ごくたま昨日日記 in January, 2003 [c]

■daylife

また洟が垂れまくり。もうイヤーン。

昨日の『ファンタズム』西澤保彦のレビューについては追記する予定。明日にでも。ちょっと今日はバタバタしてますんで。
掲示板のレスは明朝にでも。

▼『事件当夜は雨』ヒラリー・ウォー（創元推理文庫）【→bk1へ】

『失踪当時の服装は』で世に名を知られ、一躍「警察小説の元祖」として名を馳せたヒラリー・ウォー。本作は帯に「宮部みゆきのオールタイムベスト10」とあるが果たして^(*1)。

土砂降りの雨の夜、一人の男が殺された。犯人は「わしはお前に肥料代50ドルを貸している」と謎の言葉を残す。殺された農夫は人の恨みを買うような男ではないし、肥料代を借りてもいなかった。犯人の動機は？。

「またしても成層圏的だね、フレッド。きみはほかの人たちも自分と同じ考えかたをしてくれるんじゃないかと思って、そこから結論をくだそうとしている。それじゃ、陪審員を納得させることはできんよ。おれを納得させることさえできんよ。」

上記の引用は、本書の探偵役であるフェローズ署長とウィルクス部長刑事のやりとりから。「成層圏的」というのはフェローズの論理の飛躍が成層圏までぶっ飛んでる、ということである。1961年に書かれた小説でこうした表現が既にあったことにちょっとだけ驚き。また、本書での二人の関係はホームズとワトソン、というよりも上記の引用のようにどちらかといえば対等で、幾人もの人間が推論をぶつからせるわけではないが、二人が互いの推理の欠点や狙いを指摘し合うという形式である。これが逆に新鮮だった。

とはいえ、今時の読者の多くは「退屈だなあ」と思うストーリー展開だろう。警察小説黎明期であれば、物珍しさもあって読めた作品化もしれないが、今となっては過去の遺物という他ない。そういった愉しみ方が出来ない方は読まない方がいいだろう。目新しさや刺激を求めて読む作品ではない。
私自身はこうした「地味な」ミステリが嫌いではないので味わい深く読んだ。ウォーの専売特許ともいえる無茶な推論を普通に受け入れて犯人逮捕までもっていくやり方（誉め言葉です）や、聞き込みすればするほど町の住人達が含んだ物言いをするのも苦々しくて良い。ウォーの作品を読むと隣人不信になるのは私だけではないはずだ。

なぜこの作品が宮部みゆきのオールタイムベストなのかと疑問に思ったが、おそらくは「平凡な人間による非凡な事件」という構造と、事件を巡る「平凡な人間たち」の描写のせいではないかと思われる。彼女の作品に通底するところがあるからだろう。『理由』なんかはまさしくウォー的だ、と改めて思った。

たまには地味ーなミステリが読みたいなあ、と思う方^(*2)や二昔前くらいの「推理小説」を回顧したい人にはオススメ。

*1: それでも期待はしないが
*2: 普通はあまりいないと思う

Jan.23,2003 (Thu)

■daylife

一昨日の洟垂れモードはインフルエンザの前触れだったらしい。というわけで死んでます。マジ死にそう…。

週末までに治したいです。

Jan.26,2003 (Sun)

■daylife

やっとこさ復活。まだ本調子には程遠いですが。

寝たきり生活にもいい加減飽き飽きしていたのもあり、ちょっと無理してmatsuoさんと『被告人』を観てきました。詳しい感想は明日ですが、さすがはジェフリー・アーチャーといったところでしょう。色々と考えさせられる部分もあり。
何より嬉しかったのが、本日千秋楽ということで「無罪」と「有罪」の両バージョンを上演してくれたこと。満場で拍手喝采。やることが粋だねえ。無理してでも観にいった甲斐がありました。
というわけで羨ましいでしょ？＞奥様＆旦那様。

しかし、インフルエンザはホントに凄いな。久々に歩いたら平衡感覚までやられてました。歩きながら酔いそうでしたよ。皆さんも本当にお気をつけて。油断は禁物です。絶対に後悔します。
明日から無事に会社に行けるだろうか…。

