ごくたま昨日日記 in June, 2002

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Jun.21,2002 (Fri)

蹴球微熱 FIFA World Cup 二十一日目

 意気消沈。

 サッカーの母国とサッカー王国の一戦。事実上の決勝戦との呼び声高いこの戦いの軍配は、王国にあがった。

 結果として、ブラジルの巧さがイングランドの堅さに競り勝った、ということになるのだろう。気温30度、というコンディションのせいか、どちらの動きも少々重いように感じられたが、同時に決勝戦並のプレッシャーが選手達に覆い被さっていたのかもしれない。

 イングランドはブラジルにやや押され、流れを掴まれそうな時間帯にオーウェンの一発。イングランドが勝つには先制点を獲るしか方法はない。その意味でもこの一点は大きかった。あとは、どこまでイングランドがこの一点を守れるか。そして、一点を獲り返そうと攻勢に出てくるブラジルの裏を突いてカウンターで点が獲れるか。ブラジルは、如何に早くイングランドの壁をこじ開けられるか。試合の面白味という点でも、イングランドの先制点は大きかった。

 イングランドの敗因は、前半の間に同点にされてしまったこと。これに尽きる。もし、前半を一点のリードで乗り切れればイングランドにぐぐっと勝利の可能性は傾いたはず。逆にブラジルは前半の間に追いついたことで、自分達の勝利を引き寄せた。そして、それを可能にしたのはロナウジーニョリバウドという二人の天才。イングランドディフェンスの一瞬の隙を突き、それを確実に決めた二人の個人技がファーディナンドキャンベルという巨壁を崩れ落とした。

 こうなってしまうと、あとはブラジルペース。今大会のイングランドは先制されて同点にされたのはスウェーデン戦だけ。その試合でも、一度守りに入ったエンジンを再び攻撃モードにシフトチェンジすることは出来なかった。それはこの試合でも同様。それでも守り切って延長、そしてPKまで持ち込めれば、という試合だったのだろうが、またもロナウジーニョの想像力豊かな一発にやられる。シーマンのミスといえばミスだが、それ以上にロナウジーニョの狙い、そしてそれを確実に決める技術が素晴らしかった。

 今大会、イングランドは逆転されたり、相手に先制を取られるような形で試合をしたことがない。攻撃のエンジンは結果的に最後までかかることはなかった。ブラジルはロナウジーニョが一発レッドで退場となるが、これは逆にイングランドが攻め込むスペースをなくす結果になる。ブラジルの守備が弱い、というのはあくまでも彼らが嵩に掛かって攻めてしまうからであり、彼らが守りに入ったらそれはカメの甲羅並に堅いのだ。さらには時間使う巧さ。これぞブラジル、という巧緻であり狡知。若い選手の多いイングランドでは何も出来ない。最後にはロングボール攻撃に出るかと思ったが、それも出来ず、あとはブラジルのパス回しに翻弄されるがまま。やがて笛はなった。

 個人的には残念至極。戦前はブラジルが有利だと思っていたが、オーウェンの先制で期待を持ってしまっただけにショック。だがやはり、ブラジルの強さ、巧さには敵わなかったようだ。勝てない試合ではないと思ったが、結局大会中ずっと攻撃の形というものが見えなかったし、それを作れなかったのが全て。エリクソン監督は先日の韓国戦のヒディング監督のように次々に攻撃的選手を投入したが、それも活かすことは出来なかった。イングランドの今後の課題は攻撃の形、ということになるだろう。セットプレー、オーウェンの個人技以外に点を獲る方法がないのであれば、ベスト8止まりでも文句は言えない。ブラジルの勝利は順当。ブラジルは守備に勝る攻撃を持っている。それも無限のパターンとも言える攻撃を。それを守り切ることは出来ないだろう。

 イングランドのメンバーは若い。次回のワールドカップに期待しよう。

 予想通りフィジカル対フィジカル。サイド攻撃対サイド攻撃の戦い。ファンタジーのファの字もない試合の勝敗を分けたのはゴールキーパーだった。

 要はカーンの活躍がすべて、という試合。正直、面白味に欠けた。ドイツファンの私としてはドイツがこういう試合をすることは目に見えていたが、アメリカも同じとは。しかもドイツのこうした戦い方には深みがあるが、アメリカには全くない。というのは、アメリカがサッカーの想像力というものを排除しているからだと思われる。要するに「点を獲る確率の高い」サッカーに終始しているのだ。場面場面での臨機応変さは見られず、パターンを決めて、その形をひたすら作る。そのパターンとは、素早いチェックでボールを奪い、奪ったら中盤のレイナ、またはルイスにボールを預ける、その間に両サイドが縦に走り、マークが薄いサイドにボールを送る。そしてそこからセンタリング。これだけ。これ以外攻撃の方法はなし。おそらくこれは取り決めなのだろう。黄金時代のシカゴ・ブルズもこうした攻撃パターンを選手達に刷り込むことで勝利を重ねたが、いかにもアメリカ的といえばアメリカ的である。

 だが、その戦術がアメリカをベスト8まで押し上げ、今日のドイツを苦しめたのも事実。だが、つまらないことも事実だ。アメリカのサッカーは下手すると世界のサッカーを流れを大きく変える可能性がある。仮に命名するとすればそれは「アスリート・フットボール」とでも呼べるものだ。つまり、体力的に優れた(足が速く、スタミナがあり、ぶつかり合いに強く、高さがある)選手に、攻撃のパターン、守備のパターンを刷り込むことで「得点の確率を上げ」、「失点の確率を少なく」するサッカー。
 アメリカのこのサッカーが、今大会のメンバーを考えた上でとった作戦ならば仕方がないと思うのだが、もし、このサッカーがベストだと考えているのならばサッカーは再びアメリカでは滅ぶだろう。だって、つまらないのだから。ただし、「面白いサッカー」ではなく「勝つサッカー」だけが求められれば「アスリート・フットボール」が世界を席巻することもありうる。自分としてはそうなって欲しくはないだのが。

 ドイツのサッカーは、結果的にフィジカルが強いサッカーであり、それが故につまらないこともあるが、想像力豊かな選手が一人でもいれば違う。それと、技術がしっかりしている、という点が違う。ヘディングでしか点を獲っていないと単純に見られがちだが、センタリングを上げる選手の技術が高いからこそヘディングで点が獲れるのである。カーンの活躍もあったが、最終的には細かい技術の格差が勝敗を分けたともいえるだろう。

