ごくたま昨日日記 in June, 2003

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Jun.21,2003 (Sat)

daylife

ゴーストライターとゴールドライタン(古っ!)って似てるよね。
枕に意味は、ちょっとだけあります。

というわけで今日はG2プロデュース『ゴーストライター』を観てきました。感想は明日。あー、すんごく書きたくなってきた。それと、色々と妄想。

芝居を観終わってから新宿のビックカメラやヨドバシを巡って『MOTHER1+2』『EVER17』を探して歩き回るが、全然お目にかかれない。横浜で、やっとこさ『EVER17』を手に入れ、諦めかけて地元の駅まで戻って近くの書店を覗いたら『MOTHER1+2』が残っていたので購入。いっぺんに買ってもやりゃしないんだけど、こういうのはテンション上がってるときに買っておかないと。

帰宅後、早速『EVER17』を始めてみる。うーん、ギャルゲーっぽい。さらにセリフが辛い。ちゃんとしたシナリオライター雇えよ。でもまあ、あれだけ評判のいいゲームだから我慢してやってみる。でも、なんとなく筋が既に見えてそうで恐い。いや、まさかそんなことは。

久々にPS2のコントローラーを握っていたら手が疲れたので今日はこの辺で。

蹴球微熱 FIFAコンフェデレーションズカップ 日本VSフランス

手が疲れているので簡単に。
いやいや、予想に反していい試合でしたよ。フランスが1.5軍の上に今ひとつの出来というのは差し引いても、日本のコンビネーションにはビックリしました。ちょっとだけジーコマジックを信じてもいいかも、と思うほどに。

点は(FKでしか)獲れなかったにしろ、試合中何度も見せた敵陣に入ってからのワンタッチ、ツータッチでの素早く美しいパス回しには口あんぐり。たった二試合でここまで変わるもんなのか。DFラインでボールを回して、ビルドアップしてから一気にゴール前へ、というのは今までの日本ではまったく見ることが出来なかった。いやー、やれば出来るもんですね。

あとはゴール前でのトラップから2、3歩のドリブル、それさえ出来ればシュート体勢まで持っていけるのではないでしょうか。そこはもう個人の進歩を願うしかない。とにかくジーコがしつこく「コンビネーション」と言い続けた理由がやっとわかりました。やっぱアンタは凄いわ。

それでもまた不満を不安もいっぱいあるし、本気でくる強豪相手に今日のようなパス回しが出来るのかはわかりません。それでも、今までのチームとは全然違う姿を見せてくれたことには希望が見出せました。なにより、面白かった。こういう試合はいいね。

それにしてもフランスは、アンリにトレゼゲにデュガリーだけじゃなく、シセにゴヴとトップの選手が余剰人員ですね。羨ましい、日本に一人ください。

涅槃の読書模様

『黄色い目の魚』佐藤多佳子読了。

『MISSING』本多孝好読み中。

Jun.23,2003 (Mon)

daylife

ボクシング、Wタイトルマッチ。
アギーレVS星野。星野は見事な散りっぷり。負け前提で見るならいい試合だった。だが、チャンスにラッシュできないという日本人特有の弱さも露呈。まあ、負けで順当。いい負け試合でした。

徳山VS川島。徳山は結婚してから初の防衛戦ということで嫁さんにKOをプレゼントしたかったのだろう。まさか最初から打ち合いに応じるとは。しかしまあ、これは川島の距離だし、川島はタフさにかけては右に出るものはいないんだから思うようにいかないのは仕方ない。途中から得意の足を使ったボクシングにチェンジしてからは完全に徳山ペース。川島はラッキーパンチが当たるのを祈るだけでしたね。後半ややチャンピオンが鈍ったのは、左を骨折した(とインタビューで徳山が言っていた)かららしい。まあ、いい試合に見えたけど実際は徳山の完勝といっていいんじゃないかな。

それにしても最近の日本人のタイトルマッチはスッキリしない試合が続いてるなあ。バシッと勝ってくれる選手が出てきて欲しいですね。

『ゴーストライター』G2プロデュース[play]

紀伊國屋ホール、作・演出:G2
出演:三上市朗、関秀人、久保田浩、楠見薫、武藤陶子、コング桑田、松下好、腹筋善之介、山田かつろう、瀬戸中基好、川下大洋

約一年半振りのG2プロデュース。今回は後藤ひろひと脚本ではなくG2による作・演出。前回の『天才脚本家』に続いての“脚本家シリーズ”第二弾。

やられた、見事に。
個人的には後藤ひろひと脚本が好きで、今回はG2脚本なだけにいわゆる「ストーリー」的な面白さはあまりないだろうな、と予想はしていた。で、まさしく予想通りで、ラスト近くまでは「面白いドタバタ喜劇」という印象で、面白いのは当然だけど物足りない、という部分は確かにあった。