そうそう、『猟奇的な彼女』が公開されました！。小ネタ使いも抱腹絶倒！。まだの方は劇場へ急げ！。私も来週あたりもう一度観にいこうと思ってます。

■涅槃の読書模様

クリスマスシーズンにあれだけ探して見つからなかった『サンタクロースのせいにしよう』若竹七海【→bk1へ】が本の山からひょっこり姿を現したので読んでます。

購入物。

『ブラックジャックによろしく -4-』佐藤秀峰【→bk1へ】

Jan.27,2003 (Mon)

■daylife

オイ、そこのアンタ。アンタが自分の傘と本をどうしようと勝手だけどな。その濡れた傘から水滴したたらせたまんま平積みされてる本選ぶんじゃねえ。並んでる本が全部濡れてるんだよ。私はアンタが思いっきり濡らしてるその本が欲しいんだよ。アンタがやたらと時間かけて選んでくれるおかげで既に本がしわくちゃになり始めてるんだよ。あんたも本好きのフリするならさ、入り口にあるビニール使えよ。「ご自由にお使いください」って書いてあるだろ？。本が読めるなら、その文字だって読めるだろ？。まったくもう、イヤになるよ。

と、書店でいきりたってたら咳までぶり返しそうになりました。でもま、所詮は注意する勇気のない、臆病者の言い訳なのよ（中森明菜風）。

今年のスーパーボウルはバッカニアーズが初優勝。前評判どおりのディフェンスでレイダースを圧倒。なんかここ数年のスーパーボウルはディフェンスの強いチームが勝ってる気がする。ディフェンスのチームだからといって試合がつまらないとは限るわけではなく、今年も面白かった。終盤はビックプレイも続けて出たしね。っていうかリターンタッチダウンがあんなに出ていいのか。記録にも記憶にも残るよなあ。
個人的な予想では、49ers戦での戦いぶりから、今年はバッカニアーズだろうとは思っていた。レイダースはパスのチームで、バッカニアーズはパス潰しに関しては圧倒的破壊力があるからだ。で、やっぱり思ったとおり^(*1)で、ジェリー・ライスがスーパーボウルでここまで何も出来なかったのは初めてじゃなかろうか。ギャノンはまともにパス投げさせてもらえませんでしたなあ。ま、二人とも最後に一発、意地は見せてくれましたが。
面白かったのは面白かったのだがQBの地味化は益々進んだ感がある。華のあるQBが出てこないかなあ。

■涅槃の読書模様

『サンタクロースのせいにしよう』若竹七海【→bk1へ】読了。レビューは後日。

購入物。

『凶笑面』北森鴻【→bk1へ】
『赤ちゃんをさがせ』青井夏海【→bk1へ】
『プラネテス -3-』幸村誠【→bk1へ】
『勇午 -20-』真刈信二／赤名修【→bk1へ】
『リオン -2-』和田慎二／島崎譲【→bk1へ】

■『被告人』[play]

原作：ジェフリー・アーチャー、演出：グレッグ・デール、出演：近藤正臣、戸井勝海、各務立基、安原義人、佐々木勝彦、ほか

心臓外科医パトリック・シャーウッドは妻殺害の嫌疑をかけられ被告人となっていた。彼の無罪を勝ち取ろうとする弁護士バーリントンと、なんとか罪を確定させようとする検事カースリィ。
いくつかの証拠と、食い違う証言。果たしてパトリックは妻を殺したのか？。

さすがは転んでもただでは起きない作家の筆頭ジェフリー・アーチャーの原作だけあって見応え充分。元々、裁判（特に米国の）というのは芝居地味たものだが、芸達者な役者たちによって本物の法廷劇（？）を見ているかのような錯覚に陥りました。

本公演の最大の特長は「被告人が有罪か無罪かを観客（陪審員）が決める」という設定なわけだが、それゆえに観客である我々は寸分足りとも油断できない。かつてこれほどまでに集中して芝居を観たことがあっただろうか、という感じ。そして、それに答えるだけの内容と役者陣だったと思います。

この「有罪か無罪か」の判定がまた絶妙に微妙。殺人なのか心臓発作なのか、殺人なのだとしたら犯人は夫なのか愛人なのか、いやいや愛人は本当に愛人なのか、提示される全ての証拠が「疑惑」という言葉でベールに包まれている。
ハッキリ言ってこの状況で「有罪か無罪か」を判断するのは非常に難しい。しかしおそらく現実の事件でもこうした状況に直面することは多々あるのだろう。小説やドラマのようにハッキリした証拠や証言、動かしようのない事実が存在することの方がもしかしたら稀なのかもしれない。そしてそうした状況下において陪審員は被告人の一生を左右する判断を下さねばならないのだ。これには深く考えさせられてしまった。

