ごくたま昨日日記 in May, 2000

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May.21,2000 (Sun)

daylife

 なぜか休日なのに会社へ。しかし、仕事ははかどらず。明日頑張ろう(おいおい)。

 久々に劇団(自分の)のメンバーと会う。ちょいと色々思うところもあったので、それについて話す。珍しく感情的にもならず、激論にもならず、互いに言いたいことを言えて、伝えられた気がする。大人になったってこと?。とにかくわだかまっていた案件が一つ片付いたので良しとする。これでまた復活に一歩近づいたかな。やはりウダウダ考えてないで話し合うのが一番ということですな、初歩的なことだが。
 しかし、その一方で話の煽りを受けてしまったAよ、スマン。あんまり気にしないでおくれ。私が変わりものなだけで、君たちが普通なのだから。にしてもなんでこうまで自分は線引きにこわだるのだろう。原因を探ってみたい気もするが。

 んで、これまた久々にカラオケ。この3週間ばかりはとにかく喉が不調だったこともあって、歌ってないし喋りも低調。カラオケに行って歌えるのかどうか不安だったが、復調具合を見るにはよかった。結果、やはりブランクは大きかった・・・。肺活量が落ちてる上に喉の開きが狭い。こればっかりは少しづつ元に戻していくしかないだろうなあ。しかし、劇団のメンバーと遊んだのはホントに久々で楽しかったなり。と、今日は素直になってみよう。

 シューマッハー勝利。バンザーイ!。

『四月物語』【movie】【video】

 帰宅する前にビデオ屋に寄って『四月物語』(監督・岩井俊二/主演・松たか子)を借りる。で、夜も1時になろうとしている時間から観た。

 これはまさに岩井俊二の手による松たか子のプロモーション映画といって過言ではない。それともオマージュなのだろうか(本人が出てるっつーの)。詳しいことは知らないがおそらく監督が松たか子を主演にして映画を撮りたい、というところから始まった映画に違いない。決して題材が先にあってのキャスティングではないだろう。そして、その思惑通り松たか子の魅力が全編に満ち溢れている。個人的には松たか子自体は『ロングバケーション』の時は好きだったけどそれからは「いいかも」くらいでしかなかったのだが、この映画を見たら「すっげえいいよ」と思った。っていうか”普通”の感覚を持つ男性だったら(女性でもかな?)そう思うんじゃないかなー(ちょっと弱気)。決して「彼女にしたい」私が思うタイプではないんだけど、けなげで微笑ましい彼女を見ているとなんか応援したくなるというか。ああ、書いててクサさ全開な気がしてきた…。まあ、これを観て岩井俊二もドリーマーということがわかったのでよしとしよう(なんじゃそりゃ)。

 ストーリーとかはごっつ平凡です。とにかく楡野卯月という役柄を借りた松たか子が四月から新しい生活をはじめてからの日常が描かれているだけです。ちょっとした秘密はあるんだけどね。

 個人的には、本編の後にこの映画の予告編が二つ入ってるんですけど、その二つめの予告編が好きでした。私は涙もろくて、CMとか雰囲気とかだけでも涙が出てきてしまうのですが、この予告編もそういう感じでうるうる来ました。別に感動的ななにかがあるわけではありません。松たか子の瞳、これがそういう気分にさせたのだと思います。いい役者は必ずといっていいほど眼に力がありますが、彼女にはそれがありますね。時折、彼女が素に戻って見せる(予告編はメイキング風なのです)戸惑ってみせたような視線がとてもいいです。この予告編はあと2回くらい見ると思います。それくらいいいです。

 オススメしてくださったまなみさんどうもありがとうございましたm(__)m。

May.22,2000 (Mon)

daylife

 珍しく仕事をしっかりとする。明後日の出張までに片付けなくてはならんのだ。たまにキッチリ仕事すると気持ちいいね。たまによ、たまに。

 帰宅してまたまた『四月物語』の予告編だけ観る。うーん、ホントにいい。このまま繰り返して観ると松たか子の呪縛にはまってしまいそうなのでとりあえず2度でやめておいた。言葉やストーリーでなく映像で(それも役者の)心の琴線に触れるような映画が見たいなあ。そんな気にさせられた。