クライマックスに至っても、どこか冷めた感じは拭えず、「今回は“面白い”以外の感想はないかなあ」と思っていた。しかし、クライマックスが終わり、久保田浩のモノローグから雪崩れ込む一連のエピローグのシークエンスを見て、泣いてしまった。
もしかしたら多くの観客はそこまで感動できなかったかもしれない。だが、一度でも脚本や小説を、それこそ本気で書いたことがある人間があのラストを見たら、きっと涙が出る。あの、たった1、2分のラストだけで、この芝居に対する私の評価は決まったも同然だ。

その感動の大きな牽引役になっているのはなんといっても武藤陶子だ。基本的に私は「マイナスのものがプラスに転化する」という現象がとても好きである。武藤陶子演じる佳奈は、ファーストシーンではまったくもって魅力のない「ブスキャラ」(失礼)だ。しかし、芝居が進むに従い、彼女はどんどん魅力的に変貌を遂げていく。それは決して「マイ・フェア・レディ」のようなビジュアルな変化ではない。内面の変化によって、彼女の持つオーラが変化していくのである。
この芝居では、佳奈の対極として松下好演じる菜津子という女性が登場する。彼女は見るからに美しく、ビジュアルだけの評価でいえば、文句なく彼女に軍配が上がる。だが、芝居を見終わって多くの人が心惹かれるのは武藤陶子演じる佳奈であるに違いない。そりゃヒロインだもん当然だろ、と言われればそれまでだが、実際はそう簡単なことではない。その難しい注文に見事応えきった武藤陶子には拍手喝采である。

と、自分的には大満足な芝居ではあったが、客観的にいくつか瑣末な感想も述べておく。
やはり、後藤ひろひとの脚本と比べるとどうしても「物語性」が弱い。それはそれで弱点に直結するわけではないのだが、ラブロマンスを引き立てるだけの流れが弱くなってしまったのは残念だ。特に、三上市朗演じる洋輔が、佳奈に対してどのような気持ちの変化をしているのかが殆どわからなかった。それだけにクライマックスの二人の選択や盛り上がりに今ひとつ感情移入ができない。佳奈の部分に関しても弱い気はするのだが、ラストのエピローグである程度納得はできる。それでも多くの人にとっては消化不良なんじゃないかなあ。
見た目的な演出に関しても今回「おおっ」と思うところはあまりなかった。原稿が舞い跳ぶのは美しかったけど。

今回の久保田浩は「羽曳野の伊藤」ではなく、それでも「謎の男」というやっぱり変なキャラ。しかし、このキャラが笑いだけでなく、意外に利いている。腹筋善之介との「超次元バトル」は今回もアリだから、そこは安心めされい。

初めて見て気になったのは同志社大学出身で、ヨーロッパ企画という劇団に所属するという瀬戸中基好。とにかく不可思議なキャラ。いつもああなのか、それとも今回の演技だけがああなのか、凄く気になる。他の芝居でも見てみたい。

紀伊國屋ホールで前から三列目中央なんていう絶好の座席で芝居を見るのは初めて。おかげさまで役者の表情から何からバッチリ見えました。それだけに余計、武藤陶子の熱演が素晴らしかったと思うのです。

蹴球微熱 FIFAコンフェデレーションズカップ 日本VSコロンビア

日本のコンフェデはたった3試合で終わった。しかし、予想外に多くの収穫があった3試合だったのではないだろうか。そして、今日の敗北はその収穫が産んだミスでもある。皮肉だ。

日本はこの3試合で、ディフェンスラインでのパス回しに自信を持ってしまった。これまでは、大きくクリアする、または外に出す、という二択しかなかった日本にとってディフェンスラインで落ち着いてボールを回し、ビルドアップして前線へ、というのはひとつの形として大きく機能し始めていた。しかし、その自信が、あの遠藤と宮本のミスを誘ったのも事実だ。まあ、ミスはミスとして受け入れて欲しいが、同時に自分たちの自信を失うようにはなって欲しくない。それはとても大きな収穫だからだ。

高原は以前、「決定力不足って言いますけど、それはFWの責任だけじゃないでしょう」と語っていた。それは確かに事実だし、別にFWだけにその言葉を言っているわけではないのだが、今日だけはFWに対して言わせてもらおう、「決定力不足だ」と。
あれだけ外してたら勝てません。山田のセンタリングは悪くないどころか、思わず「おおっ」と声を出してしまうほどによかったし、それ以外でも中盤の選手は多くのチャンスを作ってくれた。それを決めるのはFWの仕事でしょう。この3試合で、高原にはまったくいいところがなかった。ジーコが同じ選手を使い続けたい、というのは理解したつもりですが、それでも高原に対して打つ手はなかったのか。大久保も確かに良くはなかったけど、永井を代えて投入するならどう考えても高原でしょう。それと、この三人しかFWを連れて行かなかったことが、失敗だったと思います。奥をFWで使うならまだしも。