2004年から日本でも「裁判員制度」が採用される（詳細はこの辺りを参照）。裁判員制度は陪審員制度と必ずしもイコールではないが、他人の人生を自らの決断が左右するということに対しては、もっともっと考えなくてはとてもじゃないがやってられない。
裁判員制度については別の機会にまた語りたいと思う。

とにかく迷いに迷って私が出した決断は「有罪」^(*2)。これは被告人の証言の中で明らかに引っ掛かりを感じた「心証」からで、確固たる証拠はない^(*3)。そして観客（陪審員）の多数決による判決は…なんと無罪！？。

芝居的にはこの後の流れが素晴らしかった。判決が下った直後から、役者陣は何事もなかったかのように演技を続け、見事「無罪編」の幕が閉じたのである。役者は当然この瞬間まで「有罪編」か「無罪編」か知り得ない。だというのに「無罪」の一言を聞いた瞬間にさも始めからそうすることが決まっていたかのように芝居が続くのだ。これは役者の心情を考えるにかなり困難な作業のはずである。しかし、それを全く違和感を感じさせることなく演じきった役者陣。まさに拍手喝采ものであった。

通常ならここで芝居は終わるわけだが、この日は千秋楽。カーテンコールで近藤正臣が、「本日は千秋楽ということもあり裁判官と話し合った結果、「有罪編」も上演いたします」と延べると場内割れんばかりの拍手と歓声。役者は再び配置につき、「有罪編」が上演されたのでした。すんげえ得した気分。
「無罪編」と「有罪編」では「無罪編」の方がよりアーチャーらしいアイロニーたっぷりの結末で私は好みだった。ミステリ的にも一級品のオチではないだろうか。

近藤正臣がいい感じで「枯れて」きて、彼特有の鼻についた芝居が程よくアメリカンな雰囲気を盛り上げていた。存在感もさすがで、一幕のラストなぞは彼の最も得意とするところだろう。彼演ずる神津恭介のファンだった者としては嬉しいところだ。
その大御所に真っ向から対決する若手検事を演じた戸井勝海と問題の被告人を演じた各務立基もよかった。この二人がぶつかり合う被告人証言の場面は見応えがあった。
残念だったのは安原義人の調子が今ひとつだったこと。体調が悪かったのか、大声で捲し立てるシーンで何度か噛んでいた。しょっちゅう水を飲んでいたので（それが可能な芝居だし）喉の調子が悪かったのかもしれない。千秋楽だし。

実は舞台で法的劇を見るのは初めてだったのだが、前述したように裁判自体が芝居じみているために、見ていて傍聴人（今回は陪審員だったが）になったような気分になって面白い。もっと多くの法廷劇が上演されることを望みます。

▲『ブラックジャックによろしく -4-』佐藤秀峰（モーニングKC）【→bk1へ】[comic]

NICU（新生児集中治療室）編もひとまず完結。ここでもまた問題を起こした斉藤。このマンガのエピソードにはハッピーエンドはありえないのかもしれないが、一人の子供を救えたことは事実。

このマンガを読んで「医者ってなに？」「医療ってなに？」と思ってしまう人も多いと思う。「怖くて病院に行けなくなった」という人もいるかもしれない。私もそう感じる部分がないわけではない。でも20年以上慢性的に医者と付き合うことが義務付けられ、これから先もそうである人間にとっては「それでも最後に信じるのは医者であり、医療」なんだと思わずにはいられない。他人のせいにするわけじゃないけど、自分で治せない病なら、それしか方法がないから。
けれど、全ての医者が斉藤のようになって欲しいとも思わない。職業的に「こなす」医者がいてもいいと思うし、多分そちらの方が多いのではないかと個人的には思う。なぜなら「こなして」もらわないととてもじゃないが患者の数に対して医者の数が足りないから。一つ一つのケースに親身になりすぎ、医療全体を滞らせたりしてもらっては困るからだ（理由はそれだけじゃないけど）。