 とはいえ疲れているので風呂入って寝る。頭の中は空っぽ。なにも考えてません。

涅槃の読書模様

 通勤読書は『夢果つる街』トレヴェニアン
 読了したが、これはどんなジャンルにも当てはまらん小説だなあ。退廃感に満ち溢れていて、過去的でも未来的でもある、不思議な話でした。ちょっとフランス文学の香りがするね。

May.23,2000 (Tue)

daylife

 久々にCDを借りる。2ヶ月に一遍のCDシングルチェックである。今回は不作ですなー。ま、でも福山雅治『桜坂』はカラオケで歌えるようにしておくか(笑)。しかし、最近の曲はまた短くなりましたね。4分ないのも結構ある。TVのオンエアに合わせているのかな。スピッツは前から短い曲が多かったけどね。

 しかし、暑くなったなあ。初夏ですな。

涅槃の読書模様

 通勤読書は『スワンソング(上)』ロバート・マキャモン
 いわゆる核による第三次世界大戦で壊滅状態にあるアメリカを舞台にしたホラー。相変わらず描写が容赦ないんであまり食事時にはオススメできません(笑)。『ミステリーウォーク』もそうだったけど、多視点進行が面白いです。オムバスチックというか。どうやって、この話が交わりあうのかが楽しみ。しかし分厚い。上下巻で1200ページ以上あります。

May.24,2000 (Wed)

daylife

 会社にきて、ちょっと業務をこなしてすかさず出張へ。今回は沼津。新幹線での出張なんて初めてさ。新幹線でも『スワンソング(上)』ロバート・マキャモンを読む。平日の昼間の熱海で降りるサラリーマンが多いのはなぜだろう。

 出張先の工場は周りがゴルフコースっつーくらいなんもないところ。空気は美味いけどさ。通勤してる人も大変だわなこりゃ。妙なところでハイテクなのが工場っぽくて素敵。でもそのハイテクの理論がアナログ思考だったりするんだけど(^_^;)。

 帰りは小田原で新幹線を降りて残りは東海道線で帰る。さすがに上りは空いてるね。思ったよりも早かったし。近いな沼津(誤解)。

 もしかして会うかもなー、とか思っているとホントに会っちゃったりするからビックリ。というわけで多分一年近く会ってなかった後輩Sとバッタリ。一時間ほどお茶をする。ま、近況話になるのはやむを得ないか。互いの同期の人間についての情報交換など。うーん、年下のS達の方が着々と前に進んでる感じがするなあ。私の代の連中がマイペース過ぎるのか。類は友を呼ぶ。
 もっと話したかったがあまり引き止めるわけにもいかないので、メルアドをゲットしてバイバイ。いや、ひょんなこともあるもんだ。
 ひょんなことは続くものでバスに乗ったらMちゃんのお母様にバッタリお会いする。しかもいつもは車を使っているのに今日はたまたま車検で車がないのでバスを使ったそうだ。偶然というものは恐ろしい、というかホントこういうことって重なるよねえ。ちなみにSも私も出張帰りだったから普段はいないような時間に駅にいたし。面白いものだ。

涅槃の読書模様

 地元駅で書店により『勇午 -14-』真刈信二/赤名修購入。今回もハードな話なんだけど依然として勇午は出てきません。どうした主人公。

 帰宅してなぜか『NATURAL』成田美名子を読み返す。なんだか読み返したいなあ、と思っていたのだが、Sが弓道を始めたという話を聞いてますますその気になった。うーん、やっぱいいなあ、弓道。私もやってみたい。中学生の頃『時をかける少女』を見て弓道部に入りたかったというのはよくある内緒の話だ。しかし学区には弓道部のある学校はなかったので諦めたんだけどね。
 久々に会う人というのは思い出を誘発する。おかげで色んなことを考えてしまった。どうしたもんかな(なにをだ)。

