ごくたま昨日日記 in April, 2002

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Apr.21,2002 (Sun)

daylife

 昨日は芝居の稽古。キャスティングのためのオーディションみたいなものをやったのだが…キャスティングが余計に煮詰まってしまった。役者ってやっぱり役者だなあ(おい)。皆、なんだかんだでこなしてしまうので、逆効果だったかもしれん。なんとかします。
 他にも色々悩ましい話。準備が早いことだけが救いか。しかし、やっぱり稽古に行った後は台本に向けて頭が集中する。というわけでGW明けの〆切まであと僅かなので、日記が滞ったら「ああ、苦しんでる」と思ってて下さい。『サカつく』も禁止じゃ。

 ドラマ『空から降る一億の星』第二回。初回は殆ど音声だけしか聞いていなかったので、よくわかってない部分もあるんですが。
 なんつー、思わせぶりなドラマなんでしょうか。正直退屈。展開が見えてるのにやたらと引き伸ばされてもというのが印象(次回予告見たら思った通りにことは進んでるし)。演出家の名前までチェックしてませんが、なんかなあ演出意図が見えんよ(脚本もだけど)。サクサクと話しが進めばそれなりに見れるドラマになりそうなのに、勿体無いなあ。ま、それでもそこそこのドラマにしかならないとは思いますが。一番眉をひそめたのが音楽の使い方ですかね。私の趣味じゃない、と言ってしまえばそれだけだけど。選曲ではなく使い方ですけど。伏線の張り方もベタだしなあ。
 あと一、二回見てみて、盛り上がらんようなら見切るな。

涅槃の読書模様

 『黒い仏』殊能将之読了。レビューは明日以降。ですが、とりあえず一言。なんじゃコリャ!。さて、後に続くのは肯定か否定か。

Apr.23,2002 (Tue)

daylife

 約二年ぶりに働く。おかげで今日は疲れ切ってます。実際は通勤ラッシュでやられただけだけど。仕事の方はバイトということもあってそんなに大変でもない。アクセスをまだ頭が憶えててくれたので助かった。仕事よりも慣れない環境の緊張疲れもあるよなあ。
 でも通勤電車の中では本がたっぷり読める。疲れて寝なければね。

涅槃の読書模様

 疲れて寝たいので『黒い仏』殊能将之のレビューは後回し。今日は『図書室の海』恩田陸【→bk1へ】を電車の中で読みました。こっちはこっちで色々書きたいことがあるけどそれもまた後で。とりあえずひとつだけ。一編目の【春よ、来い】えがった〜。久々に体中にじんわりとした感覚が広がる感じがしました。やっぱいいわあ。

Apr.25,2002 (Thu)

daylife

 アルバイトだというのに三連荘で残業。なぜ。っていうか挨拶代わりに「これ金曜に納品するから頼むね」って。なぜ。そんな仕事をバイトに任せていいのか。
 それにしてもいきなりの社会復帰(残業付き)はさすがにキツイので明日はおやすみ。あー、ゆっくり眠れそうだ。
 しかしあんなに仕事が嫌いだったのに久し振りにやるとそれなりに楽しいね。すぐ飽きると思うけど。

 ドラマ『眠れぬ夜を抱いて』第三回。これを見るために頑張って帰ってきたら野球延長で30分押していた。なんだよ、もっとゆっくり帰ってこれたじゃん。それはともかく。
 やっとこさ重い腰を上げたか。いや、主人公がじゃなくストーリーが、という印象。第一回のプロローグから見せ付けていた事件にやっと本編がついてきた。まだまだ盛り上がっているとは言えないが、来週は田辺誠一も出るみたいだし、そろそろですかね。とりあえず来週を楽しみにしてコケたら切ればいいや。りょうの役目が良くわからないのだが…。

涅槃の読書模様

 いつになったら書くんだ『黒い仏』殊能将之のレビュー。今日も疲れてますんで後回し。なんだか書かないまま終わりそうだが。いや、そんなことはありません。

 今日は『ストレート・チェイサー』西澤保彦【→bk1へ】を読んだ。西澤保彦の小説というのはアメリカが舞台だと、日本が舞台の時より違和感が少ないように感じる。キャラの国民気質が外国向けなのかもしれない。当然作者がアメリカで小説技法を学んだという事実も大きいとは思うのだが。
 そういう意味では相変わらず会話が殆どで、キャラの個性で読ませる本作品はいつもよりも読みやすかった。おまけに西澤保彦にしてはノーマルな設定だな、と思って読んでいたら…やられました。他の人がやったら反則技にもなりかねないかもしれませんが、やはりこうでなくちゃ。
 とはいえ、小粒感は否めない。だが、こういう小品でもしっかりとした水準を保ってくれるからこそ、西澤保彦を読み続けてしまうのだな。