 なにはともあれ、ドイツは勝った。ブラジルも勝った。これは長いワールドカップの歴史上、一つの謎として残っていた「ドイツ対ブラジル」という最高のカードが一度もなかった、という伝説に終止符が打たれる時が来たのかもしれない。それも決勝戦という最高の舞台で。それとも、伝説は伝説として残ってしまうのか。全てはあと5日で決まる。

daylife

 昨日は帰宅して飯食ったら急激に眠気に襲われ、寝てしまいました。最近やたら疲れてるなあ、と思っていたのですがそれも当然。毎日のようにハラハラドキドキ、緊張しているのですから。ワールドカップが終わってしまうのは寂しいけど、少しは楽になるかも、とも思ってしまうのでした。まあ、終わりが来るからこそ、なんですけどね。

 こういうニュースにはガックリくる。私がこの生徒の立場だったら怒り狂うし、トラウマになるよ。なんでこういうことするかなあ。大人の考えることはわからないよ。
 もし、このニュースをベッカムが知ったら、きっと取り上げられた子供達のためにサインをしてくれることだろう。そういう選手だからこそ好きなんだけどね。

涅槃の読書模様

 えーと、蔓葉さん、あくまでも長さ(厚さ)は一つの指標であり、必ずしも語るべき内容を内包しているとは限らないので、一応3倍のまま、ということにしておいてください。こういう数字の話題は苦手なんです。面白さとかを定量化すること自体が無理といえば無理なんですけどね。

 『バルコニーの男』マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー読み中。登場人物の一人、ラーソンは、ラーションと同じ綴り?。ワールドカップ観てるとラーション、と読みたくなる。それにしてもメディアも選手達の名前の呼び方は統一して欲しいよね。
 名前の呼び方で一番記憶に残っているのは、スウェーデンのテニスプレイヤー、エドバーグ。出てきた当初はエドベリと呼ばれていたんだけど、いつのまにかエドバーグになってた。変わった当初は同じ選手だと思ってませんでした。この方式に従うとリュングベリとかはリュングバードなんでしょうかね。

 購入物。

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Jun.22,2002 (Sat)

蹴球微熱 FIFA World Cup 二十三日目

 ブラジル対トルコか。なかなか楽しめそうだ。

 やっちまっただよ韓国。スペインにも勝っちまっただよ。オラもう驚きで口が聞けねえだよ。ポルトガル、イタリア、スペインを下してのベスト4進出なんて、それだけで優勝並の価値があるだよ。こりゃあドイツもヤバイだよ。ファンとしては複雑な気分。

 とまあ、思わず中枢神経がおかしくなるくらいビックリしてます。試合序盤は互角でしたが、徐々にスペインがペースを掴む展開。やっぱりスペインは強いな、と思ってたんですがフィニッシュまでいけない。いや、行かせない。スペインはラウルが怪我のため出場できないのが痛かった。モリエンテス一人では韓国も守りやすかった。バレロンがもっと前の位置で絡めればよかったんでしょうけど。

 韓国はやっぱりフィジカルが凄い。スペインはヨーロッパのチームの中ではフィジカルが強くないということもあり、中盤での攻防では負けても、守備、攻撃、両方の面でフィジカルで相手を苦しめました。スペインとしてはホアキンサイドの攻撃しか優位に立てなかった。それもプジョルソル・ギヒョンを抑えるために全然前に上がることができないため、フォローがなく、なかなか効果的な組み立てにはなりませんでした。韓国は途中出場のイ・チョンスが素晴らしかった。彼が前線でボールを持つことでスペインを焦らせ、また相手の攻撃の機会を少なくしてました。

 総じてスペインが押していた雰囲気ですが、精神的には韓国が押していましたね。それが勝負の分かれ目じゃないでしょうか。やはりスペインは最後までスペインで、メンタル勝負になると勝てない。ベスト4に懸ける執念みたいなものが見えませんでしたね。

 それは延長戦に入ってからより顕著になります。アイルランド戦、10人でPKまで持ち込んだことに対する自信。カシージャスの活躍で勝てた、という経験から来る過信が、彼らの足を止めてしまいます。
 反対に韓国は90分戦った後とは思えないほどに猛攻に出ます。所詮PKというのは水物です。そこに持ち込んだら勝てるなんて考えたチームに勝利の女神は微笑みません。スペインはこの時点で負けていました。休養期間が中五日のチームが中三日のチームに体力的に押されてる、それがもうどちらのチームに勝つ権利があるのかを如実に表していました。

 PKに関しては特に言うこと無し。ホン・ミョンボは計り知れないプレッシャーの中でもいつも通りのホン・ミョンボでした。それには感動しました。

 イタリア戦以来、審判の問題が槍玉にあげられていますが、そんなことは戦っている選手達には関係ありません。とにかく韓国はスペインを破り、アジア初のベスト4に駒を進めた、それだけのことです。それを成し遂げた選手達にはただただ拍手を贈りたい。惜しむらくは、韓国の試合を見てから、日本が試合に臨むことができたら、とだけ思わずにはいられません。それ程に韓国選手達の気迫というのは素晴らしい。試合内容云々ではなく試合に臨む姿、それだけで感動させてくれるなんて…とにかく、おめでとう韓国!。

 でも、ドイツには頑張って欲しいな…ファンとしては。

 いやー、これは準々決勝一番の試合ではなかったでしょうか。得点こそ入らなかったものの、見所満載。叫び声出まくり。互いの持ち味を存分に出し尽くした好ゲームでした。

 これがマジのトルコです。長居に響き渡るセナガルサポーターの太鼓の音が逆にトルコのパスにリズムを与えてしまったかのようでした。つーか、日本戦は手ぇ抜いてただろ。

 特にこれといって見所を書き上げるまでもなく、トルコのパスとセネガルの身体能力がぶつかり合った見事な試合でした。日本に致命傷を与えたウミット・ダバラが特に素晴らしかった。いや、トルコの選手全てが素晴らしかったです。セネガルも。いい試合だった。ただし、ハカン・シュキルを除けば。
 私がトルコ国民だったらハカン・シュキルには怒り心頭ですな。勝ったから良かったものの負けていたら、彼を許すことはできないかもしれません。それくらいチャンスをことごとく潰してました。つーか、彼がキッチリ決めていれば延長戦までもつれることもなかったんですけどね。結果的には彼の代わりに投入したイルハンは決勝ゴールを決めたわけで監督の采配が見事に当たったということでしょうか。しかしまあハカン・シュキルがあそこまでチャンスを潰してくれたおかげで面白い試合になったんだから感謝しなくてはいけないのかな。