May.25,2000 (Thu)

daylife

 そうそう、昨日書き忘れたが『未来日記』の今回のヒロインは今までで一番いいかも。まあ、好みの問題とかもあると思うんだけど、リアクションが自然。ビックリする時とかにやたらと大袈裟な表情とかされるとひいちゃうんだけどそれもなかったし。変にテレビ慣れせずこのままいって欲しい。でも実は「未来日記」は好きではありません。というか「未来日記」に限らず一般視聴者をいじくる番組とか企画は好きではないのだ。とかいいうつ「未来日記」は見てしまっているので偉そうなこと言えないんだけどね。

涅槃の読書模様

 通勤読書は今日も『スワンソング(上)』ロバート・マキャモン。ホントにこの人は「死」というものに対するこだわりが凄いね。いや、逆にこだわってないのか?。なんにせよ、常人とは「死」に対する感覚が違うことは確か。

 書店で『月神の浅き夢』柴田よしき『彼女が死んだ夜』西澤保彦購入。やっと出たよRIKOシリーズ。早く読みたくてうずうず。
 角川文庫、今月は強力な惹きのラインナップ。『いちばんはじめにあった海』加納朋子(書評は→ ここ())はハードカバーを持っているんだけどなんか欲しくてしょうがない。ハードカバーと似た感じの表紙のせいか。好きな作品だけに悩むところだ。『天使の屍』貫井徳郎はなんといっても解説が フクさん()ということもあって欲しい一冊。早速解説を読んでみたら内容も面白そうだったので買うつもり。しかし、金に困る今日この頃(今に始まったことではないが)。

May.26,2000 (Fri)

daylife

 帰宅して『ウリナリ』を見る。おいおい、今度はマッターホルン登頂部かよ。ホントに実現できるのだろうか。ウッチャンの「俺は一見竹を割ったような性格に見えるかもしれないが本当は納豆をかき混ぜたような性格だ!」に爆笑。上手いこというなあ。山川恵里佳の出番は少なくて残念。天然ぶりもあまり見られなかった。

 船木VSヒクソンはヒクソンの完勝。あまりにもあっさりと終わった。闘いの内容は戦った二人にしかわからないとしても傍から見たらその差は歴然だった。ヒクソンが最強かどうかは知らんが少なくとも船木よりも強いことはハッキリとわかった。しかし正直に言えばそんなに興奮しなかったなあ。あっさりと勝負がついたせいもあるが、なによりバーリ・トゥードの見本みたいな試合だったせいもある。意外性というものがない試合だった。だからつまらないというのではなく。ある意味予想を全く裏切らない展開だったからかな。へんな言い方だが安心して見れた。
 船木は引退か。ま、いいと思う。もうファイターとしてやるべきことはないでしょ。

 MYSCONのミステリ夜話のテーマが新しくなりました。今回のテーマは『黄金色の祈り』西澤保彦です。進行役は春都クンです。テーマ本を御読みになった皆さんはどうぞ奮ってご参加ください。

涅槃の読書模様

 通勤読書は相も変わらず『スワンソング(下)』ロバート・マキャモン
 下巻に入り話が一つにまとまりつつあります。こうなるとどう決着をつけるのかが気になるところですな。

May.27,2000 (Sat)

daylife

 本日は初台のオペラシティにあるICC(NTTインターコミュニケーションセンター)に行った。なんちゅうか不思議なアートを見た。アートなのか?。それすら判別に困るような不思議な展示物の数々。常設展も含めてなかなか楽しめました。
 このオペラシティというところは実は3年前に勤務先があったところだったので非常に懐かしかった。私がいた頃はまだ出来て間もなく、駅も含めて発展途上だったので久々に足を踏み入れるとそこかしこで見慣れぬ風景が増えている。とはいえ社会人になって初めてまともに仕事を覚えたり、様々な会社の方々とお会いしたところだけに感慨もひとしおである。ここの紀伊国屋でもたくさん本を買ったなあ。

 その後、新宿に出てお食事するが外は雨。聞いてないよ。天気予報で雨って言ってたっけ?。つーか、ホントに毎週のように新宿に来てるなあ。この一年でなんかい新宿に来ただろう・・・数えたくない。

