ごくたま昨日日記 in October, 2001

- second 10 days of month -

上旬 / 中旬 / 下旬

最新のごくたま昨日日記へ

2001/10
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

トピック

Generated by nDiary version 0.9.2

Oct.15,2001 (Mon)

超久々に

 日記を更新してみる。思い通りに指が動かずちょっとイライラ。まあ四ヶ月もPCに触ってなければこんなもんか。習うより慣れろ(意味不明)。

 色々とネットを巡ってみるが流石に四ヶ月分の情報を取り戻すのは不可能なのであった。まあ、そうそう大きな変化はないとは思うのだが。いやいやちょっと聞いておくんなまし、という方がいらっしゃいましたら自己申告お願いします。今なら失業期間セールということでほぼ確実にメールの返信が受け取れます。多分。

ビデオ鑑賞『ホワイトアウト』[movie][video]

 言わずと知れた真保裕一の吉川英治文学新人賞受賞作『ホワイトアウト』【→bk1へ】の映画化である。原作も大好きでこの映画化に際しても著者自身が脚本に携わっているということで昨夏は大変楽しみにしていた一本だった。それだけに映画館で見れなかったことが残念。やっとお目にかかれました。

 ほぼ原作に忠実なストーリー(というかそのままか? 犯人の親玉役の佐藤浩市の設定はちょっと弄くってましたが)。なのだがそれでも全然楽しめた。っていうかメチャメチャ(は言い過ぎか)おもろかった。
 勝因はやはりキャスティングと本格的雪山ロケの自然の力。織田裕二はやっぱいいっすね。この撮影で椎間板ヘルニアになったんじゃないかっていうほどハードに演技してます。原作が「和製ダイハード」って言われてたけどブルース・ウィリスよりカッコイイ分、映画ではこっちの勝ちじゃないでしょうか(笑)。
 松嶋菜々子もこの映画唯一の女性という重役をこなしていてヒロインという言葉がピッタリきましたね。戦う女性が出てくるという点でもこっちの方が上かも。
 あとはやはり中村嘉津雄と吹越満ですな。この四人で殆ど持っていってました。

 真冬の巨大なダムと雪山の映像もインパクト充分。うーん、それだけに映画館の大画面で見れなかったのが残念。それにしても撮影はさぞや大変だったことでしょう。ダムの放水シーンとかは特撮なのかな。

 日本映画でこれだけのエンタテイメント性のある作品は昔の角川映画くらいしか思いつかない。近年では『誘拐』もよかったとは思うけど。
 地味な映画にはいいものが沢山あるんだけど、こういう映画も作れるんじゃん、ということで日本映画の行く末に明るいものさえ感じさせる映画でした。名作、っていうのとは違うけどね。

 それにしてもこの映画、極限まで台詞削ってます。台本薄かっただろうなあ。こういう緊迫感の作り方、好きです。

Oct.16,2001 (Tue)

近況

 隠遁生活している間に世間ではテロ事件が起きたり、狂牛病が上陸したり、アメリカのアフガンへの報復が始まったり、稲垣吾郎がテレビから姿を消したと思ったら森且行がテレビに出ていたり(あれは狙ったのかユニクロ)、世界は確実に回っているようです。まあ、ニュースソースが隔絶されていたわけではないので情報としては得ていたのですが、やはり実生活に戻らないとなかなか実感が湧きませんね。

 私自身についてといえば隠遁中に変わったことは、失業したことくらいでしょうか。やっと世間様に復帰できるというのになにをやっているんでしょう。まあ、噂によれば100人いたら5人は失業者なわけで広島カープファンの割合よりも多いことを考えたら珍しくもない。今のところ深く考えずに過ごしてます。財布の中身と銀行の残高には敏感にはなりましたが。

 で、復帰早々芝居関係に顔を出したりしたのですが、やはり一年以上現場から遠ざかっていたというのは精神的に大きいものがあります。遠ざかっていた分、やりたい気持ちは盛り上がっているんですが、ブランクの不安というのはなかなか拭えません。スポーツ選手のように体力が直接影響するわけではないもの芝居感覚とでもいうべきものが鈍くなっているような気がしてなりません。
 そんなことを言っていてもやりたい気持ちが治まるわけでもないので、やってみるしかないんだよなあ、と落ち着くところに落ち着いた今日この頃。約二年ぶりに執筆再開といきましょう。