Apr.26,2002 (Fri)

daylife

 昼過ぎまで寝て、起きてテレビを点ける。何かが違うと思って気づいてみれば平日だった。たった三日働いただけで感覚は社会人に戻っているらしい。
 夕方から家を出て横浜まで芝居見物。以前所属していた劇団(こちらKGB)の公演。旗揚げから10周年記念ということで今回はなんと2本立て、しかも二つのストーリーは互いにリンクしあっているというものだった。なかなか凝った構成だが果たしてどんなものかと楽しみ半分不安半分で観に行ってみた。
 今日観たのは、一本だけだったが、これが予想以上に好印象。特に際立ったストーリーではないものの、総合的に芝居として面白かった。話の根っこや演出が好みだった(女優さんに好みのタイプがいた)ということも多分にあるのだが、少なくともここ数年のこちらKGBの中ではダントツに良かったと思う。特にラスト近くで芝居の肝とも言うべき台詞を聞いたときには「やられた」と思ってしまった。あの台詞は同じ脚本家として非常に悔しい気持ちにもなったし、素直に手を叩きたい気持ちにもなった。後で聞いたら台詞先行だったというが、それも然るべし。とにかく2本目を見るのが楽しみになった。月曜日の公演も期待しましょう。
 終演後、座長のKと女優さん二人と共にお食事。その際にいくつかの用件を話す。思いがけぬ情報を仕入れたり、本日の芝居について語ったり。仕事を忘れて芝居のことばかり考え、話した一日でした。

Apr.27,2002 (Sat)

歓迎 ヤラレの女王と一緒に古本屋を巡ろうツアー

 MYSCON3から一ヶ月。本日は京都からはるばるみのるさんが上京してくるらしい(って私がイベント幹事なんだけど)。みのるさん曰く、「東京に何度か来てますが私が行ったことがあるのは、新宿の紀伊国屋書店と西武(MYSCONスタッフ会議御用達だった喫茶店)、渋谷のダイソー(100円ショップ)とドンキホーテ、そして森川別館と後楽園のゲーセンだけなんですよ」というあまりにも偏った(っていうか間違ってる)内容だったので、今回はせめて神田神保町の古書店街を案内してあげようというツアーが組まれたのであった。
 2時にお茶の水駅の御茶ノ水橋口に集合だったのだが、到着するとみのるさんから電話。「今何処に?」「御茶ノ水駅」「え?見当たらないけど、何口って書いてある?」「聖橋口、かな」「逆だよ」みたいなやり取りが。初っ端から飛ばしてくれる。とりあえず確保して再び御茶ノ水橋口へ。髪を切ってさっぱりとしたしょーじくん、神保町から歩いてきたしなのん。はじめましてだったのりまつさんと合流。しかし、のりまつさんに「はじめましてshakaです」と名乗ったら「あーあ、あの」と返されてしまった。「あの」ってなんやねん!。最近ネット関係で初めての方に会っても「あなたが、あの」とか「噂で聞いております」とか答えられることが多くてちょっと困惑。
 そうこうするうちに七沢透子さんも合流し、一路古書店街へ。途中、勘違いして神保町駅で待っていたえんどさんを確保して喫茶店『さぼうる』へ。神保町には数え切れないほど来ているがここへは足を踏み入れたことがなかった。大体が本屋以外に行くのは500円以下で飯が食えるような店だけだったからなあ。7人全員が異なった飲み物を注文して店員を困らせた後、ここで一旦雑談&神保町レクチャー。そしていよいよ古書店街を歩くことに。神保町交差点からすずらん通りを小川町方面に歩き、気になるお店を見つけたら適当に覗いてみる。途中さらに奥の通りに入って絶版漫画に涎を垂らす人あり、横溝白背に悲鳴をあげる人あり、いい目の保養になったと嘆息する人あり。靖国通りに戻り再び神保町交差点方面へ。書店のおっさんにいぶかしがれ、ガンダム占いにのけぞり、友成翻訳本に心惑わされ、行き着いた先は神保町古書センター。ここで再び漫画や同人、アニメ雑誌にうつつをぬかし、『ドグラ・マグラ』45万円の文字に脳天を打ちのめされ、金文字の経典1200万円に金銭感覚を失った。
 なんだかんだでみのるさんを案内すると言いつつ、参加者全員が楽しんでたし、自分としてもこういう機会でもないと探索しない店を新たに発見したりという喜びがあった。しかしやはりこの街は魔の街だ。