でも時々は立ち止まって考えてみて欲しいと思う。ただ、それだけのことでもいいから。何年、何十年と機械的にこなすのではなく、時折立ち止まって考えてくれればいい。立ち止まってばかりで前に進めない医者よりはそちらの方がいい。これって、教師に求めているものに似ているかもしれない。少なくとも私はそう思ってます。

*1: それにしたってやりすぎ
*2: ちなみにmatsuoさんも有罪を選択
*3: どのみち確固たる証拠はないのだが

Jan.28,2003 (Tue)

■daylife

自分が気に入ったものを他人にも薦めたい、という欲求は果たしてどこから来るものなのだろう。他人にも同じように気に入ってもらって自分の審美眼を認めさせたい、という自己顕示欲なのか。ただ、同時に自分が気に入ったものを自分だけのものにしておきたい、という欲求も存在する。これは一種の所有欲だろう。二つの欲求のバランスはどこにあるのか。ちょっと興味深い。

ハナシ替わって。
私もあのauのCM好きだなあ。ベタベタだと思うし、狙いすぎっつーかあざといのもわかるけど。それでも心があったかくなった気分になる。真木蔵人の芝居、アレ結構凄いよ。あのたった一瞬でいろんなこと感じさせてくれる芝居してる。ちょっと見直した。

メモ。

早く観たいぜMatrix
　かっちょエー！！。
アレ？アレ？
　これって目の錯覚？。引っ掛かってるの私だけ？。

私にとっては「さくら組」さえあれば「おとめ組」は存在価値ないなあ。ってくらい見事に分裂してくれたもんだ。

■涅槃の読書模様

『凶笑面』北森鴻【→bk1へ】読み中。

購入物。

『軽井沢シンドローム SPROUT -2-』たがみよしひさ【→bk1へ】

▼『サンタクロースのせいにしよう』若竹七海（集英社文庫）【→bk1へ】

MYSCON4のゲストでもある若竹七海。本書は1992年から1994年に『小説すばる』で連載された短編をまとめた連作短編集。

失恋をきっかけに「よし、引っ越そう」と決意した岡村柊子は、友人の彦坂夏見が紹介してくれた松江銀子さんの家で“半”居候生活をすることになる。日本で知らぬ人はいない俳優を父に持つ銀子さんは「ちょっと変わった」お嬢様だったのだが、それ以上に困ったのが玄関に現れる「なぞのお婆さん」。
こうして私と銀子さんの共同生活は始まった。

この作品は踏み絵なのか？それとも試験紙なのか？。ハッキリいって、読んだ後、猛烈な自己嫌悪に陥りました。

形式的にはいわゆる「日常の謎」もの。若竹七海の作品は「毒のある」または「後味が悪い」と評されることが多いが、この作品もご多分に漏れず「日常の謎」の真相には「苦い味」が待っている。ただ、表面的には甘い。それが更なる苦味を惹き立ている。
ただ、その苦味自体はこれまで何度も若竹作品で味わってきたし、それを通じて自己嫌悪に陥るまでに至ったことはなかった。だったら何にそこまで過剰反応してしまったのかというと、登場人物である。

この作品は読者の「人間性」を激しく問うているように思う。そして私はこの小説を読むことで、自分という人間の「汚さ」をまざまざと見せ付けられた。単純に言えば、私はこの小説に出てくる登場人物の誰もが全く好きになれなかったし、それどころか「うざったいやつ」と感じていた。
正論と世間体を重ね着して親切を押し売りする主人公、自分の常識知らずを反省するでもなく他人に迷惑をかけ続ける銀子、竹を割ったような正確と言えば聞こえはいいが他人が触れられたくない部分にまでずけずけ入り込む夏見、図々しさと飄々を吐き違えている竜彦、その他に登場する人物の隅々に至るまで「あんた、それでいいの？」と聞きたくなるような人物ばかりなのである。あ、いえ、私的には。

しかし、そのこと自体が鏡のように自分に跳ね返ってくるのである。まるで作者に「あなたは彼女たちのような人間を愛せない心の狭い人間なのですね？」と言われているかのように感じるのだ。その証拠とでもいうかのようにラストで登場人物たちは互いに許しあい、わかりあった風な態度を取るのである。「本当に心が狭くてうざったい人間はあなた自身なのじゃないですか？」そう言わんばかりに。

