ごくたま昨日日記 in May, 2003

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May.11,2003 (Sun)

daylife

昨晩、そろそろ寝るかと思ってテレビを消そうとしたら、韓国映画『イルマーレ』が始まったので、結局最後まで観てしまった。で、寝たのは朝4時過ぎ。今日は一日何もしませんでした。

『イルマーレ』はテレビ視聴なので感想を書こうかどうか迷ったのですが、なかなかいい映画だったので書いておこうと思います。といっても明日にでも。
深夜だったのに吹き替えで、ヒロインの声が佐藤珠緒だったのは勘弁して欲しかったですけど。

というわけで、無為に過ごした週末なのでした。

May.12,2003 (Mon)

daylife

『イルマーレ』を観たら手紙が恋しくなった。

それと、韓国のマンガ喫茶は時間単位ではなく読んだ冊数単位の料金だということを知りました。自己申告制だというのも驚きだった。

おお、一歩さんnDiary on the WEBを作っている!。すんばらしい。実験してみたいが、今週は仕事で東京ビックサイトに張り詰めだ。おまけにレンタルサーバでRubyがちゃんと動くものかどうか試したことがない。失敗して迷惑かけたらどうしようと思いつつ、やってみたい衝動は抑えきれないので時間ができたら試してみたい。

ツッコミ機能に関しても色々と論じられているようだが、個人的には最新の日記(*1)分にだけツッコミ機能がついて、過去日記分には内容だけが反映されているのが一番問題がないように思える。これってnDiary on the WEBとの合わせ技で実現できないのかな。

『イルマーレ』(2000 韓国)[movie]

監督:イ・ヒョンスン、出演:イ・ジョンジェ、チョン・ジヒョン

『猟奇的な彼女』でサイコーのヒロインを演じたチョン・ジヒョンと、『ラスト・プレゼント』で売れないコメディアンを演じたイ・ジョンジェが共演した切ないラブ・ストーリー。二人とも両作品とはまったく別のキャラクターを演じている。

この作品、導入が素晴らしく巧いので、あらすじは書かないことにする。もし、まだこの映画を見ていなくて、これから見てみようという方がいるのなら、事前知識はなるべく入れないことをオススメする。ビデオやDVDのパッケージの文章も読まない方がいい。

一見何気ない導入なのだが、見てる側を「おや?」を思わせ、「この先どうなるんだろう?」という展開に持って行くのがとにかく見事だった。正直、大きな盛り上がりや見せ場も殆どないのだが、最初に生じた「どうなる?」という思いが最後まで引っ張られていく。半ば予想できるオチであり、そして半ば期待した展開が待っているのだが、決して「なんだ、やっぱりそうか」という失望にはならない、と思う。

この映画では「手紙」が鍵になっている。現代の物語で携帯電話もあるし、インターネットも存在している。けれども二人は手紙でしか遣り取りできない。その“もどかしさ”がいい。単純に絵になる、というのもある。これが携帯電話やインターネットでは味わいがない。

タイトルの「イルマーレ」とは、もともとはイタリア語で「海」という意味の言葉だが、この作品の舞台というかメインといっても過言ではない、海辺に建つ一軒の家の名前である。この家、「イルマーレ」に代表されるように、この映画はとても映像が美しい。特に雨を使ったシーンは際立って美しい。盛り上がりに欠ける物語を飽きることなく見せることができるのはこの映像の力にあると思われる。
ただ、盛り上がりに欠けるのははじめから計算づくで、あえて淡々とした雰囲気を出すための演出であるから、それ自体がマイナスではない。しかし、普通の映画ではそれだと間を持たすことができないのだが、それをこの映画では映像美で補っているということである。

チョン・ジヒョンもいいのだが、この映画では圧倒的にイ・ジョンジェがいい。彼が韓国では大スターだというのも、これを見れば頷ける。この映画は、特に二人の絡みは殆どないし、シチュエーション上、二人は他の役者と絡むことも少ない。それだけ、画面も寂しいし、一人で間を持たせることが必要になるのだが、イ・ジョンジェはそれをあっさりやってのけている。台詞も殆どなく(モノローグは多いが)、一人だけで心情を表す演技をしなければならないのは大変だったと思うのだが、これは素晴らしかった。映像の美しさも手伝ってのことではあるのだが。