 それにしてもホント、トルコは日本戦とは見違えるようでした。昼ではなく、夜ということで暑さという重荷がなかったせいもあるかもしれませんが、今日は強いトルコを存分に見せ付けてくれました。さしものセネガルもこの壁を破ることはできなかった。大会を通してここまでセネガルを抑え込んだチームはなかったでしょう。今日のトルコならブラジル相手にもいい試合を見せてくれそうです。楽しみだ。

 セネガルは台風の目として、大会をよく盛り上げてくれました。この試合でもディウフアンリ・カマラといった選手達は素晴らしいポテンシャルを見せてくれましたし、身体能力の高さがどれだけ脅威になるかということをトルコの猛烈な攻めを守り切ることで証明してくれました。ディフェンス崩されても最後には守っちゃうんですから溜まったもんじゃないです。細かい敗因を探すとすれば、二試合出場停止だったファディガが戻ってきましたが、逆に彼が入ったためにコンビネーションが思った通りに行かなかった、というところではないでしょうか。でもまあ、とにかくアフリカ勢の中で唯一ベスト16、そしてベスト8まで残って躍進ぶりをアピール。それも初出場ですよ。セネガルにも拍手を贈りたい。

 これで準決勝は、ブラジル対トルコ、ドイツ対韓国。優勝経験4回のチームと3回のチームが、初めてここまで勝ちあがってきた新興勢力を迎え撃つ、という戦い。伝統対新しい波。これは両方とも見逃せないですよ。

daylife

 今頃、韓国ではどんなことになってるんでしょうか。

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Jun.24,2002 (Mon)

daylife

 えびすさんのはてなアンテナから水道橋博士の「博士の悪童日記」を知り、面白くて読み耽ってしまう。この人、文才あるわあ。ということで仕事はいい加減モード。いつもですが。

 『空から降る一億の星』最終回らしいです。当然ワールドカップモードに入っていたので全然見てなかったんですが、飯食いつつチラチラ見てたら柴咲コウの衣装と髪型に大笑い。なんじゃありゃ。キムタクさんまでも視聴率が思うように取れず、プロデューサー及びディレクターがおかしくなったのでしょうか。それにしたってなあ。
 日記を書きながら音声だけ聞いてますけど、音声だけで全てが分かっちゃうのが凄い。つーか、だからなんなんだ、このドラマ。そして私が一番嫌いな主要キャラ殺してさあ終わり、パターンですか。なんだかなあ。

蹴球微熱 FIFA World Cup 二十五日目

 ワールドカップを2002倍楽しんじゃおう更新。残るは四試合。終わっちゃうよー。

 掲示版でちょっと話題に上った「サポーター文化」または「応援のマナー」について自分なりの考えを書いてみようと思い、どのような意見が巷間では主流なのかとWebなどを巡ってみる。
 すると、それよりも派手に取り沙汰されてる話題があることに気づき、そちらの方がより多くを内包している話題だったので、そちらから手をつけることにしました。決して見て見ぬフリをする気はなかったんですが、積極的に取り上げたいネタでもなかっただけです。
 ま、一人のサッカー好きの個人的見解としてお読みいただけると幸いです。「サポーター文化」、「応援のマナー」についてはまた明日にでも。というわけで以下↓。

「審判のジャッジ」と「韓国」

 本来ならあまり触れたくないことではあるが、サッカー好きを自認し、公言するものとしてはこの件に対して何らかの意見を述べておく義務のようなものがあると思ったので。ただし、うまくまとめられたとも、結論付けられたとも思っていないし、あくまでも私個人の考え方であり、これが「サッカー好きの見方」と誤読しないでいただきたい。
 まあ、くどくど書いても仕方がないのでなるべく簡潔に(それが出来れば苦労しない)。

 まず、自分でも良くわかってないのだが、この「祭り」は一体何に起因しているのか?。「審判のジャッジ」に対してなのか、それとも「韓国サポーターやその関係者」に対してなのか。私としてはこの二つの問題は別個の問題と認識している(根本的なところでは繋がっているのかもしれないが)。それなのに、この二つの問題がなぜだが、一緒くたにされている感が拭えない。だから、その点について主旨をおいて語ってみた。

 まず「審判のジャッジ」について。問題となるのは、「審判のジャッジ」が「おそまつ」なのか「不正」なのかということ。「おそまつ」なのであれば批判されるべきは審判個人(不正であってもそうだが)であって、ひいては彼らを選出したFIFAの責任。当然、韓国には何の問題もありません。逆に「おそまつ」な審判のせいでいわれのない批難を受けることになった韓国が被害者と考えても不思議はない。サポーターの応援がそうさせた、というのなら、そんなものに影響を受けてしまう審判がダメ。どんな状況でも正当なジャッジが出来る審判を選び出す、または育成する、というところに目を向けましょう。ルール改正云々についてはまた別の機会に。

 では、「不正」ならばどうなのか。まず、この「不正」がどのような経緯で行われたのかが問題。「不正」イコール韓国、なんですか?。皆さん(マスコミやこの問題に対して述べているサイト)が韓国とイタリア、またはポルトガル、スペインの試合に対して言及していることはわからんではないです。韓国より、と思われるジャッジは確かに存在しました。しかし、イタリア対クロアチアの試合(イタリアはこの試合のジャッジについてあれほど猛烈に抗議していたのに、今となっては忘れたかのようだ)、またイタリア対メキシコの試合(これまたトラッパトーニやトッティは文句を言っています)のように日本で行われた試合でも判定がおかしいといわれた試合は存在します。ドイツ対アメリカでは、リプレイでドイツの選手のハンドのシーンが何度も映されましたが結局アメリカのゴールは認められませんでした。それこそ日本対ベルギーの試合での稲本の幻の3点目のジャッジについて他ならぬ我々も抗議の声を上げたはずです。
 「不正」があったならあったで、その大元がどこにあったかもわからずに大袈裟に喚きたてるのはどうか、私が言いたいのはそういうことです。特に、あたかも韓国戦以外では不正なジャッジが行われていないかのように論ずるのはあまりにも一方的な見方ではないでしょうか。目立ったから批難、処罰の対象になり、そうでないものには目を瞑ろう、という考え方には私は同意できません。ツッコムべきところには全てツッコム。そうでなければ意味がないと思うのは私だけでしょうか。
 韓国に不正があった、と納得できる状況が生まれて初めて、批難、抗議する。そうでないのなら韓国だけに限らず、不正があったと思われる全ての試合、審判に対して、批難、抗議する。それが正しい方法ではないでしょうか。なんかあまりにも韓国にする一方的な見方が蔓延していてちょっとイヤ。

