ごくたま昨日日記 in March, 2003

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Mar.3,2003 (Mon)

daylife

中国緑茶ブームって終わったの?。

土曜日は結婚式の後、某所で一晩中ブレインストーミング。翌日もそのままミーティングしていたのだが、花粉症があまりに激しく体力消耗。

そんなわけで疲弊しきっているので通常更新は明日から再開します。
遅れているメールの返事、掲示板へのレスも明日ということでお許しください。

Mar.4,2003 (Tue)

daylife

日本には国民総選挙って存在しなかったんだっけ?。自分が直接手を下すんじゃないにしろ、戦争に手を貸そうかどうかってのは「戦争放棄国」としては重大な気がするんですけど。国民が実際に選挙に参加するかどうかは別として、そういう意見すら出ないってのはどうかと思うんですが。

銀行もねえ、恥知らずって言葉がピッタシだよね。その厚顔無恥ぶりには拍手を贈りたい。そのうちに国民が銀行に頼らなくなってお金を手元に置いとくようになって空き巣や強盗や引ったくりが蔓延して日本が犯罪大国になって凋落していく姿が目に浮かぶようです。
それでもきっと銀行は変わらないのでしょう。ドンドン合併して最後にはひとつになっちゃうかもね。別に今でも名前が違うだけで一つなのと変わんないけど。
庶民のことなんか知っちゃいない、どんな恥や謗りを受けても自分が生き残ればいい、という考え方って素晴らしいですね。これが資本主義なんですね <そうか?。

メモ。

妹の結婚式

覚書として残しておこう。

前日の天気予報で予想されていた通り雨になってしまった。それも結構な雨に。これが思っていた以上に残念な結果になってしまったのは、「天から運を授かった女」と呼ばれる妹(*1)にしては非常に珍しい。

式は山手キリスト教会。横浜に住む女性なら一度は夢見る式場(という噂)。私自身も一度は足を踏み入れてみたい場所だっただけに願ったり叶ったりだ。こんな機会でもないと堂々と写真を撮るのも憚られるので色々と写真を撮ってきました。雰囲気はありましたが、それにしても協会は寒い。雨のせいでフラワーシャワーも出来ず。写真撮影も教会の中。まあこれくらいなら「ちょっと残念」くらいなんですが。

で、披露宴。雨が最大の誤算、というよりは霧が最大の誤算。なぜかってランドマークタワーの最上階である70階(展望台は68階)が披露宴会場だというのに窓の外は真っ白な霧で何も見えなかったのだ。晴れていればベイブリッジからなにから横浜港が一望できるはずだったのに。滅多に来れる場所じゃないのに、その恩恵を授かれないとは…。ホント、雪国の窓の風景のように真っ白でした。それもまた珍しいものが見れたけど。一番残念だったのは新郎だったに違いない。なぜなら新郎は大学の卒論で「高層建築からの眺望」に関する論文を発表した経歴があるからだ。それを意識してここを会場に選んだに違いないのに。正直、「実はここ、2階です」と言われてもわからんかった。それくらいのトリック <違います。

薄々わかってはいたんだけど、新郎の出来すぎぶりには義理の兄として肩身が狭すぎる。学業、仕事は言うまでもなく、スポーツ、そして人間性まで非の打ち所なし。結婚式だからいいことばかり言われてる、ってのならいいんですが、どちらかといえば「まともに話したらいいところばかりなんでちょっとダメっぽいところを強調してみました」になってるのがわかっちゃうのだ。親戚にこんな人間が増えてしまうことをどうか許してください、と頭を下げたい思いで一杯です。

しかし、14年前からの知り合いで、グループ交際してきて、1年半付き合って結婚ってなあ。二人思い出のスライドとか流れたんだけど、中学生の頃から一緒に写ってる。ビックリだよ。同じグループの友人たちはさぞや複雑な気持ちであろう。それだけの共通の友人が多く、和やかな披露宴になったわけだが。

そんなこんな和やかに披露宴も終わっちゃって、父親も母親も涙ぐんではいるんだが、泣く、ということもなかったので拍子抜け。親戚一同はめでたいめでたい、って感じだし(そりゃそうだ)。新婦の兄なんて居場所もないからせっせと写真撮ることに専念してました。端から見たら「妹思い」というよりも「妹バカ」の兄貴に見えたかもしれん。ま、今日くらいはいいか。幼かった頃の思い出で、「小さい頃はお兄ちゃんに怒られてばかりいました」というのは絶対に記憶違いだと思う。