もはや何がなんだかわからないけどとりあえずやっとけオフ

 古書店巡りツアーはここでひとまずお開き。私とみのるさんしなのん午前零時で針を止めろ!主催の「みのるさんを歓迎すると見せかけて放置プレイ」オフに参加(下僕)するために渋谷へ。いつものところで待ち合わせ。続々と集まる参加者とみのるさんの間で「みのるです」「××です」という言葉のやり取りが延々繰り返される。幾人かの遅刻者をさっさと見捨てて店に向かおうとするが、みのるさん以外が顔を判別できないnoraさんが待ち合わせ場所に辿り着いていない。地上に出て姿を探そうとするものの、もんの凄い人並み。四苦八苦しつつnoraさん確保。波に逆らうように人並みを押し退け店に向かう。途中幾人かが遭難しかけるが、しなのんはりーが灯台の光のように誘導。背がデカイっていいよなあ。私はひたすら先頭切って店を目差し到着。よかった誰一人はぐれてはいないようだ。
 今日のオフはお好み焼き&もんじゃ焼きみのるさんに少しでも東京を感じてもらおうと思っての企画だったが、以外にももんじゃ初体験の人が多かったのは驚き。てやんでえこちとら江戸っ子でえ。というわけで、各テーブルごとに勝手に注文、焼き、食い、飲み、とまさに勝手知ったるメンバーの勝手なオフとなった。
 以下オフレコ。

 ・Hさんが相変わらずブレーキの壊れたダンプカー状態でお好み焼きを平らげていた。
 ・Tさんの経験談に理不尽な憤りを感じた。そいつを連れてこい!。
 ・MTさんとNYの貪欲さには…。
 ・Nさんの今、日本で一番しシャレにならない話。
 ・MNさん携帯電話を無くしたと思いきやカバンの下にあるやんけ。
 ・この店はチャーハンも自分で作るのかよ。Tっきー作って。あ、NYありがと。
 ・遅れて参加しても元は絶対取ったるでFくん、でも出世の花道は下っちゃうぜ。
 ・G集中砲火を浴びて弱ったウサギの目になってるぜ。

 といったところだろうか。3時間近く飲んで食ったにもかかわらず料金は一人2000円也。安い。と思ったが、実際は人件費がないようなもんだから当たり前か。とりあえずもんじゃ焼きを楽しんでいただけたようでよかった。お好み焼きも美味しかった。

 二次会はカラオケボックス。二部屋とって歌い部屋と話し部屋に分かれる。前半の比率的には圧倒的に歌部屋に人が集中。予約があっという間に埋まり、リモコンキープ状態。結局私はずっとこっちの部屋に居たので話し部屋の様子はわかりません(過去のトラウマ)。カラオケもいつもの調子でK1さんの血管ぶち切れ熱唱あり、Eさんの渡辺美里あり、MNさんカラオケでもいじられ、私の入れた曲はことごとくハネられ、Sのんはやっぱり年齢を偽っているに違いなかったり、とそんな感じ。初めて午前零時オフに参加したはずの二人があまりにも違和感なく一体化していたのが一番印象的だったかも。いつもの光景、としかいいようがない。

 んで帰路につく。渋谷から東横線に乗り横浜で終電を待つが、な、なんと30分待ち。おまけに寒い。いや、自分のせいじゃないって。やっとこさ来た電車に乗り、古書店街で手に入れたマンガを読みつつ帰る。1時半に帰宅。遠いやなあ。

涅槃の読書模様

購入物(ああ、禁じてたのに…)。

 ・『百億の昼と千億の夜』光瀬龍/萩尾望都(少年チャンピオンコミックス)

 これ、私が6歳の頃に少年チャンピオンで連載されてたもの。この連載が終わった直後くらいからチャンピオンは読み始めたのですれ違いだった。原作が光瀬龍で画が萩尾望都ですよ。そりゃ読むしかないでしょう。
 で、読んでみたわけですが。うーん、難しい。マンガになっても原作の難しさは変わってないのではないだろうか。これ子供の頃に読んでたらどうだったのかなあ。とりあえず何度か読み返してみます。そういうマンガだと思う。一度じゃすべてを受けきれないでしょう。