 これまでのワールドカップの大会でも審判による問題が取り沙汰されることはよくありました。有名なのはマラドーナによる「神の手」、ドイツ対イングランドの「疑惑のゴール」などです。その度々で審判に対する批難は確かに起こりました。「疑惑のゴール」の審判などは10年間ずっと「あれは本当にゴールしたのか」と聞かれ続けたそうです。今でも両国が対戦すれば「因縁の対決」と言われます。「神の手」は今となっては誰もが知っている世界一有名なハンドによる得点です。しかし、それら全てを含めてワールドカップなのであり、サッカーなんです。審判の誤審に対して抗議、批難することはアリだと思います。しかし、だからといってその大会が失敗だったとか、開催国が悪いんだとか、サポーターが悪いんだとかというのは問題のすり替えです。「神の手」が起こった大会は同時にマラドーナの「5人抜き」があった大会です。そしてこの大会は今でも「素晴らしい大会だった」と多くの人が述懐する大会です。イングランド大会決勝で「疑惑のゴール」でイングランドが優勝したからといって、この大会が最低だった、という人を少なくとも私は知りません。'90年のイタリア大会の方がよっぽど「最低だった」と言うでしょう。

 つまるところ「審判のジャッジ」それ単体に対しての批難や抗議は仕方がないと思うんですが、なぜかそれが「韓国批判」、「サポーター批判」に摩り替えられているのが納得いかないんです。そして韓国代表の選手は素晴らしいサッカーを見せてくれているにも関わらず、まるで彼らの勝利が彼ら自身の力でないように論ぜられるのも哀しいことだと思います。「韓国の選手がファールしても笛が吹かれない」。それは韓国選手の責任ですか?そうじゃないでしょう?。それと、「ファールしてるのに笛が吹かれない」と煽り立てて韓国選手のファールシーンをわざわざムービーにしてアップしているサイトなどを見るとそんなシーン韓国選手以外でもゴマンとあるわいと言わざるを得ません。そういうサイトには是非、戸田がペナルティエリア内で露骨に倒しているベルギー戦、ロシア戦のムービーをアップすることを提言したい。そして「日本は審判のおかげで引き分けた!勝利した!」と言ってくれ。私は決してそうは思わないけど。審判がミスジャッジすることにいちいち目くじら立てたらサッカーなんか観てられません。逆に「神の手」も「疑惑のゴール」も、そういったもの全てを含んでサッカーという競技なんだと思ってます。

 さらに言ってしまえば「審判に勝利を盗まれた」なんてあまりにも空しい言葉だと思う。確かにギリギリの試合では審判のジャッジ一つで情勢が変わることはある、あるんだけど、「審判がどっちよりでも関係ない。誰にも文句を言われないように点獲って勝ってやる」くらいのことは言えないものか。そうやって「勝つことで見返してやる」くらいのことは言えないものか。そういう意味ではカンナバーロのコメントは好きだ。トッティは見習って欲しい。
 大体においてですね、ミスジャッジのない試合なんてありえません(断言)。コリーナさんだってミスジャッジするよ。ソルトレイクオリンピックでのフィギアスケートの問題の時にも書きましたが、それも含めて競技なんです。自分に都合のいいジャッジについては目を瞑り、そうでない場合は目くじらを立てる、というのはどうかと。勿論、限度はありますよ。あからさまな判定や露骨なものは確かに批難・抗議されるべきでしょう。但し、審判がね

 審判の問題について「神の手」や「疑惑のゴール」に関しても確かにその当時は色々と騒がれたと聞いています。しかし、今となってはそれが一つの「語り」として存在している、伝説の彩りになっている、というのが私がサッカーを、ワールドカップを愛してやまないところかもしれません。だからこそ、今回のことがいつまでも尾を引いて欲しくはないし、純粋に1ゲーム1ゲームを見れば、これほど面白い大会もないと思うので、そういう記憶が多くの人に残って欲しい。切にそう思います。ゲームや選手達と離れたところで、この大会を貶めるような話題をいつまでも引きずって欲しくはないし、それこそ政治に絡めたりしてほしくない。そう思います。

 結局長くなってしまった。おまけにもう一つの話題である「韓国サポーターやその関係者」については殆ど語れなかった。時間があれば明日、書くかもしれませんが、基本的には上記の内容があくまでも主で「韓国」については「文化」の一言で言い切っちゃってもいいんですけどね。まあ、明日かな。

 ただし、審判問題について必ずしも納得せずとも仕方ない、という立場の人達がいると思います。それはそれによって被害を受けた国のサポーター達です。イングランドの人達は未だに「マラドーナは嫌い」と言う人もいるだろうし、ドイツ人は今でも「あれはノーゴールだ」と言い張ります。これはこれでいいんじゃないかと。こうした一人一人の熱い気持ちがまたワールドカップを盛り上げてくれる。だからこそ、因縁の戦い、とか世紀の一戦、というものが生まれるんだと思うんです。ただ、だからと言って必要以上にナーバスになって欲しくはないです。何度も言いますが間違ったのは審判(個人)であって、相手国の選手でもサポーターでも開催国でもありません。お願いだから「○○人を許すな!」とか言わないでくれ…。