私自身がジーンときたのは、妹と15年以上近く付き合ってくれている仲良しの女友達二人のスピーチ。彼女たちのことはさすがの私も良く知っていて、それくらい我が家にもよく遊びに来ていた。社会人になってからは三人で暮らすほど仲が良かった。その中で妹が先陣きって結婚する、ということもあり、彼女たちのスピーチは心に響いた。願わくば彼女達が結婚するときに、妹がちゃんとお返ししてあげて欲しい。うちの母親もここで一番涙ぐんでいた。
あと、新郎新婦が最後に両親にテディベアを渡したんだけど、これがなんと自分が生まれたときと同じ体重のテディベア。これは来るねー。翌日から母親がこのテディベア抱いてたらどうしようかと一瞬悩んじゃいましたが。

新郎はホントに良く出来たいいヤツ(失礼)で、最後の挨拶もプレゼンのようにハキハキと見事に締めくくっていた。そんな新郎を見るにつけ、「やはり妹は『天から運を授かった女』」なんだなあ、と思うわけなのであった。こんな兄貴の存在で相殺かもしれんけどね。

まあ、幸せになってくれい。できれば兄貴の存在は忘れ去ってくれると更にありがたい。
あ、そうそう未だにお祝い金どころかお祝いの品も贈っていないダメ兄貴なわけですが、なんかいいものないでしょうか?。情報求む。

涅槃の読書模様

『探偵術教えます』パーシヴァル・ワイルド【→bk1へ】読み中。

書店で、『ブックオフの真実』坂本孝【→bk1へ】なる本を見つけた。ブックオフの社長自らが語るブックオフの真実。本が売れないのは本当にブックオフのせいなのか?。出版不況の中ブックオフが生き残ってきたのはなぜなのか?。
物凄く読みたいんですが、この本こそブックオフで買いたいですね

あんまりミステリ系でも話題になってません(*2)けど『ミステリの美学』ハワード・ヘイクラフト【→bk1へ】も買おうかどうか迷い中。2200円って言う値段が微妙だなあ。でも、悩んだら買え、が鉄則ですかそうですか。

購入物。


*1: その手のエピソードには事欠かないほどの運の持ち主である
*2: ともさんのところで見たくらいですね

Mar.5,2003 (Wed)

daylife

昨日の『僕の生きる道』を見ていて、ふと「一年間限定の恋ってしてみたいなあ」と思った。ある意味で最低なこと言ってるかもしれないけど。『東京マリーゴールド』見ても思ったんだけど、終わりの時がわかってる恋愛ってどんな風になるのか、凄く興味がある。カウントダウンと共に自分の気持ちがどういう風に変わっていくのか、相手との関わり方がどうなっていくのか。とても興味があるのだ。
これって曲がりなりにも自分が創作者だから感じることなんだろうか。変な経験は少しでも多くしてみたいって気持ちがあるのは偽れないからなあ。

『僕の生きる道』は、まともに見たのは二回目だけど、今時珍しく、正面から見るに値するドラマになってると思う。面白い、というのは別で、テレビの前に座ってじっと見ていても見られるものを作っているという感じ。
最近のドラマの多くは、「ながら見」するならいいけど、気持ちをドラマに向けてしまうと粗が目立ったり、逆に集中できないものが多いように思う。芝居でもそうなんだけど、気持ちの入っていない部分がどっかにあると、見てる人はそれを敏感に感じちゃうものなんだよね。そう考えるとこのドラマの作り手は「本気」入ってると思う。出演者だけじゃなく、関わってる人全員がね。
ストーリーが面白いとか、そういうのとは別に、作り手側の本気さが作品を高めることは間違いなくある。これは経験でわかる。このドラマが見ていて気持ちいいのはそういう部分が大きいと思う。

『最後の弁護人』。今回は見事にやられた。ミステリ読みとして何度も喰らってる技なのにテレビでやられると新鮮だなあ。

『HR』。…うーん、ほんとにこれで笑って欲しいと思っているのか?三谷幸喜は?。笑えるとか笑えないとか以前の問題でしょう。笑えりゃなんでもいいのかよ。最初の頃の志はどこへ。