何度もいうように盛り上がりや見せ場は殆どないし、奇抜なストーリーでもないので、真剣に見るよりも、ボーっと見て楽しむのが吉。そうでないと、細かいところとかにツッコミ入れたくなるかもしれません(特にラストとか)。好きな言葉ではないけど「癒し系」な映画だと思います。
私個人はこういう映画は好きなのでオススメします。というか、見る人が見たら「お前が書きそうな台本だよ」と言われるに違いない映画なのでした。

「人間には隠し果せないものが三つある。一つは咳、二つめは貧乏、そして三つめは愛」

という台詞はいい言葉だなあ。

全編に渡って「言葉」がお互いを包み込む、というそれ自体が、とても美しいな、と思いました。言葉には人を結びつける力があるのだ、と感じさせてくれました。この映画を見ると、誰かに手紙が書きたくなること請け合いです。

私もインターネットという「海」でまだ見ぬあなたからの手紙が届くのを待っています。

涅槃の読書模様

『鋼鉄都市』アイザック・アシモフ【→bk1へ】読了。レビューは後日。

bk1にて購入。


*1: 個人設定で3日分とか5日分の違いはあるが

May.13,2003 (Tue)

daylife

ども、最近森高千里の良さを再認識しているshakaです。アーティストとしての彼女の系譜の後継者は現れないのかねえ。
枕に意味はありません。

今日から仕事で(ここ重要)東京ビックサイトに張り詰め。立ちっぱなしは疲れる。いつもと帰宅経路も違うので、電車に座れない。なんだかんだで疲れます。

涅槃の読書模様

『推理小説常習犯』森雅裕【→bk1へ】読み中。

『ミッドナイト・イーグル』高嶋哲夫(文春文庫)【→bk1へ】

『イントゥルーダー』で、1999年サントリーミステリー大賞、読者賞をダブル受賞した高嶋哲夫の2000年に発表された作品。

カメラマン、西崎は北アルプスでの撮影中、大きな火球が墜落するのを目撃する。西崎は謎の火球の正体を確認するため友人の新聞記者、落合と共に再び山に入るが、山は自衛隊によって封鎖されていた。
一方、別居中の西崎の妻で、フリーのルポライターである慶子は、ある雑誌の編集長の命を受け、在日米軍横田基地に侵入し、逃亡した男を捜していた。やっとのことで発見した男は重傷を負っており、慶子は怪我の手当てをして、匿ってしまう。
やがて、驚愕の事実が判明する。北アルプスに落ちた火球は、米軍のステルス戦闘機であり、なんと核を積んでいたと言うのだ。慶子が匿った男は、そのステルス機に爆薬を仕掛け、墜落させることが任務だった。そして、その核を目指し、北朝鮮の精鋭部隊が北アルプスに向かっているという。
自衛隊と北朝鮮の特殊部隊が凌ぎを削る吹雪の北アルプス。西崎と落合は生き残ることができるのか。

冒険アクション小説好きの私は、その中でも山岳小説に弱い。それが冬山ならなにをかいわんやである。
『ホワイトアウト』真保裕一以来、久々に日本の冒険アクション、それも山岳ものを読んだ。それも、単なる山岳ものではなく、同時進行でもう一つのストーリーを描き、そちらは非常に政治的な駆け引きなので、メリハリがあって読み進めやすかった。

日本の冒険アクションとしては及第点以上といえる。しかし、雪山での戦闘を含むサバイバルシーンが、同じような描写の繰り返しになってしまっているのが勿体無い。もう少しバリエーションがあれば、もっと楽しく読めたのに、と思う。その辺は作者の経験値のせいだろうか。

しかし、それはそれとして骨太な人間描写は読み応えがある。カメラマンの西崎と慶子が別居している理由が、じわじわと判明していき、西崎がなぜそれほどまでに火球の正体を追おうとするのかなど、読み終わってみると少々弱い面もあるのだが、読んでいる間の吸引力はなかなかのものである。

また、カメラや無線などところどころで出てくるギミックが興趣を誘う。こういった部分も冒険アクション小説の醍醐味のひとつである。作者もなかなかわかってるね。

そして、迎えるラストは、日本の小説ではあまりお目にかかれぬものだったように思う。それには驚かされた。ある意味で、角川映画的な精神をこの作者はもっているなあ。

余談ではあるが、冷戦が終わって、スパイやら諜報部隊やらの行き場がなくなり、冒険アクションやスパイ小説が生まれ難くなったと言われている。もしかしたら、北朝鮮の存在、拉致という現実、そして自己防衛能力のない日本という国と現在の状況は、そうした物語を描く格好の材料なのかもしれない。
図らずも五條瑛などの活躍を見るにつけ、そう思ってしまうのであった。