 で、帰宅して当然のように『スーパーサッカー』を見る。
 おお!Fマリノス優勝!?。ビックラこいたあ。九分九厘セレッソの優勝だと思っていたのに。やはりプレッシャーか。正直な話ちょっと可哀想な気もするなあ。でもこれが勝負の世界だよね。酔っ払っているのか妙に上機嫌な川口が笑えました。いきなり「蒼いうさぎ」を歌い始めた時にはどうしようかと(私がオロオロしてもどうしようもないのだが)。
 そんなこんなで白石美帆ちゃんは殆ど出番なし。寂しい…。

May.28,2000 (Sun)

daylife

 ホントは会社に行ったりなんやかやしようと思っていたのだが、なにせ財布の中の残金が三桁しかない(正確にいくらかはご想像にお任せします)。というわけでダラダラしまくる。ひたすら寝まくり、起きたら起きたでマンガ読むだけ。怠惰極まりない一日。ま、こういう日もたまにはなきゃあな。

 そうそう、ダービー。いやー、武豊&エアシャカール興奮しましたねえ。おいおいマジで三連覇かよ!と思ったところに河内洋&アグネスフライトの凄まじい追い込み。天才をもってしても三連覇は簡単ではなかったか。いやホント堪能しました。馬券は買ってませんけどね。

May.29,2000 (Mon)

daylife

 一日で9万円を消費。それも生活費で。貧乏なわけだ。

 本もマンガも買いたいがとにかく貧乏なので書店をスルー。うう、哀しや。

 ナブラチロワが全仏オープンに出場するらしい。復帰か。今のところダブルスだけのようだが。インタビューでは「もう一度ウィンブルドンのセンターコートで試合がしたくなったから」と答えていた。43歳ですぜ。引退してから6年(まだそれしか経ってないのか)。グラフも引退して女子テニス界は完全に世代交代を果たしたと思った矢先の出来事である。
 ただ、個人的には嬉しい。私は女子テニスプレイヤーで一番好きなのはいまだにナブラチロワだし、あの当時「筋肉サイボーグ」と揶揄され、クリス・エバートの敵役みたいに言われていた頃から彼女のテニスが好きだった。自分が一番テニスを見ていた時期だったしなあ。43歳になってどんなプレイを見せてくれるかはわからないが、おそらく衰えているには違いない。だけどなぜかワクワクしてしまう。ナブラチロワ対ヒンギスとか見てみたいもんねえ。だって、ヒンギスの名前であるマルチナはナブラチロワの名前からとってるですよ。マンガみたいな展開。是非実現して欲しいものである。できればウィンブルドンセンターコート、つまりは決勝でね。

涅槃の読書模様

 通勤読書で『スワンソング(下)』ロバート・マキャモン読了。
 堪能堪能。ここのところ書評が完全に滞っていたのだが久々に書いてみようか。マキャモンがこれを書き終えてからホラーから脱却した理由がわかるような気がする。

 帰りの電車で『彼女が死んだ夜』西澤保彦を読み始める。
 『解体諸因』を読んだ時にはシリーズもののよさを感じられなかったが、この作品ではそれぞれのキャラクターが活かされてますね。まだ不充分ではあるけれども。
 帰宅してからも引き続き読みつづけて読了。西澤保彦のSFものじゃない作品は久々に読んだが、個人的にはやはりSFものが好きである。ただキャラクターシリーズものとしては結構好みかな。キャラクターものが嫌いな私としては珍しく楽しめた。いい意味で馬鹿っぽい会話とかが面白いのかな。これ、わざとだよね?。アメリカンコメディのようで楽しく読めます。トリックや事件性についてはちょっと落ちるけど。ま、これも書評で。

May.30,2000 (Tue)

daylife

 ここのところ書店に寄ってないなあ。金がないから仕方ないけど。そろそろ禁断症状。

涅槃の読書模様

 通勤読書は『月神の浅き夢』柴田よしき
 RIKOシリーズの第3作。お、面白い!。シリーズ最高傑作と呼ばれるだけのことはある。しかし相変わらず緑子のモノローグはちょっとウザイけど。これがなかったらこのシリーズじゃないしな。とってもスキャンダラスでいい感じ。