たかはしさん続・垂里幸子の検索と推理。うちのサイトもISBNとか明記していないから、こういう形で拾われると嬉しかったり。でも確かにインデックスが大変そうですねえ。いろんな方向性から試すことで新たな発見や話題の収束が見られることもあるので、これはこれで楽しい試みだと思います。
それ以上に、ネーミングセンスが素晴らしい。

個人的には、前にも言ったけど書評リンクのベースが出来て、そこから個人の書評のデータフォーマットが決まって、それを受けていろんな書評システムが出来れば一番嬉しい。言うばっかりだな >私。
とはいえ3月中はMYSCONもあるので、そちらに力を割けないのです。スミマセン。

涅槃の読書模様

『探偵術教えます』パーシヴァル・ワイルド【→bk1へ】読み中。
この本の解説でも書かれているようにワイルド『検屍裁判』が面白いらしい。でも、どうやら絶版らしい。読みたい。何方か貸してください。

私の悩みを見透かしたように、ある方から後押しのメールが届いたので、以下を購入。

で、やっぱりどうしても読みたいのでこっちも購入。

『ホイッスル! -24-』樋口大輔(ジャンプコミックス)【→bk1へ】[comic]

これにて完結。これだけ多くの魅力的なキャラを登場させておいて終わってしまうのは大変残念だが、著者が操りきれなくなったのだろう。それがわかっていながら終了直前に新キャラを出してしまうのはどうかと思うが。結局操りきれてなかったし。水野の気持ちがあれで納得になってしまうのはどうなんだろう。まあ、なにを言ってももう手に負えなくなったから終わるわけで今更ないようにごちゃごちゃ言っても仕方ないんだけど。終わり方は、うん、まあ、しょうがない。一応納得。あのまま風祭がほにゃらら、なんてことになったら怒り狂ったかもしれませんが。
このマンガに対する私の期待は凄く大きかった。ジャンプにおける『オフサイド』塀内夏子になれるんじゃないかと思ったほどに。それだけに後半の迷走は残念で仕方がない。著者が次回どういった作品を書くのかわからないが、自分の中で消化してから書けばいいものが書けると思う。前半の面白さはそれだけの期待をしてもいいほどだったと思います。

『アイシールド21 -2-』稲垣理一郎/村田雄介(ジャンプコミックス)【→bk1へ】[comic]

『ホイッスル!』と入れ替えにジャンプのスポ根路線を引き継いだ、と考えていいのかな。まあ、スポ根といっても現代的なスポ根で、ギャグの要素も強いですけど。絵もそうですが安定して面白いですなあ。徐々にアメフトのルールにも言及し始めて本格的になってきました。作画者はゲーム関係とかに携わったことがあるのかなあ。というのはコマ割とかに、その辺の臭いを感じるんですよねえ。単なるゲーム好きかもしれませんが。
これも憶測ですが、編集者は『SLUM DANK』に関係していたか、かなり意識をしているのではないでしょうか。展開がソックリです。これはこれで良いと思います。次は多分、サッカー出身者とかがキッカーとして入部、とかいう展開になるか、怪我していたメンバーが戻ってくる、とかなんじゃないでしょうか。多少非難を浴びてもいいから、頑張って長期連載して欲しい。ただし30巻くらいまで。

Mar.6,2003 (Thu)

daylife

野茂は素晴らしいなあ
中田もそうだけど、こういう貢献をしてくれるスポーツ選手は無条件に尊敬する。チャリティとかでもいいけど、自分が大好きなスポーツに、自分を育ててくれた土壌に還元するっていう方がわかりやすくていい。野茂はアメリカの独立リーグにも自分のチームを持っていて、日本人選手もテスト入団とかしている。一人でも多くの選手が野球を出来るようにしたい、という気持ちがよくわかる。

『美女か野獣』。國村準は『合言葉は勇気』に続いて二度、汚染から村を守ったね。「最初の一杯は、あんたに食ってもらいたい」はちょっとホロっときた。わかりやすいんです <自分。

『Number 571 プロ野球の挑戦』

「プロ野球の挑戦」と銘打たれてはいるものの、殆どはジャイアンツ関連の記事。松井の後を受けた新四番・清原、天才・高橋由伸、仁志、上原といったところ。
いくらなんでも「ジャイアンツの挑戦」というタイトルにしたら部数が売れないと判断されたのか、逆にジャイアンツ関連の記事が少なければ売れないと判断されたのか。おそらくは後者だと思うが、もし純粋に記事に取り上げるネタとして価値があるのがジャイアンツの話題ばかりなのだとしたら、今年もプロ野球は面白くなりそうにない。
あ、『Number』得意の阪神ネタはちょっとあります。