Apr.28,2002 (Sun)

daylife

 ひろえ@HPL夫妻宅に宿泊しているみのるさんを迎えに来るついでに、朝飯も食わないか、というお誘いを受けたので朝っぱらから新婚家庭にお邪魔する。食卓のテレビにはなぜかドリキャスが繋がれガンダムが。「みのるさんもshakaさんも居ることですし」という意味不明な家主(?)。トーストに目玉焼きを挟む時は半熟卵の黄身を割るか割らないかで揉めてみたり。新しい発見だったのはひろえさんは朝はそんなに食べない、という事実。いや、私が来る前に既に何か食ってたのかも知れんが。食後のデザートに六花亭のカステラまでいただき、ひとしきり馬鹿話(横溝は近親相○愛憎劇だ、など)した後、おいとまする。ご馳走様でした。また遊びに行かせていただきます。
 電車に乗ろうと切符を購入し、自動改札を抜けると背後でなにやら警報が。…みのるさんが捕まっている。なんて幸先のいいスタートなんだ。一旦、新宿まで行き、みのるさんの荷物をコインロッカーに預ける。いろいろ手間どい、集合時間には確実に遅れることが判明。さらに私の電話にINOさん雪樹さん七沢透子さんから遅刻の電話が入る。うーむ。集合時間を過ぎて松本楽志から電話が入る。「3人(9人集まるはず)しかいてないんですけど」「スマン、少なくとも5人遅刻する」「しばくど、ボケ(やや誇張)」。てな会話がありつつ、森川別館へ向かう。南北線東大前駅で偶然INOさんと合流。「ガス給湯器が壊れて風呂に入れないんです!」と会うなり叫ぶINOさん。なんて幸先がいいんだ。
 大通りを曲がり森川別館方面を見てみると人通りもない住宅街に怪しい人影が。しかも苛つきを抑えるかのように激しく身体を揺する男が一人。その男は私達の姿を見つけると中指を立て(やや誇張)身振りで早く来いと促している。仕方なく走って合流しようとする姿を蔓葉さんに激写される。会うなり「集合時間に3人しか居ないとは何事だ!やる気が感じられん!」と激昂するがくし。おそろしくやる気満々である。そんなこんなで全員集合。かくして我々の挑戦は始まったのであった。

どこ行くんですかゲーム in 東京

 皆さんはV6『学校へ行こう!』という番組をご存知だろうか?。その番組の中で「どこ行くんですかゲーム」という企画がある。どのような企画かというと、道行く人に行き先を尋ね、その人が答えた場所に行かねばならない、というゲームだ。スタート地点とゴール地点は決まっていて、プレイヤーはゴールを目指し、宛てなき旅をする。私はこのゲームが非常に好きである。もちろんテレビの企画としてだ。しかし、いつからか私の心の中にひとつの野望が目覚めた。「実際にやってみたい…」。

 事の発端はMYSCON3だった。深夜企画『笑う大捜査線』終了後、我々はハイテンションのままスタッフ部屋で反省会というか談笑していた。どういう経緯でこの話題が出たのか記憶が定かではないが、私はこの「どこ行くんですかゲーム」を現実にやってみたい、というようなことを話した。しかし同時にこの企画のを無謀さを理解もしていた。だから「ディズニーランドとか限定で、次なに乗るんですかゲーム(*1)、みたいのなら出来るんじゃないかな」と提案した。とはいえ正直「なにを馬鹿な」という反応が返ってくるのが精々だと思っていた私の耳に、信じられない言葉が聞こえてくるのである。「東京限定くらいでも出来るんちゃいます?」。そしてさらに幾人もの同意の声。かくして正常な判断を失ったまま「どこ行くんですかゲーム in 東京」はその場で決行が約束され、日取りまで決まった。参加するメンバーは「大捜査線」の面子とその場で話しに加わっていた冴西理央さんの10人。かくして我々は約一ヶ月もの間、そのテンションを維持し続け決行の日を迎えたのである。

 時間を元に戻そう。そんなわけでやる気満々のがくしを筆頭に9人がスタート地点である森川別館(MYSCON会場)に集まった。残念ながらGAKU管理官は仕事の為、後ほど合流することとなったらしい。まずはチーム分け。グーチョキパーという原始的な方法で3チームに分かれる。チーム構成は、INOさん蔓葉さん冴西さんチーム。がくし七沢さん雪樹さんチーム。そしてみのるさん花さん、私チーム。このチーム編成を見て蔓葉さんが一言、「うちのチームは問題なさそうだ」と呟く。他のチームのメンバーは一斉に「まるでこのチームに問題があるみたいじゃない!」と喚きたてる。さらにがくしが我がチームを見て、「そのチーム、おもろそうやなあ」と呟く。その言葉を聞いて我々は思う「こいつにだけは負けん」と。しかし、他にチームのメンバーはしっかりと地図を持ってきているにも関わらず、我がチームには地図を持っている人間はいないのだった。
 森川別館前では人通りもないのでひとまず水道橋まで出ることにする。道中もがくしは「遅刻する奴がいるから、あと5時間しかないじゃないですか!」と捲し立て、自らのやる気がただならぬことをアピールし、他のメンバーはゲーム中こまめにやり取りする為互いのメールアドレスを交換する。しかし実はやる気満々だったのではがくしだけではない。言い出しっぺの私は当然だが、他の皆も負けず劣らずの気合であった。その証拠にこの集団半端じゃなく声がデカイ。道往く人が不思議そうに振り返っていた。そして私は「今日東京中で最もバカなことをしているのは自分達だと誓えるように徹底的にやってやる」と思ったのであった。

