 天気は良くても、まだ風は冷たくて、Vinoで走ると身が引き締まる感じ。冬から春の、ゆっくりゆっくりな移り変わりは嫌いじゃない。だんだんに用意して、そして春から初夏へとポンポンポンと変化していく気候は気持ちいいからね。バイクに乗るにも気持ちのいい季節なんだがなあ。このまま花粉症とは無縁に過ごせることを祈ろう。

3月12日(火)
 Clavinovaを入手した。古いのを人から譲り受けたのだが、楽器のなかった我が家には画期的な出来事だ。しかし楽器が来ても楽譜はないので、弾けるのはうろ覚えの断片的な音楽もどきのみである。まあ、別に音楽家を目指しているわけでなし、楽しんで弾くんだからいいだろう。
 それにしても、ClavinovaといいVinoといい、『YAMAHA』が好きなのだろうか?

3月14日(木)
 会議中だったにも関わらず、定時になるや否や会議テーブルの上でステップを踏み、そのままバスの上に座ったり跳ねたりしながら家路を急ぎ、挙げ句に窓から飛び込んで涼しい顔して和服姿で胡座をかく真田広之のウィスキー『膳』のテレビCMが気に入っている。斉藤和義の曲が非常によく活かされていて、つい鼻歌で出てしまったりするくらいだ。まあ、普通の人はあそこまできっちり飛んで帰ったりしないだろうが、そのっくらいの気分で上機嫌のまま帰宅することは時々ある。CMの主旨は「家で」「膳を」ということだから違うのだけど、まあ家に楽しみが待っていたり、あるいは職場でいいことがあって人に話したかったりすると家に帰るのはとても楽しみだ。そういう日には夕食のメニューもすんなり決まったり、更には週末だと合わせる酒まで考えられたりする。
 で、何が言いたいのかというと、ホワイトデーである。バレンタインデーのお返しとして、男性が女性にクッキーやらケーキやらチョコやらキャンディーやらマシュマロやら、はたまたプレゼントやらを贈る日ということになっている。すでに定着して久しいおかげで、バレンタインに播いたチョコはきっちり収穫されるわけだ。
 Vinoにはメットインがあるし、通勤にはデイバッグを背負っているし、何より今年はほとんど配ってないので持って帰るのに苦労はしないかと思っていたが、モノがクッキーだったのでかさばった。しかも女性スタッフ有志からも「ついでに」餞別の意を込めたというキャンディーとマグカップのセットを頂いてしまったため、デイバッグはパンパンになった。
 嵩はあるけど軽い鞄を背負ってスクーターで走る春の夕暮れは、格別に気持ちが良いものであった。  

3月17日(日)
 環八沿いにある『リンドバーグ』という車とバイクの専門書店で、スクーターでスペイン旅行をした人の本を見つけた。自費出版?というような安い装丁で、藁半紙みたいな紙で、スペイン語交じりの体験記が綴られている。うーん、こんな本、ここで買わないと二度と探せないかもとJ氏に見せるが、二人とも自分で買う気までにはならずに棚に戻す。
 だいたいが、『リンドバーグ』に来ても私が見て楽しいコーナーなんてエッセイ等のとこだけなのだ。しかし、車の運転手であるJ氏はKawasaki本やらGP資料本やらをあれこれと漁るのに夢中になって、あっという間に時間が過ぎるらしい。おかげで自力で車を動かせない私は、その時々で気に入ったエッセイを立ち読みしながら時間をつぶすことになる。スペイン旅行本もそうやって見つけたものだ。たまに、立ち読みしたために買う気になる本もあって、今回は『神さまはハーレーに乗って』(ジョーン・ブレイディ作、角川文庫)がそうだった。自分探しをする看護婦さんを主人公とした、大人のための寓話とされる類の作品のようだ。自分と同じ年代の女性が主人公だから買う気になったのか、翻訳が好きな深町眞理子さんだったためかは、最後まで読み通してから決めようと思う。
 それにしても、自分が、「バイクが出てくるから」なんて理由で本を手に取ってみるようになるとは。これもきっと、私がスクーターほしいよ熱に浮かされていた当時にJ氏が勧めたバイク本たちが面白かったせいに違いない。世の中には、本当にいろんな種類の本があって読み尽くすことなど決してないってことが、時々こんな形で確認される。いとおかし。

3月18日(月)
 先週来ずっと暖かい日が続いている。昨日は東京で20℃まで上がり、4月下旬の気温だったそうだ。それで思い切って、今朝はライダージャケットのインナーをはずして出かけてみた。首や手首の周りから入る風が冷たいけど、寒いほどではない。手袋もメッシュに替えて大丈夫かも。
 暖かい日が続くので、桜の開花が例年より早まっている。今日は東京でも開花宣言が出たそうだ。職場の敷地は門から建物方向へと緩やかに上り坂になっていて、両側は桜並木だが、先週末にはまだ固い蕾ばかりだった桜が、今朝は一分咲きくらいなっていた。一日天気が良かったので、夕方には三分咲きあたりまで開いた。明日も暖かいそうだから、今週末には満開になるかもしれない。ここに就職した時からの最大の楽しみが、この桜並木の満開を見ることだったのだが、スクーターで走り抜けると、ゆっくりめに走ってもあっと言う間すぎておもしろくない。しかも上ばかり見て走るわけにもいかないし。咲いている間に一度、じっくり木の下を散策できるといいなあ。 