 え?、以前は30になったら芝居から足を洗おうって言ってなかったっけって?。昨日のことなんて忘れたね、と言ったのはハンフリー・ボガードだったでしょうか。喉元過ぎれば熱さ忘れる。とかく此の世は忙しい。

ビデオ鑑賞『X-MEN』[movie][video]

 もはやアメリカでは説明不要、約40年もの間絶大なる人気を博し、今なお世界中で人気を誇るスタン・リー原作のコミックの映画化。あまりにも膨大なストーリーからどの部分をどのように映画化するのか興味津々であった。

 時は「そう遠くない未来」。人間が進化の過程で突然変異を起こし、特殊な能力を持って生まれた新しい人類・ミュータント。彼らは一般の人間からその能力ゆえに疎まれ、隔離されていた。
 X-MENとはそんな人類との共存を目指し、人類を滅ぼそうと目論むミュータント達と敵対するべく作られたミュータントの集団である。

 こうして書くと単純な正義のヒーローと悪者軍団の戦いを描いたコミックのように聞こえるが、アメリカが人種差別問題に揺れていた60年代に産声を上げたことからもわかるように根底にあるのは人間がもつ偏見や欠陥、白と黒で色分けできることのない正義と悪など決して薄っぺらではない内容が含まれている。
 X-MEN自身、超能力を操るヒーロー集団でありながら、メンバーの間での恋愛問題や裏切り行為など普通の人間と同じように、いや能力を持ってしまったが故にそれ以上に苦しみ悩んだりする。
 こうした決して単なるヒーロー群像を描いた作品でないところにこの作品の根強い人気が窺える。日本でいえば石ノ森章太郎の『仮面ライダー』シリーズ(*1)、永井豪の『デビルマン』等の一連の作品を思い描いてもらえばいい。
 それだけの作品だけにこの40年の間映画化もされずに来たわけだ。正直、期待半分、不安半分で見始めたのだが…。

 結論から言わしてもらえば「期待外れ」の一言に尽きる。まあたかだか2時間でこれだけ壮大な物語を語ることは到底無理なのだが、全てが中途半端に終わってしまった、という感じ。映画はパート2、パート3と続くそうだがどんなもんでしょうなあ。SFXやアクションも昨今の秀作である『MATRIX』などと比べても遥かに落ちる。セットもなんか安っぽい気がした。
 これがテレビシリーズだったら諸手を挙げて万歳するんだけどなあ、少なくとも50回以上は続くという前提で。うーん、それだったらホントに見たい。まあ、要するに『スタートレック』のテレビシリーズ並の出来だったってことですね。

 まあ、個人的には使えそうなネタを掘り出したということもあるので苦言はここまで。『X-MEN』初心者の方で興味がある方はアニメから入ることをオススメします。


*1: 現在放映中の『仮面ライダーアギト』はちょっと深すぎる気もするけど

Oct.17,2001 (Wed)

さむぅ

 といえば私。じゃなくて。なんだかすっかり寒い一日。太陽が出ないだけでこうまで寒くなるものか。このところ喉と鼻の調子が悪くて風邪気味だっただけにちょっとイヤ。ましてや明日は乾燥しまくり埃でいっぱいの芝居小屋で一日大工仕事と来たもんだ。あんまり無理しないようにしよう。折角入院生活を終えたというのにこれで風邪ひいて倒れたらただの馬鹿だし。

 どっちにしろ冬の足音は近づいている。さむさむにーやんの季節ですな。

ビデオ鑑賞『カル』

 ここのところ毎日のようにビデオ見てるな。それはそれとして。
 本作は韓国映画。あの『シュリ』を越えた!と謳い文句にあるが、最近の韓国映画は売れたらこのコピーがつくのだろうか(*1)。主演はその『シュリ』にも主演していたハン・ソッキュ。ヒロインは韓国では『JSA』のイ・ヨンエに次ぐ人気(らしい)シム・ウナ。中江有里と持田真樹を足して二で割ったような感じの清楚な美人です。この二人は『8月のクリスマス』という作品でもコンビを組んでます。