 やがて一向は水道橋に到着。いよいよゴールである新宿タイムズスクエア目指して我々の無謀というかバカ丸出しというか常識という鎖に刃向かうような挑戦が始まったのである。
 しかし、いくら気合ややる気があるといっても、道往く他人に声を掛けるのは容易いことではない。あの人がいいかな、このカップルはどうだ、などと言ってみるばかりでなかなか勇気は湧いてこない。相談の結果、スケッチブックのようなものに「企画やってます」みたいなことを書いて宣伝しつつ声をかけたらどうだろう、ということになり直ぐ傍のAM/PMでノートとマジック(ついでにカメラ)を購入。早速マジックでノートに文章を書き入れる。するとどうだろう、女性陣二人はこれまでのためらいが嘘のように子供連れのおばさん目掛けてダッシュして行くではないか。私自身はまだ心の準備が出来ていなかったので慌てて二人を追う。女性ってスゴイやね。しかし意を決してぶつかって得た答えはなんと、

 「八千代台」
 千葉かよ!

 このゲームは東京限定で行われている為に、東京以外の地名をゲットしてしまった場合はペナルティとなる。ちなみにNGワードも用意されていて「空港(成田、羽田)」をゲットした場合はスタート地点に戻る。チャンスワードとして「ディズニーランド/ディズニーシー」をゲットした場合は渋谷に行くことが出来る(*2)。というわけで、初めての挑戦は見事失敗に終わったのであった。
 いきなり凹まされ、なかなか次の人に声を掛けられないでいると、蔓葉さんから連絡が。「二子玉川に向かいます」。これぞ『どこ行くんですゲーム』である。ざまあみろ、と思う気持ちの反面「ちくしょう、楽しそう」という気持ちが湧き上がる。この報告に気を取り直した私達は再びお子さん連れのおばさんに「どこ行くんですか?」と質問を投げかけたのであった。そして返ってきた答えは。

 「東京ドーム」
 戻っとるやんけ!。東京都区内フリー切符買ったのに使っとらんやないけ!

 しかしこれがこのゲームである。仕方なくトボトボと東京ドームに向かった。ここでがくしから連絡。「錦糸町」。うーむ微妙。我々が東京ドームに向かうことを告げると爆笑が返ってきたが、人を笑わば(*3)穴二つ。この後、自分達に降りかかる災難に彼らはまだ気付いていないであった。

 東京ドームについてみたものの、ここでの人探しは困難を極めた。なにしろ真昼間。後楽園にいる連中はここで遊ぶ為に来ているのであり、ここから遠ざかろうとする人間は僅か。おまけに今日は天皇賞。ウィンズ帰りのオヤジどもで溢れている。カップルに声を掛ければ「いいです」とすげなく素通りされ、やっと答えてくれる人を見つけたら「そこの駐車場」と言われてしまう。20分程が過ぎ、かなりブルーになったところで駅方面まで足を伸ばすことにする。とにかく電車に乗りたい一心で思い切って声を掛けたカップルから得た答えは、

「有楽町」

 やった!電車に乗れる!。嬉々として改札を抜け、電車に乗り込む我々。すると再びがくしから連絡が。「どこ」「有楽町です」「マジで?ウチらも有楽町」。これがホントの有楽町で逢いましょう(チャンチャン)。

 有楽町に到着。ここでやはり地図がないのは問題だ、ということになり地図を探すが売っているところが見つからない。仕方なく、次の獲物を物色。花さんがめぼしい獲物を発見し、狩りに行く。ちょうどその時INOさんから電話が。向こうはまだ二子玉川で休憩中のようだ。そしてその時、花さんがなんと表現したらよいのかわからない、といった表情で戻ってきた。そして放たれた一言は、