私はアンチ巨人だが、巨人の選手が嫌いなわけではない。特に、この号でもインタビューされている仁志のような選手は嫌いどころかむしろ好きである。これほどしたたかなプロフェッショナルはそういないと思う。勝手な憶測だが、仁志は日本のプロ野球選手の多くを軽蔑、というか少なくとも「自分とは違う」と思っているように感じられる。そのスタンスが好きである。彼はプロとか巨人とかいう状況に安穏とせず、自分なりの「プロフェッショナル」の領域を持っている。こういう選手が私は好きだ。広島の前田とかも、それに似ている。彼はプロとしてではなく求道者として自分を置いているという違いはあるけど。
仁志がもし、プロレスラーだったら最高のヒールになるだろうなあ。

巻頭では先日の「K-1 MAX」での魔娑斗と武田幸三、UFCに挑戦中の宇野薫、近くに迫った「PRIDE」のノゲイラ対ヒョードルの予想という格闘技の話題が三本。

K-1 MAXと宇野の記事を読んで思ったのは「盛者必衰の理」。といっても記事に載っていた三人に対してではなく、記事にすらならなくなった小比類巻と佐藤ルミナを思ってのことである。昨年のK-1 MAXでは魔娑斗の対抗馬として「ミスターストイック」という称号まで貰って持ち上げられた小比類巻。しかし、この記事では小比類巻の「小」の字もない。試合でもあっさり一回戦負け。世の中の流れが如何に早いかを感じさせる。
佐藤ルミナも一時は「ミスター修斗」とまで呼ばれ、女性ファンまでつくほどの人気振りだった。それが宇野に修斗チャンピオンの座を奪われ、防衛戦でも敗北を喫した後はすっかり表舞台から姿を見なくなった。対して宇野は修斗という枠どころか国内をも抜け出し、今ではUFCで王者を争う位置にまで来ている。

ムエタイの世界は「一度負けたら終わり」というシビアなものである。それは競技人口があまりに多く、次から次へと強い選手が現れてくるからだが、日本の格闘技界もそれに近いことになってきたのかもしれない。無論、ムエタイほどの競技人口はないが、戦う場所はタイよりも遥かに限られている。その場で生き残っていくのは「負けたら終わり」は言い過ぎだとしても一度でも「無様な戦い」をしたら終わりなのである。桜庭和志が負けてもリングに望まれるのは彼の戦いが決して「無様」ではないからだ。しかし、その彼でもこれ以上負けが込んだらどうなるかはわからない。
この風潮が、日本をより格闘大国として磨きをかけ、いずれはヘビー級でも世界と対等に戦えるような存在を産み出す力になることを望む。

今年は冬季オリンピックもなかったし、ジャンプ陣の不振もあり、冬季スポーツの話題が少なかった。それを反映して『Number』に取り上げられる機会も少なかったのが残念。いつでも構わないから、世界選手権で初のメダルを獲得した葛西紀明の記事と今年も好調を維持する上村愛子の記事が欲しい。そういったところをフォローしてくれるのが『Number』という雑誌の存在だと思っているので。

涅槃の読書模様

『探偵術教えます』パーシヴァル・ワイルド【→bk1へ】読了。レビューは後日。

『BREACH -7-』久保帯人(ジャンプコミックス)【→bk1へ】[comic]

ソウル・ソサエティからの介入によって、ルキアを奪われた一護。ルキアを取り戻すべく浦原のものとで修行開始。同様に織姫とチャドも謎の黒猫に教えを請い、石田は孤独な修行を開始する。
と、ジャンプらしいモードに入ってきたのはいいんですが、登場している人物の半分以上が謎のままで、ソウル・ソサエティも謎の存在で、そもそもがルキアが何故人間界に居続けたのかとか、わからないことが多すぎる。ポイントは抑えているので面白いのですが、そういったところが消化されていないのでやや欲求不満。あまりに多くの謎を安売りすると後で痛い目見るからなあ。次巻に期待、といったところでしょうか。

『ゼロ -43-』愛英志/里見圭(スーパージャンプコミックス)【→bk1へ】[comic]