May.14,2003 (Wed)

daylife

一日立ちっぱなしは流石に疲れました。足がヘロヘロです。てなわけで日記書く気力も残ってないので、金曜日まで手抜き更新。さっさと寝よう。

『ワンナイ』に竹中直人が出ている。爆笑。

洗濯物干さなきゃ。ああ、雨だ…。

涅槃の読書模様

『推理小説常習犯』森雅裕【→bk1へ】読了。レビューは……書いてもどうしようもない気がするけど、後日書きます。

『スパイたちの夏』マイケル・フレイン【→bk1へ】読み中。訳が読みにくいなあ。

May.15,2003 (Thu)

daylife

ビックサイトでの仕事が終わった後、『ムコ殿2003』の生放送エキストラになるためにお台場まで来た一行とお茶。雨の中で11時まで待たされることにギブアップ宣言した初対面の女性と二人、二時間以上も普通に話し続けた。互いの特性が良く出ていたように思う。
雨の中、エキストラとして歓声のリハーサルに励む一段を横目に見ながら帰宅。

そんなわけで、帰宅して『ムコ殿2003』を見たわけだが……こりゃヒドイな。このドラマは酷すぎる。よくオンエアされてるなあ。生放送の部分だけじゃなく、見れたもんじゃない。いきなり良さげな話を持ってくるから余計酷さが際立ってる。しかも、生放送の意味が良くわからん。
テレビってこんなもんか。

足プルプル。あと一日、頑張れるだろうか…。

『Number 576 NEW YORK YANKEES 2003 TOP OF THE WORLD』

574号がメジャーリーグ日本人特集といいつつ半分は松井特集だったにもかかわらず、またメジャー、それもヤンキース特集。正直中身は薄い。

ヤンキースに関する過去のデータは、『Number』をずっと読み続けていればどこかで読んだことがあるような記事だし、「NYヤンキース全主力選手ギャラリー」は一人一人に関する記事の量が少なすぎる。結局は松井とミスターこと長嶋茂雄との対談がメイン。特にたいしたこと話してないけどね。

特集以外の記事について。
「イチロー 屈辱の一ヶ月」は、相変わらずマイペースであるイチローのイチローらしいインタビュー。屈辱とか、そういう言葉で囃し立ててるのはマスコミだけ。本人は相変わらずです。

巻頭の「AT THE FRONT」は、オランダと日本の両国籍を持つ高校生、中野健児。寡聞にして彼のことはこれまで知らなかった。オランダユース代表に選ばれるほどの逸材ながら、日本の代表を目指すため辞退したという彼。将来が非常に楽しみである。オランダのサッカーで育ち、日本でプレイすることなく日本代表まで上り詰めたら面白いだろうなあ。

連載三回目となったジャイアンツ、仁志敏久の「プロフェッショナルの証明」。ますます哲学問答じみてきました。その哲学家ぶりが面白くてしょうがない。彼はいつか野球で解脱するんじゃないだろうか。

乙武洋匡のフィールドインタビューは、アン・ジョンファン。彼はほんとに外見のイメージで苦労しているなあ。サッカースクールへの参加を依頼された時の彼の言葉は意外ととるか、らしいととるか。私は「らしい」ととりました。好きな選手でしょ、私は。

プレミアリーグの最終決着。マンチェスター・ユナイテッドとアーセナルの悲喜こもごも。しかし、アーセナルが連覇ならなかっただけで「落日」っつーのはどうかと。純粋に考えてピレスの怪我による離脱は致命的で、それは例えばマンチェスターのベッカムやスコールズが離脱しても優勝できたかというレベルの話。ベンゲルの責任だとか選手の精神的弱さと短絡的に結びつけるのはどうか。
そんなことよりも、ベッカムの移籍はあるのかどうかのが問題だ。レアルに移籍というのはどう考えてもおかしいことだらけなのだが、もしそれが実現したら私は本当にレアルを嫌悪するね。

第11回ナンバーノンフィクション新人賞が発表。今年は最終選考に2編しか残らなかったそうだ。受賞作は、ヨットレースの国際審判を扱ったという異色の一編。まだ未読ですので感想はなし。