「新宿、ゲットしちゃった」

 みのるさんと私の驚きと歓喜の叫び、電話から聞こえるINOさんの「嘘だろー」という声のアンサンブル。つい先程まで沈んでいた気持ちが一気に盛り上がる。ついつい電話で話すみのるさんの口調も「じゃあ、お先に新宿で待ってます。頑張って下さいまし。オホホ」と嫌味なものになる。おまけに直ぐには新宿に向かわず、「有楽町に来るはずのがくしチームの前で自慢してから移動しよう」ということになり、電話。するとこちらのチームもスケッチブック作戦を敢行しようと、スケッチブックを仕入れに行っていた。東急ハンズ前で合流。スケッチブック作戦はあまり使えないぞ、とスケッチブックを買ったばかりの三人に忠告。そして「ウチら、次どこやと思う。なんと新宿やねん」と嫌味タラタラで記念写真まで撮ってみる。毒づく三人を背後に新宿へ向かう為、JRの改札を潜ったのであった。
 我々の新宿行きが火をつけたのかINOさんチームから連絡。「渋谷に向かいます」。おお、新宿に近づいてきたな。しかし渋谷で人をゲットするのは難しいだろう。余裕綽々で山手線半周の旅を他愛もない雑談で過ごした。

 新宿に到着してみたものの、ゴールの制限時間まではまだ2時間以上ある。今回のゲームでは6時半までをリミットとし、それまでのどうやってもゴールできない場合はギブアップとなるのだ。このまま南口で降りればタイムズスクエアをゲットするのはそう難しいことではないだろう。しかし、それでは面白くない。このゲームはゴールすることが目的ではないのだ(おい)。おまけに京都からはるばる来ているみのるさんのためにも観光になるようなところに行きたい。そう考えた私達は都庁のある西口方面に向かった。
 ここで一旦休憩。休憩の合間に蔓葉さんから「原宿に向かいます」という連絡が入る。渋谷→原宿。いかにもなコースだが、観光っぽい。そしてがくしから連絡。「御徒町」。アメ横だ。観光っぽい。さらには「秋葉原」。観光っぽい(そうか?)。羨ましい。我々ももっと移動したい。お茶しながら、「どうせなら町田とか新木場とか県境まで行ってみたかったよね」などと勝ったも同然の会話。この会話が後で意味を持ってくるなどとこの場の誰一人想像するものはいなかった。
 そして再びがくしチームから連絡。「東京ドーム(泣)。もう笑うしかない@平松愛理。どうやらナイター観戦に行く子供をゲットしてしまったらしい。人を笑うからこういう目にあうのだ。「東京ドームは大変だぞ〜。ま、精々頑張っとくれや」などと経験者っぽく嫌味を放出。

 喫茶店を出て、新宿駅の人込みを見ていると、一旦テンションが収まってしまっただけに声を掛ける気力が萎えている。それでも何人かに声を掛けて見るがすげない返事。東京モンはどうしてこんなにも冷たいのだろう。ゲームの合間、一頻り人の冷たさについて考えてみる。「どこ行くんですかゲーム」がもっと認知されればやりやすくなる、だから私達はこれをもっと広めよう、などという意味不明な思いにも駆られたり。ここで再びINOさんチームから連絡。原宿の次はどこだ?。「…立川です」。どっひゅーん。対に出ました23区外。おめでとう。それにしてもこのチームはよく移動する。ということはつまりそれだけ声を掛けて成功しているということだ。秘訣を聞いてみる。「サークルの罰ゲームでやらされてるんです」この言葉がかなり効くらしい。相手の同情を買う作戦。狡猾なり蔓葉信博。早速この作戦を決行。とにかく動かないことには何も始まらないので都庁方面へ向かう人を探す。そして見つけた親子連れ、返ってきた答えは、

「三角ビル」
 ってどれ?どこ?

 地上に出てビルの形を確認。どうやら新宿センタービルがその正体らしい。だけど、だけど、人が全然いない。西口方面は官庁やオフィスビル街、GW中の日曜日なんて誰も通りません。仕方なく地下に戻る。
 時間も5時に近づき、みのるさん花さんはそろそろ新宿駅方面に戻ってタイムズスクエアを狙いたいという。しかし私はここでもまだ都庁を諦め切れていなかった。ゆえに都庁方面に向かう親子連れを狙ってもらう(結果的に私は殆ど働いてない)。カジュアルな格好でいかにも観光、というその親子連れ、この狙いは当たったかと思ったがその返答は、