そりゃ、人間誰だって欠点はある。そんなことは百も承知。しかし、この小説に出てくる人間達の欠点は、私には受け入れ難い欠点なのだ。自己本位な人間が嫌いなわけではない。しかし、そのこと自身を理解しようとしない人間は私には嫌悪の対象でしかない。
ただ、それを読者である私自身の方向に跳ね返す若竹七海の手腕は凄いとしか言いようがない。

インフルエンザで体調最悪の時に読んだから勝手に沈没したのかもしれないが、とにかくこの小説は辛かった。これまでの若竹作品のどれよりも辛かった。最後に残る感想は、それだけだ。

それともただ単に私の人間性が問題なだけなのやも知れぬ。いや、多分そうだな。そういうことにしとこう。

▲『プラネテス -3-』幸村誠（モーニングKC）【→bk1へ】[comic]

様々なサイトで「え？」っと驚かれていたので期待半分、不安半分で読んでみた。個人的に『プラネテス』と『MOONLIGHT MILE』をどうしても比べながら読んでしまう自分がいて、『プラネテス』の方がセンス・オブ・ワンダーだよな、と思っていのでこの展開というかハチマキの変貌はまあ、ありだろう。内宇宙も外宇宙もどっちも宇宙、みたいな。

ただ、今後は読者はハチマキを通して共感することはできなくなる。同時にハチマキの成長もひたすら内省的にならざるを得ないわけで、スペースロマンからは遠ざかるを得ないだろうなあ（この巻で既に遠ざかってるし）。ハチマキではなくユーリやフィー、タナベ（じゃないけど）の視点にチェンジすれば話は別だが。
なんとなく次巻で終わっちゃいそうな気もするし、それくらいでちょうど良い気もする。

▲『リオン -2-』和田慎二／島崎譲（マガジンZKC）【→bk1へ】[comic]

もうダメだな和田慎二は。ここまでそれらしい設定を作っておいて、それがまったく活かされていない。別に刑務所でなくてもいいし、犯罪者である必要性がないし、なにより展開がない。
今後に展開があるのだとしても2巻も要して伏線らしきものが殆どないから読者はワクワクしない。「とりあえず設定だけ考えました。展開はこれから考えるから適当に回しておけばいいや」というのが見え見え。最悪。続きは買いません。

Jan.29,2003 (Wed)

■daylife

阿部寛主演のドラマ『最後の弁護人』をなんとなく見た。んー、まあ普通の出来ではないかと。今井翼は何のために出てるのか意味不明だけど。

先週はインフルエンザで見逃した『HR』。普通に考えて轟先生は最低な人間だと思う。アレ系のネタはだんだん笑えなくなってきてるよ。戸田恵子のキャラは段々強烈度を増している。こっちはドンドン笑えるようになっている。個人的には相島一之は好きな役者。この人が一見悪役だけど実はいいヤツ、というのをやるとメッチャはまる。今回は徹頭徹尾悪役だったけど。

次週予告によると白井晃がお役御免っぽいけど、これはやはり『オケピ！』の影響なのか。となると戸田恵子はどうなるのか？。

■涅槃の読書模様

『凶笑面』北森鴻【→bk1へ】読了。レビューは後日。

▼『東京魔界案内』三善里沙子（知恵の森文庫）【→bk1へ】

小松和彦を心の中で「先生」と呼び、彼の講義を受けたいがために大学を選ぼうとしたこともある私としては、『京都魔界案内』、『日本魔界案内』に続く本書を読んでみたくなるのは必然である。だからこそ余計になんで小松和彦著じゃないの？という気持ちもある。三善女史の文章が殊更悪いとは思わないが、いい意味でも悪い意味でもエッセイの範囲を越えるものではないし、ムックに載せるような文章だなあ。中途半端に女性らしい言い回し^(*1)が頻出するのは加門七海の影響がありありと出てるし。別に格式高くする必要はないけど、中身が薄く感じられてしまうのも事実だ。

実際は中身の薄さの殆どは「東京」という都市の歴史が浅いのが原因だ。東京が歴史の表舞台に出てきたのは江戸時代、精々頑張って安土桃山時代。魑魅魍魎が跋扈する時代ではなくなっている。同じ『魔界案内』シリーズである『京都魔界案内』と比べて「闇」の部分に物足りなさが感じられるのは致し方ないところだろう。