 こんな弱小サイトで何を書いても多くの人に伝わるわけではないと思いますが、物事の一部分を捕まえて、それをより大きなものに波及させてしまうという現象を今一度冷静に考えてみようと、と言いたい。特に「国」という概念で何でも語ろうとする考えをいい加減やめようよ、と言いたい。それは海外、日本、そして韓国、全ての人々に対して。
 そして、あの時「ホームタウンディシジョンがあってもいいじゃないか」と言った、思った日本人がいたとしたら、それでも韓国の人たちを責めるのか、と問いたい。露骨すぎる、とか限度がある、というのは審判に対して「わからないようにうまくやってくれ」と言っているだけで、なにもかわらないと思うのですが。
 ワールドカップやサッカーの行く末を案じるのならば、開催国として、それも共催国として「韓国と日本は違うんだ、俺達は悪くない」などと逃げるのではなく、開催国として、共催国としてこの問題についてしっかりと考えたい、という態度がとれないものなのか。ワールドカップやサッカーと関係ないところで哀しくなってしまう。私は純粋に試合を楽しみたいだけなのに。
 もしこの大会が「失敗」として語られるとしたら、そういう部分なんだろうな。

涅槃の読書模様

 『複製症候群』西澤保彦読み中。なっか普段の西澤作品と会話のセンスやテンポが違う気がする。高校生が主人公だから?。

 レビューが溜まってるが、今はなかなか時間がない。いずれ一気に片付けよう。

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Jun.25,2002 (Tue)

蹴球微熱 FIFA World Cup 二十六日目

 赤い伝説の第一章はひとまず完結。まだエピローグは残ってるが。

 ふぅぅ。とりあえず勝ったよ。ドイツファンとしてはやきもきしっぱなしの90分。あれだけの空中戦でのチャンスがありながらなかなか点が入らない。バラックが一旦シュートを外した瞬間には「コラー!」、すぐ次の瞬間には「よぉぉし!」でしたけどね。でも一点差じゃ全然安心できないのが韓国。イタリアも終了直前にやられたしなあ。アイルランド戦のこともあるしなあ。ハラハラ。しかしまあ、今日も結局終わってみればカーン様々。よっ大明神。実は前半、韓国のシュートは2本だけでしたが2本が2本とも枠に行ってて、カーンのセーブに助けられていた。ということでゴールキックのシーンがなかった。韓国のシュートが当たっている証拠。ホント、ヒヤヒヤしましたよ。

 韓国はさすがに延長、延長で来て、中二日というのは相当辛かったようですね。いつものキレというか迫力がなかった。アン・ジョンファンソル・ギヒョンをスタメンから外したのも彼らの疲労や怪我の具合を考えてのことだと思うのですが、やはりこの二人がいないとなかなか攻撃の形が作れませんでしたね。後半二人が入ってからいいチャンスが作れていただけに残念。特にソル・ギヒョンが粘ってペナルティエリアに持ち込んでパク・チソンのシュートのシーンは惜しかった。いや、ドイツファンとしては冷や汗ものでした。
 しかし、なんだかんだ言ってもドイツに対しても真っ向勝負で一点差の試合をした韓国。試合内容でも負けていなかったし、彼らはすっかり自信をつけましたね。堂々たる戦い振りでした。日本はまたライバルに差をつけられたかもしれませんが、強いライバルが近くにいることを素直に喜びましょう。ワールドカップが終わったら早速日韓戦だ!。

 まさか今回のドイツが決勝まで上がってくるとはファンの私でも正直思ってませんでした。偉大なキーパーが一人いるというのはこれほどまでに違うものか。未だ、失点1。決勝トーナメントに入ってからは全ての試合が1-0。得点力がないこと、クローゼの得点がストップしていることが心配。そしてそれ以上に心配なのはバラックヌビルが決勝に出場できないこと。この二人が攻撃の要だったからなあ。まさに今日の得点に絡んだ二人がいないわけで、ちょっと厳しい戦いを強いられそうです。まあ、決勝まで勝ち上がったんだからよしとしますか。次回のワールドカップはドイツ大会。そっちで優勝してもらいましょう。

 もうちょっと元気な韓国の試合が見たかった気持ちもありますが、これ以上を望むのは贅沢と言うものでしょう。ベスト4です。3位決定戦もあるし、アジア代表として頑張ってくれ。そしてアジアの出場枠を増やすんだ。
 日本のサポーターはすっかり「次回はベスト8」とか言ってますが、その前に出場権を獲らなくては行けないんですからね。予選は予選で楽しみだけど。とにかく、ひとまずはご苦労様、韓国。エピローグは楽しんでくれい。

 それにしても民放のアナウンサーはどれも酷いものだったけど、今日の日テレの多昌アナは最悪も最悪。呼ぶ名前呼ぶ名前、全然違う。おまけにピッチの上で起こってることは奥寺武田の言ってることを復唱するだけ。いらねえよ。あんたは今日の日経に載ってた「字幕解説者」のお話を読みなさい。試合内容よりも実況に興醒め。

daylife

 書くかも、と言っていた「サポーター文化」と「応援のマナー」については書く時間が取れませんでした。とりあえず草稿は書いたんですがいつも以上にダラダラと書きなぐっただけのものになってしまったので推敲する時間が取れて、時機を逸しなければ載せる予定。

 でもまあグダグダ書くより、『勝利への脱出』(ジョン・ヒューストン監督、シルベスター・スタローン主演)でも観てもらった方が話しは早いんでしょうけど。あの映画にはサッカーという競技の持つ色々な側面が描き出されているし、なによりサッカーが持つ感動を描ききっている。是非、一度観てもらいたい映画です。ラストシーンは超感動。
 おまけに実際のサッカー界のスーパースターが出演しているというのも嬉しい。サッカーの神様、ペレも出てます。映画の中でスーパープレーの数々が楽しめます。そういう意味では「NIKE」のCMの先駆者みたいなもんだよな。

 明日はおそらく更新無し。狂ってきます。雨が止んでくれればなあ。

涅槃の読書模様

 『OUT(上)』桐野夏生読み中。内容は大体知っているんですが、スゴイ。色んな意味で。まともな人間は一人も出てこない。ホラーか、これは。

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Jun.27,2002 (Thu)

蹴球微熱 FIFA World Cup 二十七日目

 遂に本物のワールドカップに触れてきた。感無量だ。

 というわけでテレビではなく実地観戦の模様をお伝えいたします。座席はメインスタンド側の記者席の後ろだったので、ど真ん中だったのですが、ピッチまではかなり距離がある。ただおかげでピッチ全部が見渡せるのでよかったかも。選手もギリギリ視認できたし。