「ヒルトン」
 どんどん新宿から遠ざかるぅ。

 二人のキツイ視線を横目にヒルトンへ。それを他のチームに連絡。で、そちらの状況はというと、「上野です…」と意気消沈のがくし。そしてINOさんは「…拝島」。遂に青梅線にまで手を出してしまったようだ。切符を有効活用してるなあ。
 時間は既に5時半近く。さすがの私も都庁への思いを断ち切り、一路ゴールを目指す方向で話はまとまる。目の前でヒルトンをバックに写真をとる先程の家族連れ。いや、あなた達が悪いんじゃない。歩道を屋台を引き釣りながら走ってくる50CCカブ。「どこ行くんですか?」と聞いてみたいが恐ろしくて聞けない。と思っていたら目の前で止まる。ヒルトンの目の前で屋台かよ!。
 それはともかく新宿駅付近に戻るため、今から飲み会に行きそうな若者を狙う。そして見つけた女の子三人組。勝負だ。彼女達へ近づく花さん。それを離れたところで見守る私達。ひとまず相手はしてくれてる様子。しかし、彼女達の一人が怪しい口の動きを。まさか、その口の動き。我々の元に戻ってきた花さんは心なし涙目に見える。まさか、本当に?。

 「町田…」
 ぴんぽーん 

 じゃねえよ!。いや、確かに町田とかに行きたいって云ったけどさ。なにもこんな時間に!。「あの子さあ、私が聞いた意味がわかってたみたいで、『言っちゃっていいのかな』って言ったんだよねえ」と呟く花さん。だったら言うなよ!。あまりのショックに声も出ない。でも心のどこかで喜んでる自分もいる。なぜならこれこそが「どこ行くんですかゲーム」なのだから。そう、このゲームはゴールしたものが勝ちではない、いかに楽しんだか、いかにネタを拾ったかが全てなのだ(間違ってます)。そう思い込まねばやってられません。こうなったらトコトン堪能してやる。
 INOさんに電話で町田往きを知らせる。その途端「やったあ!!」と奇声。むべなるかな、圧倒的に有利だと思われた我々がまさか23区外、神奈川との県境まで飛ばされると誰が予想しただろうか。おごる平氏は久しからず。古の人はよく言ったものだ。しかしこれまた人を笑わば穴二つ。INOさんチームにこれから起こる不幸を誰一人予想はしないのだった。
 がくしチームにも連絡。しかしこちらは我々の町田往きを喜ぶどころか、上野での苦戦が祟ってブルーモード。声を掛けても止まってもらえず、答えてくれたと思えば東京都外。さすがは上野、東京の玄関口。侮れん。

 しかし我々はまだ勝負を諦めたわけではない。小田急線で町田へ向かい、到着と同時に新宿へ向かう人をゲットすれば逆転は可能。町田ならその可能性はデカイ。一縷の望みを掛けて小田急線に飛び乗り、町田へ。
 その直後、INOさんから入った連絡はまさに驚愕といっていいものだった。そのメールにはこう書かれていた。

 「八王子…ギブアップ」
 げーむおーばー。

 気が付けば都心からドンドン離れていったINOさん蔓葉さん冴西さん。小ネタの総合商社はやはり小ネタの星の元に生まれたとしか思えない。 これで最下位はなくなった。湧き上がる闘志。そしてがくしから連絡。「GAKUが町田にいますからGAKUをゲットすればあなた方の勝利です」。そうGAKU管理官は未だ仕事の魔の手から逃れずにいたのだ。指令GAKU管理官をゲットせよ。町田はまだか?。もう時間がない。
 疲れ切った身体での30分立ちっ放しは辛かった。だがようやく町田に到着。GAKUGAKUを探せ。ここで上野からどうやっても動けなかった三人が時間切れギブアップ。ダメだ、我々にももう時間がない。GAKUを探している時間もない。最後の賭け、目の前に歩いてきた家族連れに望みを託した。そして答えは、

 「玉川学園」
 隣駅やん!

 こうして我々の「どこ行くんですかゲーム in 東京」は幕を閉じたのであった。力尽き、新宿に再び戻る私達の前に無常にも30分立ちっ放しという現実が立ちはだかったのは言うまでもない。

 しかし私の気分は晴れやかだった。達成感に満ち溢れていたといってもいい。なんといっても我々は「どこ行くんですかゲーム」を実際に決行するという偉業を成し遂げたのだ。こんなバカどもがいったいどこにいるであろうか。確かに辛くもあり、身体は疲労感でいっぱいだったが、とにかく何かを成し遂げたという満足感。私のバカな発言に同意し、共にバカとなってくれた8人には感謝の気持ちでいっぱいだ。思いっきりバカなことをする、ただそれだけのことがなんて楽しいのだろう。

 これを読んで「面白そう」と思った方、是非実行してみて下さい(いねえよ)。

参加者のレポート:
 ・松本楽志
 ・雪樹さん(4月28日の日記)
 ・七沢透子さん
 ・INOさん(4月28日の日記)
 ・冴西さん
 ・蔓葉さん
 ・みのるさん
 ・花さん(まだです。書いてくれるよね?)