唯一にして最大の「魔界」的存在である平将門に関しても『帝都物語』荒俣宏の方がなんぼも面白く興味深い。いや、もしかしたら『帝都物語』を読んだ方が本書よりも遥かに「帝都東京」の魔界を感じられるかも。うん、そんな気がしてきた。

その理由はおそらく、本書の「魔界」の導き方に方向性が見られないことだろう。「風水」に絞るでもなく「因縁」や「歴史」に絞るでもなく、適当な分野から適当な分量を切り抜いているだけの気がする。「これ」といった視点がないのだ。逆にいえば種々雑多な「魔界」を紹介しようとしたために、敢えて視点を絞らなかった、ということなのだろう。

個人的には物足りなさを感じるものの、読んで全くつまらない、というわけでもない。実際に本書を読んで「足を運んでみたい」と思う場所がいくつも出てきたし、これまでにいったことのある場所に「そんな因果があったのか」と思ったりもした。おそらく歴史に詳しい人でもない限り、同じように感じることだろう。

一風変わった東京のガイド本としての価値はあり、普通の行楽地に行くだけでは満足出来ない方にオススメ^(*2)。東京を民俗学的フィールドワークしてみようと思う人には物足りないけど入門書にはなるかな、という感じの一冊です。

▲『軽井沢シンドローム SPROUT -2-』たがみよしひさ（ヤングチャンピオンコミックス）【→bk1へ】[comic]

おお軽シンらしくなってきたぞ。というか世代が変わっただけでやってることは全然変わりません。遂にダイの息子まで出てきた。それも当時の耕平の格好ソックリで。二代目系統ではない重要キャラが義時だったわけだが、これ、もしかして…。
元ネタは自分の人格形成に大きな影響を与えたマンガなわけだが、あの頃のようにむさぼってまで読みたくならないのはマンガが時代遅れになったのか、それとも自分が変わってしまったのか。

*1: 差別と捉われぬよう、かなり気を遣った表現にしてみました
*2: ただしデートには向かないと思います

Jan.30,2003 (Thu)

■daylife

アマゾンの「マーケットプレイス」が順調らしい。以前、この仕組みが導入される際に話題にしたが、どうやら着実に利用者を増やしているようだ。

しかし、この「マーケットプレイス」に関して相変わらず出版社各社の声明は出ていないようだ。少なくとも私は見ていない^(*1)。BOOKOFFなどの新古書店と違って、新刊本も取り扱うAmazonに対しては出版社各社も何も言えないということだろうか。それではヴァーチャルなオンライン書店だけでなく、リアルの一般書店が「新古書」コーナーを併設したらどうなるのか。もしくはBOOKOFFが新刊書店を始めた場合はどうなるのか。

出版社各社は「マーケットプレイス」に対する声明を一刻も早く出して欲しいと思う。見て見ぬフリ？。
残念ながら私はまだ利用していないし、しばらく利用する予定もない。利用した方がいたら是非ご意見をお聞きしたいものである。

『美女か野獣』第四回。一応、美帆ちゃんデー？。もっとファンが喜ぶ展開を希望。でもま、恋愛話よりもこういうアクシデント劇の方が全然面白いよ。佐々木蔵之介は『ハンドク！』を見ているかのように苛められキャラ。笑える。

こんなものがあったのか。EXILIMユーザとしては是非欲しい一品。今度ヨドバシで探してみよう。値段はいくらなんかいな？。

■涅槃の読書模様

『赤ちゃんをさがせ』青井夏海【→bk1へ】読了。レビューは後日。

購入物。

『街の灯』北村薫【→bk1へ】
　最近ハードカバーはbk1で買うように誓ってたんだけど（ポイントつくし）、我慢できずに買ってしまった。よく考えたら本格ミステリマスターズはソフトカバーだからハードカバーではないのだ、と自分に言い訳しつつ。読み中。

▲『勇午 -20-』真刈信二／赤名修（アフタヌーンKC）【→bk1へ】[comic]