 開始直後、センターバックのルシオがいきなりドリブルでゴール前まで上がり、シュートまで持って行く。「今日も攻撃モードで行くぜ」と言わんばかり。しかし、すぐさまトルコもお返しと言わんばかりにシュートまで。互いに一歩を引く気はないらしい。これは面白い試合を期待できそうだ。

 で、その予想通り互いの好守が激しく入れ替わる展開。ブラジルはカフーサイドが比較的空いていたので、そちらからの攻撃が主。トルコはその裏を狙うか、まともに中央突破。
 前半半ば過ぎ辺りから、徐々にブラジルペース。しかし、何度も惜しいシュートがあったにもかかわらず、トルコGKリュシュトゥの好守に阻まれる。場内の雰囲気も彼のプレーには拍手拍手。トルコはハカン・シュキルハサン・シャシュウミット・ダバラの攻撃陣の動きが今一つ重い。さすがに日程的な辛さもあるのか。ゴール前までは展開できるし、入り込めるのだが、最後の最後でシュートが打てない。
 そんな感じのまま、前半は終了。後半もブラジルペースか。

 ハーフタイム、席を外し戻ってくる途中に後半開始。席に到着する直前にロナウドのゴール。観れてよかった。ゴールが決まった瞬間、場内は一斉に立ち上がり、物凄い歓声。おお、すげえ、これがワールドカップだ。リプレイ観たらリュシュトゥは手に触れてるんだけどねえ。ロナウドのシュートもジャストミートって感じはしなかったんだけど、あれが勝負強さか。

 個人的にはリバウドがゴールこそ奪えなかったものの、随所に彼らしいプレーを見せてくれたのが嬉しかった。それとロベルト・カルロスのフリーキックではなくロングスロー。メチャメチャ投げてます。蹴らなくてもボールは飛ぶぜ、みたいな。あれは目の前で見ておいてよかった。

 トルコも決して攻めあぐねてはいなかった。ただ、トルコにはミドルシュートと言う概念がないのか、ペナルティエリア内でしかシュートは打ってはいけない、というルールでもあるのか、ゴール寸前で阻まれてしまう。それが不思議。「ショット!」という声が背後から聞こえてくるが、それもわかる。ハカン・シュキルの振り向き様のボレーシュートには場内からどよめき。しかし今日も得点は獲れませんでした。

 今日のブラジルは守備も良かった。もし、トルコがミドルシュート打っててもキッチリとコースを遮断してたし、なによりボールへの寄せが早かった。上から見てるとそれがよくわかる。少しでもボールがこぼれたりするとブラジルDFがススッと寄ってくる。動き出しの速さ、判断、すべてよし。GKマルコスも安定しており、準決勝まで来てブラジルは遂に完成型を手に入れたという感じです。これは手強いぞ。

 最後はブラジルらしい時間稼ぎも見せてもらったし(場内はもう一度ゴールシーンが見たくて苦笑いだった)、その際にトルコディフェンダー4人がデニウソン一人について回ったシーンには笑わせてもらいました。トルコも強かったですが、最終的にはやはり役者が違う、という感じ。さすがは王国だ。

 これで、ワールドカップ七不思議の一つが解かれることになります。ドイツ対ブラジル。観てええ!!。チケット獲れねえかなあ。

daylife

 というわけで昨日は埼玉スタジアム詣で。楽しかったっす。最寄り駅を降りた瞬間、花火の出迎えです。こんなに近くで花火を見たのも初めてかも。ブラジル人、トルコ人、その他の外国人も沢山。皆、デカイなあ。ぞろぞろとスタジアムまで歩いているだけでワクワクしてきます。ちょっと長野オリンピックを思い出した。スタジアムの側まで行くと歌は聞こえるか鳴り物は鳴っているわ、笛は吹かれてるは大騒ぎ。チケットを見せて入場する前のスペースでも色んな出店が出ていたりして、チケットを持っていなくてもここまで来てみるのも面白いと思った。なによりこの雰囲気を味わえるだけでも貴重な経験です。試合開始まであまり時間がなかったのでそそくさとスタジアム内に足を踏み入れましたが、時間があれば色んなところに顔を出してみたかったかも。

 初めての埼玉スタジアム。とにかくデカイ。そしてピッチが見やすい。座席入り口を通ってピッチを観たら目の前に選手達が。コリャスゴイ。私の席はかなり上方だったのでそこまで行くと小さくなってしまうのですが、ピッチ全体が見渡せるし、なんせど真ん中だったので眺望は最高。9割方ブラジルファンが陣取る場内。トルコサポーターはゴール裏と、バックスタンド側の一部。それでも応援の形が整っていて、結構声が聞こえる。そして御馴染みサンバのリズム。ワールドカップのブラジルの試合を観てるなんてやっぱ信じられない。シュートがなかなか決まらないと自然巻き起こる「ブーラジル」のコール。とにかくこの雰囲気最高だ。

 というわけで一生の思い出になりました。次回のドイツ大会も行きてえー。試合が終わって駅まで向かう人込み。遅々として進まない行列にもイライラは感じない。背後のスタジアムから聞こえてくるブラジルサポーターの嬌声。あの人達はいつまでスタジアム内に残っているつもりなんだろう。これが決勝に残った喜びなのか。嫌な騒ぎもなく、幸せな時間だった。まさに夢だね。

 今日一番面白かった、というか謎だったこと。私達の前の座席にブラジルのユニフォームを着た人達が現れた。「ブラジル人なのかな?」と思っていると席に着いた途端ユニフォームをおもむろに脱ぎだした。すると下から出てきたのはアルゼンチンのユニフォーム。「ええ?!どゆこと?」。さらに後から来たメンバーはブラジルのユニフォームを着たまま。ブラジル人とアルゼンチン人の混成チーム?。謎。犬猿の仲で知られる二ヶ国のサポーターが一緒になって試合を観ている情景はなんとも言えず。これもまたワールドカップならではの楽しさかも。
 というわけで長々と自慢してみました(笑)。

 虚脱感。しかし、切り替えねば。人生は待ってくれない。前に向かって進め。韓国代表選手達のように。

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Jun.28,2002 (Fri)