これだけ長期にわたっての連載をこれだけのペースで続けてるのは脅威ですね。単行本もキッチリ出続けてるし。愛英志にネタ切れはないのか。内容的にはもはや「いつもどおり」以外に言う言葉がありません。
今回のネタは、ダーウィンよりも進化論を先に発表した男、ポンペイの幻のワイン、神の酒、自由の女神の第一モデル、神の竿。
正直いつまで買い続けなければならないのかという気持ちがあるんですが、つまらないわけじゃないから止められない。

Mar.7,2003 (Fri)

daylife

「僕」という一人称になぜか憧れる。話し言葉ではなく、書き言葉、それも詩や小説の世界で目にする「僕」という単語。「僕」という言葉で語られるすべてが、自分とは違う世界のことのように感じられる。この憧れはいったいなんなのだろう。僕は知りたい <書いてみた。

何が言いたいのだ!。ハッキリ言ひ給へ!。いや、やっぱり言うな。

うーん、やっぱりツッコミ機能が欲しいなあ。なんとか実装できないもんだろうか。

昨日の日記でごっつー恥ずかしい間違いをしていたけど誰からもツッコまれなかったのでコソっと修正。

涅槃の読書模様

『警視庁刑事』鍬本實敏読み中。

帰宅するとbk1から『ブックオフの真実』坂本孝/村野まさよし【→bk1へ】が届いていたので、読み始めてみた。まだ前半の「マツキヨ」社長の松本和那氏との対談部分だけだが、ビジネス書として十分面白い。自分が求めているのはそこじゃないけど、それは後半に書いてあるのだろう。
それとは全然関係ないが、個人的に驚愕の事実(*1)を知る。そうかあ、ブックオフはそうやって生まれたのか。

『探偵術教えます』パーシヴァル・ワイルド(晶文社)【→bk1へ】

最近、古き良き時代のミステリを掘り起こしている晶文社から出版されたパーシヴァル・ワイルドの1947年の作品。ワイルドはもともと劇作家だそうだが、ミステリの著作も何作か残している。中でも評判がいいのは『検屍裁判』だが、こちらは残念ながら絶版。

コネティカット州の小さな町サリーで、運転手を勤めるピーター・モーランは通信教育で探偵術を勉強中。
学んだばかりの探偵術を使いたくてウズウズしているモーランと、探偵養成所の通称「主任警部」の間で遣り取りされる書簡(と電報)だけで全編構成される連作短編集。

【P.モーランの尾行術】、【P.モーランの推理法】、【P.モーランと放火班】、【P.モーランのホテル探偵】、【P.モーランと脅迫状】、【P.モーランと消えたダイヤモンド】、【P.モーラン、指紋の専門家】の七編を収録。

どの事件でも(最終話除く)半端な探偵術を見当違いに駆使したモーランが、その見当違いの果てに事件を巧く解決してしまう、という展開。

基本的にはユーモア・ミステリという範疇になるのだと思うが、個人的にはあまり笑えなかった。作品としては面白いんですよ。劇作家らしく人物造詣は見事だし、書簡なのにそれを感じさせない読みやすさ。主人公のモーランはお間抜けな存在として描かれていますが、文才はあると見た。

この作者は相当な皮肉屋だと思う。解説やWeb上でのレビューをいくつか読んだけど、多くの人は素直にモーランの間抜け振りを楽しんでいたようだ。しかし、そうかなあ、それでいいのかなあ。穿った見方だとは思うけれど、それはワイルドの術中にはまってると思います(それはそれで別に構わない、というかそれが正しい楽しみ方なのか)。でも自分としてはその裏にあるアイロニーがどうにも癇に障ってしまった。

これまた解説やレビューで、『ピンク・パンサー』『裸の銃を持つ男』との比較が言及されていましたが、その気持ちは確かにわかる。そして、私自身、ここで掲出した二つの作品は大好きだし、見れば必ず爆笑します。
それがなぜ、この作品では笑えなかったかというと、この作品の主人公であるモーランは、確かにクルーゾーやドレビン同様、間抜けでおっちょこちょいなのだが、「真のバカ」ではないのだ。「バカ」であるのに、それを認知せず、他人を見下したり、こここでもまた見当違いの皮肉っぷりを発揮する。わかりやすく言うと、「天然」と「非常識」の違いということになるだろうか(本当か?)。非常に微妙な違いなんだけど。