遂にこの時が来たか、というパレスチナ問題編。これは根が深い話だけに今迄以上に重いエピソードになりそうだなあ。オープニングの舞台はパリ。なんとパレスチナ解放戦線のメンバーと共に勇午が活動している。初っ端からこれだもんなあ。
それにしても最近とんと小暮の出番がない。非常に残念である。というかメインとなるストーリーだけで細々としたギミックによる面白さが減ってきた。いろんな意味でトリビアルな知識が得られるともっと楽しく読めるのだが。最近は拷問ネタもないしね（笑）。

*1: かなり注意しているにもかかわらず

Jan.31,2003 (Fri)

■daylife

MYSCON4参加受付開始！。迷ってないで飛び込め！。受け止めてあげる！＜キモイ。

■おかしいのは、どっち？。

「世の中おかしいんじゃないか？」と思うことが最近良くある。だがしかし、こういうニュースを読んでしまうと「ひょっとしておかしいのは自分の方なのか？」と思わずにはいられない。

なぜ、犯罪者を通報しただけの書店側が責任を追及されねばならないのか？。なぜ、犯罪^(*1)を犯した上で逃亡を図り、誰のせいでもなく勝手に電車に撥ねられた犯罪者が擁護されるのか？。私には全く、これっぽっちも理解できない。

おまけに実際に犯罪を犯した犯人の両親は「子供のせいでこんなことになってしまい申し訳ない」と自分の子供の過ちを認めているのだ。子供を失って悲しくない両親は普通いない^(*2)。なのに直接関わりのない外野がわけのわからない理論を振りかざして騒ぎ立てる。いったい、どうなってるの？。自分の子供も犯罪を犯しそうだから、その時のために煙幕張ってるのか？。

もし、自分が殴られたり、痴漢されたり、引ったくりされたりして犯人を追いかけ、逃亡する犯人が事故にあったとして「追いかけるお前が悪い」と非難されたらどう感じる？。しかもこの事件では書店の人間の手を離れ、警察に引き渡してから犯人は逃亡しているのだ。

「万引き」だから？。犯人が未成年だから？。万引きだって立派な（変な表現だが）犯罪だ。未成年だからといって犯罪が見逃されていいはずがない。なのになぜ「人殺し」とか「配慮が足りない」と言われねばならないのか？。そんなこと言ってるあんたらの方が脳味噌足りないよ。

こんなことを書いてみてもやっぱり世の中には理解しかねる事件や出来事が山程あって、それがドンドン増えている気がする。最近だと某御偉い様の旧宅の件とか。
でも、それを理解できない自分の方が既に少数派で、もしかしたら「あいつ、おかしいぜ」と言われているのかもしれない。それが何より怖い。

■涅槃の読書模様

『街の灯』北村薫【→bk1へ】読了。至福。レビューは後日。

メモ。古本屋巡りで捜し出せ。

『千の顔を持つ英雄（上）（下）』ジョゼフ・キャンベル（人文書院）
『神話の力』ジョゼフ・キャンベル（早川書房）

▼『赤ちゃんをさがせ』青井夏海（創元推理文庫）【→bk1へ】

『スタジアム虹の事件簿』を500部自費出版し、それが編集者の目に止まり、同書で創元推理文庫からデビューした青井夏海の2001年に出版された第二作の文庫化。NHKでドラマ化が決まり、早々に文庫化されたらしい。
助産婦見習いの陽奈が主人公。陽奈の先輩であり相棒である聡子と陽奈が自宅出産の依頼先で遭遇する不思議な事件を、産婆歴ン10年の「カリスマ助産婦」である明楽先生が安楽椅子探偵よろしく解き明かす連作短編集。

【お母さんをさがせ】
自宅出産をしたいと依頼してきた先を訪れた陽奈（ひな）と聡子の前に現れたのは三人の妊婦。依頼者はこのうちの誰かが男子を産んだらこの家の跡継ぎとして認知させたいという。つまり本当の奥さんはどれか一人。さて、三人の妊婦の誰が本当の奥さん？。
【お父さんをさがせ】
今度の自宅出産依頼者はなんと高校生夫婦。しかしそこに二人の男がでしゃばってきて…。
【赤ちゃんをさがせ】
聡子の別れた夫・宝田が突如現れ、「やり直したいので仲立ちを頼む」と陽奈に迫る。にべもなく断った陽奈だったが、その後すぐに自宅出産のキャンセルが相次いで…。