蹴球微熱 FIFA World Cup 二十八日目

 あと二日で終わってしまうのか。嗚呼。
 マラドーナ来日。昔日の面影はなし。

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 ワールドカップに夢中になっていたら、実はウインブルドンが始まっていた。そっか、今年はいつもと日程が違うからね <ワールドカップ。
 で、チェックすると、な、な、なんとアガシサンプラスも既に負けている。ワールドカップ同様、こっちも波乱か。昨年はなんといってもイワニセビッチの驚異の粘りとサービスで感動的な結末だった。さてさて今年はどんなドラマが待っているのか。ここ10年くらいは男子テニスにあまり興味を持てなかったのだが、再び面白くなってきた気がする。一時期のパワーテニス全盛期から少しずつ変化して来ているからというのがその理由。近頃じゃ女子の方がその傾向が強くてつまらなくなって来ている。そういう意味ではヒンギスには頑張ってもらいたい。私が応援しているのはマリア・シャラポワだけど(知ってる人いるんか)。

 何かを振り払うかのようにがむしゃらに仕事する。今夜は徹夜だ。

涅槃の読書模様

 『OUT(下)』桐野夏生読了。こりゃ面白い。推理作家協会賞も頷ける。ドラマ化も映画化も頷ける。レビューは後日。

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Jun.29,2002 (Sat)

蹴球微熱 FIFA World Cup 二十九日目

 この試合に文句を言うような人がいるならば、それはサッカーを愛するものではない。そう断言する。最高のゲームだった。

 開始10秒。怪我で3バックの二人を代え、連携が心配された韓国DF陣の綻びを見逃さずハカン・シュキルが今大会初ゴール。始まっていきなりの出来毎。実況の青島アナも興奮する準備ができてませんでした。これがおそらく韓国代表最後の試合となるはずのホン・ミョンボ兄貴の痛恨のミス。しかし、試合としては俄然面白くなった。

 そして9分。イ・ウリョンのFKで韓国がゴール。見事。名手リュシュトゥもあれは取れない。激しい点の獲り合いの予感。
 予感は的中。13分。リュシュトゥのフィードからハカン・シュキルがポストプレイ。粘ってラストパス。イルハンのゴール。これもまた韓国DFのカバーリングの連携ミスからの失点。全く目が離せない展開に。

 その後はひたすら押せ押せ韓国ペース。かつてのオランダ、アヤックスの試合を彷彿させるかのような凄まじいスピード感溢れる試合。これがヒディングの目指すものだろう。トルコも奪った後は早い。おまけにどちらもゴール寸前というところまでいく。まさしくこれぞ世界レベルのゲーム。韓国はホントに強いよ。トルコも凄いよ。

 しかし、次の一点は圧倒的にボールを支配する韓国ではなくトルコに入る。これまた少ないパスで一気にゴール前へ。そしてイルハン。怪我のハサン・シャシュに代わってのスタメン出場。ブラジル戦でも彼がスタメンだったらと思うほど彼の動きはキレていた。前半で2点のビハインドの韓国。やはりここに来て体力的な限界が近づいているのか、急造3バックに不安は残る。

 そして後半、ヒディングはなんとホン・ミョンボ兄貴に代えてフェイスガードキム・テヨンを投入。ヒディングはあくまでも勝ちに行くつもりだ。だが、ファンとしては兄貴のラスト試合になるであろうこの試合で45分で交代とは、と思ってしまうのも事実だ。
 後半に入ると再びクレイジー韓国が復活。体力の限界なんて彼らにはないのか。攻めて攻めて攻めまくる。そしてそれを止めて止めて止めまくるリュシュトゥカーンがいなければ大会ナンバーワンGKに選ばれたであろう、素晴らしいパフォーマンス。途中、脚の具合が悪くなり、自ら交代を望んでいたが、そんなのが嘘だと思えるほどに全てのシュートを跳ね返す。トルコは彼に助けられたとしか言いようがない。一体、何本のシュートを止めただろう。しかし、逆にそれは韓国のシュートがことごとくゴールの枠を捕らえていたという証拠でもある。やはり韓国は強くなった。

 しかし非情にも時間は刻々と過ぎていく。どんなに攻めても2点差は縮まらない。ソン・ジョンググソル・ギヒョンの素晴らしいプレー。途中出場したチャ・ドゥリの縦への突破。韓国攻撃陣の展覧会。それでも最後の壁は破れない。遂にロスタイム突入。ここで韓国の韓国たる所以、最後まで諦めない力を見せ付けてくれた。後半47分過ぎ、ソン・ジョンググのミドルシュート。これまで頑なにゴールを守っていたリュシュトゥの手を弾いての渾身のゴール。だが、喜んでいる暇はない。時間は残り1分。韓国は再びゴールへと向かう。しかし無情にも笛は鳴った。2-3。韓国の挑戦は終わった。

 試合内容は韓国の完勝といってもいいはずだった。しかし勝ったのはトルコだった。DFのミス。そしてそれを見逃さず確実に点に結び付けたトルコ。終始スピードが衰えることのないゲーム。激しいチェック。見事なシュート。それを防ぐキーパー。そしてクリーンな選手達。
 この試合が素晴らしくてなんなのだろう。往々にして3位決定戦というのはモチベーションが下がってつまらなくなるか、負けることへのプレッシャーがないため面白くなるかのどちらかになるのだが、この試合は完全に後者。互いが攻撃の意欲を丸出しにして、勝つこと、そして自分達にとってワールドカップ最後の試合をエンジョイしようという意志がハッキリと見えた試合だった。拍手である。

 そしてそれを示すかのように試合終了後、肩を落とす韓国選手達をトルコの選手達が抱えあげ、やがて両国のイレブンが肩を組んで場内を一周。なんて素晴らしい光景なのか。それに答えるかのようにサポーター達は、トルコ、韓国両国の国旗を観客席で一周させる。感動。
 カメラは、ホン・ミョンボファン・ソンホンの二人を捉える。ワールドカップに4大会連続で出場し、名実共に韓国代表を引っ張ってきた二人。この二人に、今大会は出番のなかったチェ・ヨンスを加えた三人はJリーグでも互いに活躍し、日本人にも御馴染み。おそらくこれが韓国代表として最後のゲームになるはず。確かにこの試合は負けたが、それでも4位という成績はこの三人抜きに、そして12年間以上戦い続けた韓国代表選手達全てを抜きには語れないだろう。お疲れさま、といいたい。
 トルコは48年ぶり、そして2度目の出場で3位という栄誉を勝ち取った。これもまた素晴らしい。大会が始まる前に「韓国対トルコ」という3位決定戦を予想した人がどれほどいただろうか。しかし、その予想外の3位決定戦は、この大会でもベストゲームの一つに数えられる素晴らしい試合だった。ありがとう、韓国、そしてトルコ。