『メリーに首ったけ』【movie】【video】

 前評判で下ネタ炸裂しまくりと聞いていたが、これくらいなら全然問題ないでしょう。モンティパイソンを見よ。いやー、笑いに笑わせていただきました。臍で茶が沸かせるくらい笑いました(誤用)。特に冒頭の高校の卒業パーティ当日のエピソードには大爆笑。思わずクッションが捻り潰れるくらいに笑いましたよ。

 ストーリーとしては、高校時代にひとめぼれしたメリーのことを13年後の今でも忘れられないテッドが、調査員を使ってメリーを探し出してもらうものの、その調査員(ヒーリー)までがメリーにゾッコン(死語)になってしまい、さあ大変、というドタバタコメディー。

 ストーリーは単純明快。そこを見る映画ではありません。大笑いの連続なんですが、それらの殆どは本編とは関係のないネタ。テッドがマイアミにいるメリーの元へと車を走らせる道中のエピソードなんぞはホントにただのネタ。しかしバカウケです。
 全体的にお笑いのテイストは香港映画チック。ナンセンスとハイセンスが紙一重。あとはひたすらキャラクターの面白さで笑わせるといったところでしょうか。下ネタとはいえ相当お固い人でもない限り存分に笑えるものだと思います。それになんといっても主演のキャメロン・ディアズがカワイイ!。これなら首ったけになるわな。カワイイとキレイの中間というか、年齢を感じさせない女性ですね。前髪立ってる姿もサイコーです(笑)。それにしてもマット・ディロンは老けたねー。『アウトサイダー』が遠い昔のことに思えますわ。
 個人的には一段目のオチ(三段オチになっている)でまさかホントにあの人が登場してくるとは思ってなかったのでビックリしました。あれは反則っちゅうか、もうオイオイとしか言いようがありません。最後のスタッフロールの画面で出てくるメイキングからもわかるように、この作品はとことんまで映画で人をおちょくることにこだわった映画です。気分が落ち込んでいるような人は是非見るべき。Mr.Booシリーズとかが好きな人にはたまらないと思います(私はそう)。オススメです。はー、久しぶりに馬鹿笑いしたよ。

May.31,2000 (Wed)

daylife

 ああ、またやってしまった…。金もない、置く場所もないのに古本屋でマンガを12冊購入。バカである。禁断症状のリバウンドであろうか。

 つーことで「未来日記」も見ずにマンガを読みふけって夜は更けていくのであった。

新古書店問題・その2

 私にしては珍しく、ちと熱く(キツく)語ってみたい。発端は有里さんの日記かな。別に有里さんの言っていることに対する反論ではないですが結果的に反論になってしまう部分もあります。ま、論じてる部分が違うっちゃあ違うので、ある程度単独のものとして読んでいただきたい。

 何のことかと申しますと要するに「BOOKOFFなどのいわゆる古書店というかリサイクル書店が新刊書籍の売上に影響を与えている」ということについてです。その影響が「悪い影響」なのか「いい影響」なのか、ちゅうことですね。なお、この問題については以前にもちょこっと書いたのでそちらも参照していただくとありがたいです。

 まず結論から申しますと、古書店(リサイクル書店)の増加、というか一般への浸透については大歓迎ですね。勿論私は一人の本好き人間として本に対する愛はありますし、これからも面白い本を読みつづけたいとも思っています。そういった意味で作者や出版者にお金を還元したいという気持ちがないわけではありません。しかし、それ以前に思うこととして、本が適正価格でないことに対してどうしても納得いかないのです。ぶっちゃけた話「再販制度」という謎の制度に対する不満とそれに起因する本の値段設定に対する疑問ですね。
 物の価値というのはあくまでも消費者が判断するものであって、誰かに押し付けられるものではありません。「本」というカテゴリに対し、厚さ(?)で価値を見出す行為は逆に作者をバカにしているとしか私には思えないのです。嗜好品であるが故に本の価値というのは千差万別なのは認めますが、例えば三島由紀夫夏目漱石と殆ど名前も知られずあっという間に消えていくような(しかも評価もされていないような)作家の本が同じ値段というのはどういうわけやねん、と私は思ってしまうのです。要するに日本の本業界というのは全体的に見たらセット販売なんです。一部の人気作家や売れている本(雑誌に頼る部分も少なくないがここでは別として扱う)が他の凡百の作品を助けているわけです。