微妙な違いではあるが、その一線を踏み越えるか越えないかは、私にとって結構大きくて、それが笑えない一番の理由だったと思う。まあ、そんなモーランだけに最終話のオチにはスッキリすることができるのだけれど。このオチ一つとってみても、ワイルドが相当な皮肉屋であることは明白で、その効果を充分にわかった上での仕掛けなんだと思います。

正直、何が言いたいか巧く伝わってないレビューだと思うのですが、自分が触られたら嫌な部分を微妙に触ってる作品なので仕方がない、ということにしよう。

おそらく、殆どの方は素直に楽しめて、笑える作品だと思いますし、個々の事件の解決にこの時代ならではの古さ(それを良しとするかどうかは好みでしょう)を感じることもできる佳作だと思います。エリザベス・フェラーズアントニィ・バークリーがお好みの方なら、読んで損はないでしょう。


*1: というとオーバーだが、あまりにも身近な話題が書かれていたので

Mar.8,2003 (Sat)

daylife

知り合いが出演している芝居を観に行った。

一人だということを痛感した。居場所がないってことも。あのまま立ち止まらず帰ってしまえばこんな思いをせずにすんだのに。まだどこかで期待していたんだな。

風が、冷たかった。

Mar.9,2003 (Sun)

daylife

MYSCON一週間前の総仕上げ。本番はまだ残ってるんだけど自分的には結構肩の荷が下りた感じ。いや、まだ本番はこれから、気を抜かずいかねば。と言いつつ、どよーん。当日までパワーを取っておこう。

今日はなるべく早く帰ろうと思っていたのに結局12時近くになってしまった。寝ます。

涅槃の読書模様

『妖異金瓶梅』山田風太郎読み中。

『ブックオフの真実』坂本孝/村野まさよし【→bk1へ】読了。面白かった。レビューは後日。

『警視庁刑事』鍬本實敏読了。レビューは後日。

『ラッシュライフ』伊坂幸太郎(新潮社・新潮ミステリー倶楽部)

『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞してデビュー。本作も新潮ミステリー倶楽部の一作として出版された。個人的にこのレーベルは当たりが多いので期待して読んでみた。

金の力で全てを動かす強欲な男と、その男をパトロンとした女流画家。
常に一人で動き、プロフェッショナルを自負する泥棒。
リストラされ、採用試験に40連敗中のさえない男と道端に捨てられた老犬。
互いの配偶者を殺そうと計画している不倫のカップル。
教祖である「名探偵」を崇める青年。
仙台を舞台に五組の人間たちの運命の糸が絡み合いもつれ合う。

スッゲー面白かった。言ってしまえば伊坂幸太郎『ドミノ』恩田陸なわけだが、『ドミノ』がドタバタ喜劇であったのに対して、こちらはバラバラ殺人あり、強盗ありといったように、よりミステリ色が強くなっている。それだけではなく、登場人物それぞれが人生の岐路に立っていたり、なんらかの苦悩を抱えていたりするので物語に深みがあり、より一層のスリルが盛り込まれている。

また、それぞれのキャラクターの造型が巧い。巧いったらありゃしない。目まぐるしく入れ替わるぶつ切りともいえる展開なのに、一人一人がしっかり描かれているので視点に迷ったり、感情移入しづらいといったことがまったくないのだ。これを巧いと言わずしてなんと言おうか。

ミステリ的な捻りも利きまくり。バラバラとなった死体がひとりでにくっついて動き出す、というメインの仕掛けは言うに及ばず、各パートで語られる奇妙なエピソードが、ラスト近くでパズルを組み合わせるかのように形を為したりなんかしちゃった日にゃあ拍手の一つも贈りたくなるってもんですよ。この「騙し」のテクニックは見事であり、痛快です。そっちの方が頭にのこっちゃってバラバラ殺人の真相が軽く見えてしまうくらいです。
しかも、このバラバラの物語をただ読ませて終わるのではなく、最後にはキッチリとカタルシスを与えてくれます。作者が巧く読者を最終的に一つの路線に乗っけているからこそ出来る技。

殆ど不満はないんですが、「高橋」の正体だけは気になって仕方がない。こいつはいったい何者だ?。お願いですから教えてください。
これは不満ではありませんが、この作者、女性に対しては冷えた見方してるなあ、と思いました。登場する女性はことごとく悪意の元に描かれてるんじゃないかなあ。