3月19日(火)
 昨日よりは少し気温の低い一日だったが、とは言えかなり暖かく、調子よくVinoで通勤している。先週くらいから、ここいらの道路を走るのも、あと少しのことだよなあという感慨とともに、果たして自宅まで無事に乗って帰れるのだろうかという不安が日々募っている。行程のほとんどが高速道路の側道で、信号が少なくて車がかっとばしている怖い道だ。裏道を研究すべきだという意見が圧倒的に多いのだが、どう考えても一番簡単に帰れるのはそのルートだし、県境を越えるには、どちらにせよ大きな道路を使わざるを得ないのだ。覚悟を決めて乗って行くさ...とは言うものの、それだけは絶対に日中にするつもり。夕方以降は怖さ倍増するからね。

3月22日(金)
 オートバイの「乾燥重量」という言葉を、私はずっと「完装重量」だと思っていたので、初めて仕様書で間違いに気づいた時にとても驚いたのを覚えている。どうして「完装」重量だと思い込んだのかとつらつら思い返してみるのだが、さしたる原因は思い当たらない。どうやらJ氏のNinjaやHarley Davidsonのような大きなバイクの重厚なイメージが、「完全装備」というイメージを引き起こしたからのようだ。
 乾燥重量が何も装備する前のバイク自体の重さだと、今ならもう知っている。ならば「完装」重量とは、バッテリー搭載済み、ガソリン満タン、オイルばっちり、という状態での重さになる...のだろうなあ。

3月25日(月)
 風は強かったけど気温も低くなっていたおかげか、職場辺りの桜は見ごろのままを保っていた。それは嬉しいのだけど、如何に花冷えとは言え、こうも寒くては堪らない。今日は久しぶりにジャケットのインナーを付けて出かけた。これがあと数日続くなら今度の週末でも花見が間に合うかもしれないけど、自宅の鉢植え(冬枯れ寸前で瀕死)のことを考えると早く暖かくなってほしい。去年は暖かくなったと安心してベランダに出しっぱなしにして出かけたら、なんと雪が降ったのだ。今年もそうなりかねないかもと怖くて、まだ鉢植え達は室内に置いている。たぶん、鉢植えを外に出せるのと、ジャケットのインナーをしまい込んでしまえるのが同じくらいなのではないかと思ってるのだが、果たしてどうかな?

3月26日(火)
 花冷えだと思っていたら、今日は一日雨模様。現職場に通勤するのも残り少なくなっているのに、残念ながらVinoは駐輪場でお留守番だ。晴れてくれないと自宅まで乗って帰ることもできないし、明日には雨が止むように祈ってしまう。
 雨の日のバイク乗りほど、危なげで寒そうに見えるものはないと思う。先週の月曜日も夕方は通り雨で、仕方なく4kmほど濡れて走ったのだけど、とにかく怖かった。濡れたアスファルトのにおいが私は好きだし、雨上がりなら空気も綺麗で、濡れた路面を慎重に走るのはそれなりに面白い。でも降っている最中はヘルメットについた水滴が視界を遮って、とにかく見えなくて怖い。そんな状態で初級者が30kmもスクーターを走らせるのは、はっきり言って無謀だろう。
 そんなわけで、オーナーライダーの技量が未熟なばっかりに走る機会を減らされている、可哀相なVinoなのだった。

3月29日(金)
 今日も一日雨模様。香咲弥須子を久しぶりに読もうかと思い立つ。バイクが出てこないので未読になっていた『アニヴァーサリィ』(角川文庫)を手に取る。車のレースをやっていた人達の話で、車は重要なファクターとして出てくるのだが、バイクは全然出てこない。しかも主人公達は30代前半で、いろいろ抱えている人間臭い話だと思っていたので敬遠していたのだ。(それでも買ってあるあたりはマニアであるが)。読んでみたら、やはり思っていた通りの話だったのだが、予想よりずっとのめり込んで読んでしまった。身につまされる部分も大きかったせいがあるかもしれない。モノごとにあたった時の考え方、対処の仕方って多様なんだなあとしみじみ思い返させられたし、自分の孤独との向き合い方も考え直させられた。私は30代でスクーターに乗り始めたけど、もっと若い時にスクーターや車とつきあっていたら、いろいろな意味で違ったモノの考え方も出来たのだろうし、別の手段もとれただろう....なんてことを。

3月30日(土)
 怖かったあああ。
 何が?って、職場から自宅まで、約30kmのツーリングが、である。
 道のりの半分以上は、122号線という東北道の側道を走るのだが、これがムチャクチャ怖い。でっかいトラックがビュンビュン走ってるような道で、信号も要所要所にしかないのでほとんど東北道と変わらない感じ。まあ、バイパス道路なのだから当たり前なのかもしれないが、原付スクーターが走るような道路ではない。バイクも1台しか見なかったくらいだしなあ。こっちが怖がってるのをわかっていて、わざとぎりぎりを通って行くトラックもいるし、ちょっと強い風が吹くとふらつくし、気を抜くとスピードが上がりすぎるし、怖いことだらけだった。
 川口JCTを越えると町中の道になるから少しはマシかと思っていたのだが、考えが甘かった。道路工事してたり、砂やガラスが散らばってたり、おばさん自転車が突っ込んできたり、とかく路肩付近には危険が多い。しかもバスも加わるし、車線変更はしなきゃいけないし、もう心臓は早鐘を打ちっ放し。赤羽駅近くで線路のガード下をくぐった時には安心しすぎて道を間違え、1km位遠回りしてしまった。それにしても、多少なりとも土地勘があるってことが、こんなに安心できるものだとは知らなかった。
 Vinoを自宅横のスペースに駐車し、メットもしまって、やっと一息。メットを外しての最初の言葉が、そのまま冒頭の一言なのであった。 

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