今日はこんなところです。

May.16,2003 (Fri)

daylife

そうそう昨日書き忘れましたが、チャンピオンズリーグ準決勝、レアル・マドリーVSユヴェントス。見事、ユヴェントス勝利!。あー、スッキリした。それにしてもネドベド…。
個人的にチャンピオンズリーグのチャンピオン(ややこしい)は、やっぱり各国リーグのチャンピオンにこそ相応しいと思っている部分もあるのでベスト4の中ではユヴェントスにのみ、その資格があるわけです。少なくとも自国リーグでナメた真似するようなどっかのチームには優勝して欲しくはない。それいったらマンチェにもバルサにも優勝資格はないんだけどね。だから頑張って欲しかったんだよバイエルン!。

今夜は16年来の付き合いになる友人とお食事。この歳になって普通に社会人していると、その人の人間性や生活、これまでの人生が透けて見えるような、またはそれを前提とした会話や人間関係に接する機会が少なくなる。だからこそ今日のようにそういった会話が出来る相手と会って話すのは楽しい。誰とでも出来るような会話ばかりじゃ寂しいじゃない。

May.17,2003 (Sat)

daylife

本日は、『空を見上げる古い歌を口ずさむ』で第29回メフィスト賞を受賞し、遂にデビューを果たしたRE-QUINさんこと小路幸也さんを囲んで祝う会でした。

お会いするのは4年半ぶり。いやー、その間に色々あったなあ、とか話しつつ。
一次会の3時間の間、ほとんど独占状態でお話できたので、皆さんには申し訳ないと思いつつ、あんなこともこんなことも聞けたりして個人的には大満足でした。ここには書けないようなこともチラホラ。次作のお話や、さらにはその次のお話も進んでいるようなので期待しております。

創作者としての想いを横で聞いていたら、やっぱり自分も書きたい気持ちが沸々と沸いてきた。真剣に向かい合ってみようか。

賞関連の記事やコメント等を読んで。
作品を貶したり、「ダメだ」とバッサリ切るという行為は、その作品を愛する読者達をも貶めているということを理解しているのであろうか。
言葉で飯を食う商売をしているのなら、もう少し他の言葉の使い方があるのではないかと思ってしまう。
他人を評するその態度や言葉が、そのまま自分に返ってくるものだということを気づいているのだろうか。

涅槃の読書模様

『スパイたちの夏』マイケル・フレイン【→bk1へ】読み中。

May.18,2003 (Sun)

daylife

昨日の宴席で、「独りよがりな文章は困るよねえ」みたいな話をしていたんですが、現在読んでいる小説、『スパイたちの夏』マイケル・フレインの場合、翻訳が独りよがりで困っています。単純に、やたらと直訳調で読みにくい、というのもあるんですが、訳者が自分のレトリックに酔いすぎ。表現を噛み砕くのに頭を使ってしまって文章に集中できません。

白水社なんだからもっと翻訳者には気を遣って欲しい。編集者は何も感じなかったのだろうか。それともこれが本当の美文だということなんだろうか。

「翻訳に文句があるんだったら原文で読め」という意見もあるんでしょうが、それはまた別の話。

涅槃の読書模様

『スパイたちの夏』マイケル・フレイン【→bk1へ】読み中。

購入物。

『K』遠崎史郎/谷口ジロー(アクションコミックス)【→bk1へ】[comic]

『神々の山嶺』夢枕獏/谷口ジローが完結して、これからコミックス一気読みを始めようかと思っているのですが、その前に谷口ジローが作画した山岳マンガの傑作であると言われている本書を読んでみようと思って買ってみました。

世界第二の高峰、K2でクライマーが遭難。石油王であるクライマーの父親は金に物を言わせ、救助に向かわせようとするが、誰もが首を横に振り、「誰も登ることは出来ない」と言うのだった。
ただひとり、ヒマラヤの麓、アスコーレ村に住む「K」とだけ呼ばれる男。正体は不明だが、彼ならば、という話を聞き石油王は彼に救助を依頼する。

いやー、これは凄かった。谷口ジローの繊細な筆致で描かれる勇壮な山々、過酷な登山の風景。自然描写というのはマンガにとって時に致命傷になることもあるんですが、谷口ジローの場合はそれが強みになるから凄いですね。
原作者がクライマーということもあって、壮烈な話なのにきちんと説得力があり、マンガとしてのギリギリの臨界点に達している。

残念なのは「K」の正体が匂わされているものの、結局なぜに「K」と呼ばれる存在になったのか、ということがまったく描かれていない点。もしかしたら、これ以上に続く話を想定していたのに、連載が打ち切りになった、とかそういったことが理由なのかもしれません。