 いつか日本がこれほどの感動を私達に味あわせてくれることを願ってやまない。

daylife

 徹夜はさすがに眠いです。しかし眠気も疲れも吹っ飛ぶ試合が観れて満足でした。やっぱワールドカップはいいなあ。

 そうそう巷で話題のデジタルカメラ「EXLIM」。この間実際に店頭で見てきました。一目惚れ。値段も29.800円と手頃。30秒の音声付動画も撮れるということで欲望の歯止めは利きません。多分、買ってしまうと思います。
 明日買ってこようかな…。

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Jun.30,2002 (Sun)

蹴球微熱 FIFA World Cup 三十日目

 微熱は高熱となり、やがてひとときの平熱へ。だがまたすぐ、微熱が戻り、4年後には高熱が待っている。

 ワールドカップの七不思議であった、サッカー大国とサッカー王国のワールドカップ史上初の顔合わせ。しかも、それが決勝戦。なにか因縁を感じずにはいられない。そしてその気まぐれなサッカーの女神は、王国に史上最高5度目の優勝という幕切れを演出した。

 人間というものは欲をかく生き物だ。大会前の予想で期待されていなかったドイツが決勝まで来た。本来ならばそれだけで満足してもいいのだが、やはりガックリときた。

 ハマンのミス。そしてまさかのカーンのファンブル。言ってしまえばそれだけのことだが、それを確実にチャンスに結び付けたリバウドのシュート。そしてこぼれ球を一瞬のスピードでものにしたロナウド。やはり最後はこの二人だった。
 そして先制された一点を取り戻すために前がかりになったドイツ。その裏のスペースを見逃さず縦へと切り込んだブラジル。そして再びクレーベルソンのクロスをリバウドのスルーからロナウド。さすがのカーンも触れることは叶わなかった。2-0。勝負は決まった。

 守備のドイツ対攻撃のブラジル。戦前の予想とは裏腹にドイツは前半から何度もチャンスを作った。試合自体はドイツが押していたと言ってもいいほどだ。数えていないが、コーナーキックだけでも10本以上あったのではないだろうか。しかし、それだけのチャンスをドイツはものに出来なかった。あれだけの好機を潰したチームに勝利の女神は微笑まない。それがサッカーというものだ。個人的にはなぜ、ツィーゲを使わずボーデを使ったのか、それだけはフェラー監督に聞きたい。彼のクロスの精度があれば、と思わずにはいられなかった。ハマンのミスは責められるべきものだが、これまでの彼の貢献度を考えると、そう言えないのも本音である。

 決勝戦のブラジルはつまらない。これは私の格言である。94年アメリカ大会。98年フランス大会。ともにブラジルは「負けないこと」に必要以上にこだわり守備的に試合を進めた。自分達のやり方を変えて望んでしまったその結果。両大会とも無得点で終わっている。アメリカ大会ではPK戦で優勝を勝ち取ったものの、ブラジルの想像力豊かで攻撃的なサッカー望む人にとっては納得いかない試合だったろう。
 この試合も前半の終わりまで、ブラジルは「守りのサッカー」を演じた。カフーロベルト・カルロスの両サイドは殆ど攻めあがってこない。リバウドロナウドロナウジーニョの3Rもやや下がり気味の位置。DFラインはそこまで下げるか、という程に下げられている。これはまた格言通りのブラジルなのか、と不安に感じたほどだ。ドイツもブラジルがここまで守備的でなければ攻撃に力を入れなかったかもしれない。

 しかし、それが前半終了近くのクレーベルソンのクロスバーを叩いたシュートで一変する。ロスタイムもあわやという場面を作るがカーンに阻まれる。だが、徐々にブラジルの鼓動を感じられるようになってきた。
 後半、そうした中で両サイド、そしてエジミウソンらが攻めあがって来て、そしてゴール前で数的優位を作り、最終的にはハマンのミスを誘った。そして先制したらあとはブラジルのもの。守って3Rのカウンター。ドイツはどうしても一点が取れなかった。

 互いの役者が、役者らしい仕事をした。カーンは2点を獲られたとはいえ、スーパーセーブを見せてくれたし、リバウドロナウドがキッチリと点に絡んでみせる。シュナイダーバラックの代わりに中盤から前で見事な技を見せ、ヌビルが走る。FKも見事だった。ラメロウはドイツの堅い守備を見せ付けた。そして、個人的にはブラジル史上最高のGKだと思うマルコスがブラジルの最後の壁となり、ドイツを苦しめる。この大会中、見せ場を作った役者達の華麗なる共演。ただ、ロナウジーニョが戻って来てオールスターキャストが並んだブラジルと、クローゼの不発、バラックの出場停止というキャスト不足のドイツ。その差が明暗を分けた。

 ドイツファンの私としては試合が終わった瞬間はガックリと肩を落とすしかなかった。だが、表彰式でカフーが晴れがましくジュール・リメ杯を掲げる姿には素直に拍手を贈りたいと思った。
 4年前のフランス大会では観客席のVIP席で表彰が行われたが、やはりブラジルにはウィンニングランが良く似合う。国旗を掲げ、ワールドカップにキスしまくりながら場内一周する彼らを観ながら、「ああ、終わってしまったんだなあ」としみじみ感じた。この一ヶ月、たかがボールの転がる場所一つに一喜一憂し、絶叫し、歓喜してきた。それら全てが終わりを告げるウィンニングランだった。

 おめでとう、ブラジル。おめでとうロナウド。ドイツは4年後、開催国。そこで再び勇姿を見せてくれることを。

 明日は大会総括とshaka的ベストイレブン。の予定。

daylife

 昼間は劇団のミーティング。ほぼ順調か、台本以外は…。
 ミーティング後、「この後どうする?」と聞かれた私。当然のように、

 「今日は親が死んでも決勝を見る」

 と答えました。劇団員の乾いた笑いが気になるが、わかってくれとは言わない。というわけでさっさと帰宅して決勝を堪能。あ、親は死んでません。

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