 そうした状況においてBOOKOFFや古書店というのは、やはりそこだけ見れば本を等価な値段として扱っているものの(絶版本は高い、とかそういう価値基準はあるが)、新刊書店との比較によって消費者に選択権を与える役割を果たしているわけです。世の中には新刊書籍しか買わない人も古書店でしか本を買わない人もいると思いますが、どちらでも本を買う、という人もいると思います。私の場合もそうです。この場合、明確にとは言わなくてもある程度の取捨選択が行われていることは間違いないと思います。そしてそれはまた正しいと私は思うのです。

 本の対する愛があるから新刊書店で本を買おう、というのはある角度から見れば正しい、それは認めます。しかし、だからといって私は消費者として供給側にいつまでも躍らされていたいとも思いません。かなり個人的な意見であることを予告して言わせてもらえば、今の日本(他国の状況は申し訳ないがよく知りません)の出版界は粗製濫造が目に余ると思います。そして、それが出版界の首をしめているのだとも思います。しかし、我々は粗製濫造されている作品も、後世に残るような素晴らしい作品(あくまでも一例です。後世に残らなくても素晴らしい作品もあります)も等価の値段で手に入れなければならないのです。これは果たして正しいことなのでしょうか?。

 つまるところ結論としては古書店(リサイクル書店)が流行って新刊書店が被害を被っても、それはそれでいいんじゃないか、逆にそれが正しい姿なのではないか、ということですね。これまでの出版・流通の悪しき伝統に胡座をかいてなんら企業努力や抜本的な改革を見せられない売り手が困るのは至極当然なのではないでしょうか。それによって最終的には消費者にまで被害が及ぶというなら、それもまた消費者に責任があるわけですし。誰かを甘やかすことで(しかも不当に)成り立つ経済原則は結局最後には崩れ去ります。日本にもAmazon.comやBol.comなど海外のネット通販会社が参入してきたのと同じように、異なる認識を持つ勢力が参入してくれば、それまでの甘えた概念はどっちにしろ無駄になるわけです。そうなる前に表面上の問題に捕らわれず、根本的な段階から問題を解決していく方法もあるのではないでしょうか。

 「影響」という部分にだけ目を向ければ、よく言われるように「古書店(リサイクル書店)で安かったから買ってみて、読んでみたら面白かった」という新たな購買層が増えることも勿論ですが、「つまらなかったり置く場所がなくなったら(邪魔になったら)古本屋に売ればいいや、いくらかにはなるし」という考えで本を買ったり売ったりする人もいるんですよね。古書店(リサイクル書店)の話をするときにどうしても気になるのは買うことばかり論じられて売ることが論じられないのが気になるっちゃあ気になるんですが。要するに中古車の法則とでもいえばいいのかな。中古車メーカーが増えると新車も売れる、という法則ですね。一度買ったものが簡単に、ある程度の値で売れるからこそ、新しい物を買う、ということです。そういう部分もあるから影響についてはここでは簡単に良し悪しと言わせてもらいましょう。

 最後になりましたが、「本を愛している」と言う言葉を免罪符にするのはちょっとどうかな、という気がします。上記の文章中で私も使っているのに言うのもなんですが。愛していることと甘やかすことは根本的に違うと思うんですよね。愛しているから厳しいことも言えるはずだし、現状に対し疑問を投げかけることも出来るはずです。決して「新刊書店で本を買う」ことが「本を愛す」ことではないと思うのですがどうでしょうか?。

涅槃の読書模様

 『月神の浅き夢』柴田よしきを読了。
 この作品の良さは、敢えてご都合主義ともとれるような展開をとることで読者の興味をヒロインの緑子に集中させることですね。だから面白い。ある意味では緑子がトラブルメーカーなんだけど。なんにせよ、これはシリーズ中一番面白かった。結末がちょっとはしょっちゃった印象は残るけど。次作に繋がると期待しましょう。


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