山好きなら絶対に読むべし。そういっても過言ではない一冊。これを読んだら『神々の山嶺』をマンガ化するなら谷口ジロー以外ありえない、と強く思うはず。

May.19,2003 (Mon)

daylife

ども、密かに某リンク集に登録されることを狙っているshakaです。今のところその気配はこれっぽっちもありませんが。
枕に意味はありません。

RE-QUINさんの日記(5/18)へのお答え(になっているか?)。
「上巻だったら」というのは(少なくとも私の場合)、幕の引き方がいかにもだとか、分量が足りない、ということではなく、なんというのだろう、多分「食い足りない」という感覚が残ってしまったということだと思います。一番の要因は、先日お会いしたときにお話したように「ラストの盛り上がりが今ひとつ」と、私には感じられたことだと思います。
ここでいう「盛り上がり」とは、派手さや分量の問題ではなく、それまで語られてきた物語の終着点としての弱さ、みたいなものだと思ってはいるんですが、うまく伝わらないかな。
この物語が決してカタルシスを目的としたような作品でないことは承知しているのですが、それを承知した上での「食い足りなさ」なのかな、と。
むしろ淡々と語られるべき物語であったはずなのに、盛り上がりを期待させてしまったがゆえの印象かもしれませんが。
あー、やっぱりあれだけの時間じゃ語りきれてませんね。RE-QUINさんのまたの上京を楽しみにお待ちしています(笑)。

涅槃の読書模様

『スパイたちの夏』マイケル・フレイン【→bk1へ】読み中。

購入物。

『D-LIVE! -2-』皆川亮二(少年サンデーコミックス)【→bk1へ】[comic]

2巻に入ってますます快調だ。
特に最初の「爆走列車」編はメチャ面白かった。サスペンスの基本であるオチが二段というのも素晴らしい。

本作は『スプリガン』『ARMS』と違ってSF的な要素はなく、純粋にアクションなので(この先どうかはわからないが)、実写映画化してもいいと思ったくらい。まあ、『D-LIVE!』の映画化というよりも、アクション映画の中でこのマンガのネタを拝借させてもらったらどうよ、という感じだが。それだけのクオリティだと思うです。

そろそろ物語の中心となるキャラ達も出揃ってきた感があるので、話が本格的に動き出しそう。連載を見る限りでは、次巻の途中か4巻から新章突入の気配。ますます楽しみである。

『ダブル・フェイス -1-』細野不二彦(ビッグコミックス)【→bk1へ】[comic]

手品とかマジックという言葉に弱い私なので、帯の推薦文がプリンセステンコーというだけで惹かれて買ってみました。

サラ金勤めの社員で、唯一の趣味が手品というさえないサラリーマンが、実は裏の世界で「MR.Whoo」と呼ばれる天才マジシャン、という話。

正直、期待したほど手品やマジックの醍醐味を味わうことができません。つーか、マジシャンでなくてもええんちゃう。第一話以外は「人を騙す」というテクニックが活かされた話はなかったような。
細野不二彦らしい、わけのわからないテンションと主人公の異常性(サイコではない)でなんとなく読んじゃう作品なんですが、今後の期待感は薄いかも。続きは買うかどうか微妙。

May.20,2003 (Tue)

daylife

楽しみにしていた芝居のチケットが届く。うぉぉ!、これほどイイ席だとは!?。驚き。今からスッゴク楽しみである。

言いだしっぺの当人が反応しないのもなんなのですが、アレはアレで一瞬の感情に突き上げられて書いたことで、それ自体は完結してるからなあ。
その上で、「作品を貶したり、「ダメだ」とバッサリ切るという行為は、その作品を愛する読者達をも貶めている」という私の(先走った)意見に対し、「それは違う」というスタンスの方々を否定する気持ちはまったくないです。なぜなら、その方々には「貶められた」(という表現が大袈裟だとしても)という感覚はないのでしょうから(別に皮肉っているわけではないので念のため)。
それくらいでしょうか。細かく書き出したらキリがないというか、最初からまとまった意見ではないので勘弁してください。
あ、アレはあくまでも文章を書くことを生業とする「プロの審査員」に向けての言葉です。そこは誤解なきよう。

涅槃の読書模様

『スパイたちの夏』マイケル・フレイン【→bk1へ】読むのに疲れてきたので(面白くないわけではない)、気分転換に『俺は非情勤』東野圭吾【→bk1へ】を。
んで読了。レビューは後日だけど一言だけ。これがホントに『五年の学習』に連載されたのかと思うとビックリだ。多分、これを読んだ年代が、将来「小学生の頃に読んだアレはちょっと凄かったな」とか思い出すんだろうなあ。