それはともかく、間違いなくオススメの一冊。やはり新潮ミステリー倶楽部との相性は抜群だと証明された。

Mar.10,2003 (Mon)

daylife

嵐の新曲『とまどいながら』は結構イイ感じ。嵐もSMAP路線にシフト?。

昨年結婚した友人夫婦と晩御飯。新婚旅行のお土産をいただいたありがたやありがたや。
その席上で『ルパン三世』ハリウッドで実写化の話題が出て、勝手にキャスティングして楽しんでみた。

ルパン:クリス・タッカー(エディ・マーフィが若ければ間違いなく彼なのだが)
次元:ジャン・レノ
五右衛門:真田広之(『ラスト・サムライ』でハリウッド進出だ!)
不二子:キャメロン・ディアス
銭形:ブルース・ウィリス(納谷悟郎の声で「ルパ〜ァン」と叫ぶ声が聞こえる。当然ガニ股で)

このキャスティングだったら是非見てみたい。でもギャラ高すぎて無理だろう。
その他にも剣で戦わず肉弾戦仕様の五右衛門でジャッキー・チェンとか、銭形はやっぱりトミー・リー・ジョーンズで「逃亡者」を追いかけるんだ、とか、カリオストロ伯爵はアンソニー・ホプキンスで「こっちにおいでクラリス」という台詞があるんだ(*1)とか。
こうやって色々考えてみると実写版もなかなかいけそうです。

涅槃の読書模様

『妖異金瓶梅』山田風太郎読み中。

購入物。

書店で見つけて驚いたのが、『人間の条件』森村誠一【→bk1へ】
なんとあの『人間の証明』でも登場した棟居(むねすえ)刑事シリーズの最新作が出ていた。森村誠一のミステリなんて久しぶりじゃないか?。すっごく読みたいけど上下巻で3000円はキツイなあ。文庫落ちまで待とう。ちゃんと憶えておかないと。

『警視庁刑事』鍬本實敏(講談社文庫)

40年間の刑事生活の中で80数件の殺人事件を手がけた、抜群の記憶力から「警視庁のコンピュータ」の異名をとった名物刑事・鍬本氏。本書はインタビュー構成により、氏の40年間に渡る刑事生活を振り返ってもらい、普段知ることのできない警察の裏話や、趣味人としての死に近づいた異色の一冊。

巻末にはミステリ作家として、生前の氏と交流のあった小杉健治高村薫出久根達郎宮部みゆきの追悼エッセイが収録されている。

書店で棚を流していてふと見つけたこの本を読んでみようと思ったのは、私が警察小説を好んで読むからというのもあるが、巻末の宮部みゆきのエッセイに惹かれたところが大きい。さらには高村薫、あの『マークスの山』で警察小説の金字塔を打ちたてた女史、自らが「『マークスの山』は鍬本さんとの出会いから生まれた」とまで語っているのだ。鍬本實敏という人物を知りたくなって当然だろう。

「警視庁のコンピュータ」という異名は伊達ではない。全編インタビュー形式で語られる談話の全てにおいて、氏は凄まじい記憶力によって細部を描き出していく。年月日はおろか、当時関わりのあった人物全てを憶えているのだから凄いとしかいいようがない。
また、語り口が絶妙で、おそらく字面では氏の語り口が半減されていると思うのだが、それでもスイスイとよまされてしまう。思わず「それで?それで?」と聞きたくなってしまう。語られる事件には大小様々あるのだが、氏の語りを通して聞くと、どれもが同じように「一個の事件」として語られているのがまた興味深い。

しかし本書は、そういった事件や警察という機構を暴露する、といったようなものではないし、資料としてのものでもない。いわば、語りを通して鍬本實敏という人物を浮き彫りにする、それが狙いなのである。
私たちはただ、「かつて警視庁にこんな刑事がいたんだ」という思いを巡らせればいいのである。

本書を読み終わって思うことは氏の人柄と共に、氏が感慨深げに語っているように「かつての日本は、かつての警察はこんなにものんびりとしていたものだった」という郷愁である。今の世の中が、今の警察が全くの非情な存在だとは思わないが、氏が生きた時代のような温もりはおそらく存在しない。
それを「時代のせい」と一言で言い切ってしまうのは、どこか寂しい感じがしてしまう。

これまで数多くの警察小説を読んできたし、これからも読み続けると思うのだが、その際に氏のような人物の存在をどこか頭に残しながら読んでいきたいと思う。


*1: 激しくクラリス違い

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