いかにも東京創元社が気に入りそうな、いわゆる「日常の謎」系連作短編小説。もはやこの分野は独自のニーズがあると考えていいだろう。ミステリとしての出来は正直甘いし、小説としての完成度も低いが、この分野がお好みの人なら楽しめると思う。

「日常の謎」系列のミステリっていうのはメタファーであることが多くて、日常的な風景の中に潜む謎と、物語のシチュエーションが重なりあうわけだけれども、その意味で「出産」という着眼点は斬新で面白い。ただ、だからといって「産婆探偵」という設定を活かしきれていないことも確かなんだけれども。

ただ、ここ最近自分がやたらと「行動原理」を気にしてしまう病（？）にかかってしまっていて、その観点から見ると、どうにも納得のいかないことばかりなんである。
実際の人間の行動原理なんて誰にもわからない、ということは重々承知している。でも小説においては、そこを如何に納得させるか（という表現はあまりよくないが）が作者の腕なわけで。その意味で、この物語に登場する主要なキャラクタ達の行動原理は私にはチンプンカンプンというと大袈裟だけれども、とにかく「？」と首を捻ってしまった。

個人的にはミステリとしての出来不出来ってところよりも、そういう部分ですぅっと頭に入ってくるような、多分わかりやすく言えば感情移入できるような物語、逆のパターンなら客観的に見て違和感を感じずに話を追っかけられるような、そういう物語を私は読みたい。その意味では不満の方が大きかった。

だってさあ、表題作【赤ちゃんをさがせ】のオチなんて、そりゃ「二人のことは二人にしかわからない」と言われりゃそれまでだけど、気付けばこの歳までひとりやもめの独身男から言わせてもらえれば、「なんでやねん！」と思うわけですよ。【お父さんをさがせ】のバカな男どもとか。

でも一番鼻についたのは、他人の生活にズケズケ足を踏み入れてきて、余計なことを騒ぎ立て、あまつさえ金を言い訳にするのが嫌だから建前を前面に押し出す主人公ですな。こういう助産婦さんに自分の妻を任せる気にはなれないし、出来れば関わりたくない。

なんか単なる僻みのせい（？）で穿った感想になってしまった。でもまあ前述したように着眼点とか、スタイル自体はなかなか面白いと思いますよ。あとは文書表現の技術なんじゃないかな（偉そうだな、おい）。少なくとも地の文で「80歳近い」と書かれてなければ他のどこを読んでも老人とは思えない産婆探偵の描写とかは気を遣って欲しいと思うのでした。

■1月の読了本

計13冊。リンク先はレビューです。

*1: 「万引き」はあくまでも犯罪なのであえて「犯罪」という言葉を選択しています
*2: 今の世の中ではそう言い切れないのが寂しいが

ごくたま昨日日記 in January, 2003

- last 10 days of month -

トピック

Jan.21,2003 (Tue)

■daylife

▼『事件当夜は雨』ヒラリー・ウォー（創元推理文庫）【→bk1へ】

Jan.23,2003 (Thu)

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Jan.26,2003 (Sun)

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Jan.27,2003 (Mon)

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■涅槃の読書模様

■『被告人』[play]

▲『ブラックジャックによろしく -4-』佐藤秀峰（モーニングKC）【→bk1へ】[comic]

Jan.28,2003 (Tue)

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■涅槃の読書模様

▼『サンタクロースのせいにしよう』若竹七海（集英社文庫）【→bk1へ】

▲『プラネテス -3-』幸村誠（モーニングKC）【→bk1へ】[comic]

▲『リオン -2-』和田慎二／島崎譲（マガジンZKC）【→bk1へ】[comic]

Jan.29,2003 (Wed)

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■涅槃の読書模様

▼『東京魔界案内』三善里沙子（知恵の森文庫）【→bk1へ】

▲『軽井沢シンドローム SPROUT -2-』たがみよしひさ（ヤングチャンピオンコミックス）【→bk1へ】[comic]

Jan.30,2003 (Thu)

■daylife

■涅槃の読書模様

▲『勇午 -20-』真刈信二／赤名修（アフタヌーンKC）【→bk1へ】[comic]

Jan.31,2003 (Fri)

■daylife

■おかしいのは、どっち？。

■涅槃の読書模様

▼『赤ちゃんをさがせ』青井夏海（創元推理文庫）【→bk1へ】

■1月の読了本