 事件は少年の転落事件で幕を開ける。それに引き続いて起こる殺人事件。計三体の死体はバラバラに切り刻まれた上、他の死体の一部と交換されて発見される。しかもどの死体からも足りない部分が。
 被害者の一人の身元が判明し、事件を任されたチョは被害者と交際中だった恋人スヨンを訪ねる。調べの結果、他の二人も過去にスヨンと交際していた男性だったことが判明。そしてスヨンの影には彼女にしつこく付きまとうストーカーがいることもわかってきた。
 しかし、そのストーカーまでがバラバラ死体となって発見されてしまう。一体犯人は?。そしてスヨンの過去にはなにがあったのか?。

 全編に渡って伏線らしきものが散りばめられてものの、その謎が謎を呼び、事件の真相は混乱へと向かっていくばかり。見終わってからも「わかんねえー!」と頭を抱えてしまった。意味深なシーンやカットが多すぎ。すっげえ気になって仕方がない。一見して頭に浮かぶのは『占星術殺人事件』(島田荘司)【→bk1へ】なんだけど、やっぱり違うんだよなあ。
 韓国で公開された際にも「謎が解けない」と話題だったということだが、これにはただただ頷くばかり。しかしホントに気になって仕方がないのでこの映画の謎について語っているWebサイトを捜してみた。
 ミステリで韓国映画といえば政宗九さんのページだろうと思って訪ねてみたら、やはりありました『韓国映画「カル」の謎に皆で挑む』が。ここには政宗九さん自身の推理が事細かに展開されているだけでなく掲示板も設置されているので色んな方の意見が聞くことは出来る。しかし、どれもしっくり来ないんだなあ。理論的に納得は出来ても根拠が希薄というか。私が犯人だったら「で、証拠はあるんですか刑事さん?」と言いたくなってしまうというか。かといって私自身が他の人を黙らせるような推理があるわけではないんだけど。
 でもなんだかんだ言って頭を悩ませる喜びがこの映画にはあります。ミステリ好きな人は挑戦してみて欲しいものですね。果たして正解がどこにあるのか、発表されたりするのか全然見当つきませんけど。見たら語りたくなること請け合い。っていうか語りたいから誰か見てくれ、ってカンジ。
 ただし、韓国映画ではタブーとされていた猟奇的な描写がバシバシ出てきますのでそっち系に弱い人にはあまりオススメできません。私個人もそういった表現はキライなので私が耐えられる範囲ではありましたけどね。
 それにしても真相は一体どうなっているんだ。誰か教えてくれー!!。

涅槃の読書模様

 『ささらさや』(加納朋子)【→bk1へ】購入。読むのが楽しみだわん。無職の身にはハードカバーはイタイんですが。加納朋子と恩田陸はどうしても買ってしまうんですな。

 隠遁生活中も何冊かは読んでましたが、その全てに書評をつける気にはなりません。個人的に衝撃を受けるくらい面白かったのは『模倣犯』(宮部みゆき)【→bk1へ】くらいかなあ。「今年のベスト」と推す方が多いのもわかります。私もおそらく今年はこれを越える作品は出ないと思う。
 宮部みゆきの凄いところはあれだけの作品数を書きながらコンスタントに凄いものを書いてくるところですね。もんの凄く分厚い上下巻ですがあまりの面白さに2日で読みました。殆ど徹夜だったけど。冗長だ、という意見も多いようですが私的には宮部の長さは許せる範囲です。
 あとはやはりフロスト警部シリーズの三作目『夜のフロスト』(R・D・ウィングフィールド)【→bk1へ】は面白かった。あのノリはフロスト警部ならではですな。


*1: 『JSA』もそうだったし

上旬 / 中旬 / 下旬

shaka / shaka@diana.dti.ne.jp