購入物。

『もっとも危険なゲーム』ギャビン・ライアル(ハヤカワ文庫)【→bk1へ】

冒険アクション小説の代名詞ともいえる『深夜プラス1』の作者であるギャビン・ライアルの、もう一つの傑作。

ビル・ケアリはフィンランドの田舎都市、ロバニエミでオンボロ水陸両用機を操縦するパイロット。彼の夢はニッケル鉱山を発見し、自分の飛行機会社を運営することだったが、実際は一グラムのニッケルさえ発見することができない毎日だった。
ある時、ケアリはアメリカ人の富豪、ホーマーに熊の狩猟ポイントまで乗せてくれと依頼される。ホーマーは富豪ではあったが、決して傲慢な人物ではなく、彼の狩猟の腕と彼の人柄にケアリは好感を持つのであった。
同じ頃、ロバニエミでは飛行士の事故が相次ぐ。このことに不審を感じたケアリは自ら調査を始めるが、手違いから治安警察に終われる羽目になってしまう。

翻訳が、これまた冒険アクション小説翻訳の第一人者とも言える菊池光なので、特有の時代がかった言い回しと、男たちの渋い台詞の数々にクラクラである。

体じゅう蜂の巣のように撃たれていながら、歯だけの力で断崖が登れる男だ。

こういう文章を読んでいるだけで冒険アクション小説はやめられない。

『深夜プラス1』と並び賞されることの多いこの作品だが、個人的には『深夜〜』の方に軍配が上がる。本作には正直言ってあまり話に起伏がない。ラストの勝負は手に汗握るが、それ以外の部分に関してはおまけ的要素が強すぎ、読み終わってみても「結局、あっちの話はどうなったの?」と思ってしまう。ところどころに散らばっている伏線が重要な使われ方をしていないのが勿体無い。

そうはいっても冒険アクション小説好きとしては、この雰囲気と文体だけでもたまらないものがある。なにより、男たちの命よりも大切な誇りや矜持といったものがこの世界には色濃く残っている。それがたまらないのだ。

『焼きたて!!ジャぱん -7-』橋口たかし(少年サンデーコミックス)【→bk1へ】[comic]

パンタジア新人戦の三位決定戦、諏訪原VS河内の対決。新人戦の結果、河内は本店へ。東に負け、雪乃にお払い箱にされた冠は南東京支店への移動を希望。冠は恐るべき陰謀がパンタジアに迫っていることを皆に伝える。

まー、相変わらずのおバカっぽさが満載で楽しい。でも、いつもより低調に感じるのはおバカ度が足りないせいか。というか冠が前面に出てくるとどうしてもそうなってしまう。ま、それはそれでいいけど。

この巻はほとんど冠と河内がメインで、東はツマ程度。黒ちゃんと諏訪原よりも目立ってません。月乃の出番が減った代わりに、マイスター霧崎の妹が登場してます。

てなわけで後半はモナコカップへと話が突入しているわけなんですが、たまたまサンデー読んだときにものすごい展開になっていたのでビックリしました。と、いうわけで次巻は必見かも。

『地球氷解事記(上)(下)』谷口ジロー(Action Comics)【→bk1へ】[comic]

谷口ジローの幻のSF大作(らしい)。
何千年後かの地球は氷河期時代に入り、人間はコンピューターに便りきった世界で残り僅かな石炭原料を掘り起こして命を繋げていた。やがて、地球に再びの大変動が起こり、人類は滅亡の危機に追い込まれていく。

大変アバウトなあらすじになってしまいましたが、あまりにも多くのものが詰め込まれすぎて、これ以上絞れません。内容も多くの要素を詰め込もうとしすぎて散漫になっちゃった、という感じ。正直、今ひとつ。

星野之宣と大友克洋を足して2で割った、というのが一番しっくり来る印象。ただ、頭の中で思い描いたものを消化し切れないままにマンガに起こした、という印象もまた拭えません。それでも、それなりに読み応えがあるのは、やはり絵の力によるところが大きい。

やっぱりこの人は原作ありのマンガを書かせたほうが一流の気がしますね。少なくともストーリーテラーではない。アイデアはあっても構成力が追いつかない、とでもいいますか。そういう意味では、現時点においては自分の立ち位置を理解している人だな、と思います。


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