戦士達の宴

 町田から新宿へと引き返すのに時間がかかり、皆は既に飲み屋へ。待ち合わせ場所に残ってくれていたINOさんと共に飲み屋へ。話を聞くとどうやらINOさんチームは実質的に蔓葉さん天使の笑顔に全てを任せ、あとは冴西さんがフォローする、という形だったらしい。「実際僕は何もしてないんですよ」と告白するINOさん。その気持ち、よくわかります。私もなんの力にもなれませんでした。女性二人に任せっぱなし。言い出しっぺなのにこの体たらく。お二人ともスミマセンでした。とはいえ、いい歳した男が道端で声かけても普通は警戒されるだけだよなあ。蔓葉さんおそるべし。

 店に到着すると残りのメンバープラスGAKU管理官が待っていた。GAKU管理官は町田駅でギリギリまで我々を待っていたそうだ。5分ほどのすれ違いで出会えなかったらしい。これも運命か。ゲームに参加したメンバーは一様に疲れきった表情。そりゃ確かに殆ど立ちっぱなし歩きっぱなしで、精神的にも辛い目に遭ったのだから当然といえば当然か。とにもかくにも飲み物を注文し、乾いた喉を潤す。皆の疲れた表情を見ながら「これは失敗だったかな」と後悔の念が湧き始めたその時、それぞれがゲームの最中に撮ったデジカメの映像を見せ合いっこ。これが、再び全員のテンションを上げる。互いのチームの苦難の道程を話しつつ、写真に笑う。やっぱり、やってよかったなあ、と思い直す。確かに辛かったし、ゲームとしては失敗だったかもしれないけどね。

 続く、はず。


*1: これは諸所の条件を鑑みても実現可能だし楽しそうだから是非やってみてください
*2: これはテレビでは実施していない我々独自のルール
*3: 正しくは「呪わば」です

Apr.29,2002 (Mon)

daylife

 体が疲労で起きるのを拒否している。しかし、今日は芝居を観に行くので、無理矢理起きる。三日前に観たこちらKGBの二本目の公演である。
 結論から言えば、これまでの10年の中で一番気に入ったかもしれない。総合的なバランスが巧く噛み合った、とでも言えばいいのだろうか。これがよかった、という突出したものはなかったものの、素直に楽しめたし、二本立てのおかげで話をじっくり楽しめたことが大きな要因かもしれない。どちらか一本だけなら評価は下がってしまう気もするが。とにかくいい芝居だった。KGBの公演を純粋に評価できたのは初めてかも。
 終演後、座長のKと話す。とある密談はほぼまとまる。楽しみでもあるが、苦しみも多そうだ。ま、あとは自分次第。

 観に来ていた劇団の仲間と食事。気がつくと最年長組の集まりになっていた。たまには年寄りの寄り合いもいいものだ。
 なぜだが色々話したい気分になり、話してみたり。しかし話せば話すほどブルーな気分に陥る。さすがにこの歳になると将来への不安とか感じるよなあ。20代の頃はそこまで考えてなかった。こういう話が出来るのも歳をとったからなのだろうか。

 帰る途中に電話。帰ってからも引き続き電話。こんな気分の時は思いがけず色々なことを喋ってしまいがちだ。だが、こういう気分になったのも久しくなかった。たまにはこんな日もある。なんかちょっと青臭い気分に浸ってしまった。気にしないでくれ。楽しかった、という言葉はちょっと違うかもしれないが、なんだか嬉しかったのは確かだ。

Apr.30,2002 (Tue)

daylife

 くそ忙しく、そして恐ろしく密度が濃く、満ち足りたGW前半。こういう疲れなら大歓迎ですわ。
 しかし、おかげで日記が書けません。今も激烈なまでに眠いです。無精ひげ生やしたまんま剃るのを忘れてスーツ着て会社に行っちまいました。バイトだから許して。

 つーわけで書きたくてしょうがない『どこ行くんですかゲーム in 東京』レポートですが、まだ書けてません。とりあえず二日分の日記をUP。明日には残りの二日分の日記というかメインはあくまでもレポート、をUPしたいと思います。この馬鹿さ加減を一人でも多くの人に伝えたい。


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