それと小笠原。今日の試合で日本が憶えたての早いパス回しをフランス戦ほど使えなかったのは彼がそのリズムを崩してしまったからでしょう。確かに他の選手に比べてコンビネーションが足りないのはわかりますが、あまりにも安易にバックパスをしすぎです。このバックパスが日本からリズムを奪い、コロンビアを調子づかせたのは間違いないと思います。ああいうプレーを選択している限り、彼を代表の中盤で使うのはどうかと思ってしまう。

と、色々不満と不安はあるにせよ、大きな収穫もありました。ひとつはコンビネーションは戦術を凌駕する可能性がある、ということが見えたこと。「戦術やしたいことが見えない」とジーコを批判していた自分を反省したいと思います。ただ、限界はないのか?、という不安はまだありますが。
選手個人で一番収穫だったと思うのはなんといっても山田。これまで名良橋の定位置だった右サイドバックを完全に自分のものにしたんではないでしょうか。これでもジーコが今後名良橋を使うんだとしたら、そのセンスを疑います。多分、ないでしょうけど。
それとやはり宮本。一対一では勝てない、と割り切ることでディフェンスする、という彼の考え方は日本にはあっていると思う。下手に一対一を仕掛けて失敗されたらアウトですからね。
遠藤も頑張ったけど、多分他のボランチでもあの程度はできると思うんで、彼としてはあのフリーキックを決めておきたかったでしょう。FKも打てるボランチ、ということであればポイントゲットになりますから。

個人的に疑問符なのは三都主。確かにある程度無難にはこなしました。コロンビア戦ではいい上がりを見せもしました。だけど、あの程度なら他にもやれるサイドバックはいるでしょう。そしてあの程度の攻撃力なら、もっと守備力のあるサイドバックはいるんですよね、これが。「本職じゃないのによくやった」っていうのは正当な評価だとは思わないんですが、うーん、どうなのかなあ。

今日の試合を見ると、日本の成長した姿がコロンビアだと思うんです。細かく早いパス回し、高いラインでの4バックの対応。決定力のある中盤の選手。その意味では、先を行くコロンビアが勝つのは順当かな、と思いました。コロンビアもFWの決定力には苦しんでいる。日本にとって、いい見本との試合ができたと思います。

個人的にはコンフェデ以前に感じていたジーコへの不満というのはひとまず収まりました。しかし、こういう形で行くならば、「決定力不足」という問題を解決しない限り、このチームの発展はないように思います。そこをジーコがどう修正して行くのか、それが肝心ですね。

涅槃の読書模様

『終戦のローレライ(上)』福井晴敏読み中。

購入物。

Jun.24,2003 (Tue)

daylife

昨日のBSマンガ夜話セレクションは『SLAM DUNK』。1997年の放送だったのだけれど、この時点でのいしかわじゅん井上雄彦に対する番付評価は「新入幕」。ただし、将来横綱の可能性あり、であった。あれから6年、現在の評価はいかほどなものか気になる。

今日は会社帰りに『マトリックス・リローデッド』を観に行こうかと思っていのだが、あまりの眠さに断念。行きの電車では、降りる駅だと頭ではわかっているのに身体が動かず危うく乗り過ごすところだった。ねむー。

ウィンブルドンがはじまったと思ったら昨年度チャンピオンのヒューイットが一回戦負け。シード1位の一回戦負けはオープン化してから初めてだとさ。いきなり本命が消えた。今年はラフターあたりがきそうだなあ。

あー、デカイ声が出してえー。

涅槃の読書模様

『終戦のローレライ(上)』福井晴敏読み中。

購入物。

『黄色い目の魚』佐藤多佳子(新潮社)【→bk1へ】

本書の第二章にあたる『黄色い目の魚』は、もともと短編として10年ほど前に発表された。その話を膨らませ、一冊の小説にしたのが本書だそうだ。

「本気になるのってこわくねぇ?自分の限界とか、そんなの見ちまったら二度と立ち直れない気ィする」
そう感じている、サッカーにも、絵にも本気になれない少年。
「消えない女になりたい。消えない男になって欲しい」
そう願う、居場所のない、絵を愛する少女。
二人は出会い、互いのさがしものを、互いの内に見つけはじめた。

離れがたい物語というものがある。読み終わっても、本を閉じることができず、少しでも長くその空気の中にとどまっていたいと感じる物語がある。『黄色い目の魚』はそういった物語である。

その要因を、こうだから、ああだから、と書くことができるかもしれないが、それはあえてしない。そういったことは瑣末なことでしかない。そのレベルで語れば、不満だってある。偉そうに「こうだったらもっとよかった」ということもできる。しかし、それも瑣末なことだ。一冊の本として、この物語は素晴らしいのだから。

若さだけに許される、まっすぐで躱ことを知らない情熱。一歩も引くことのできない互いの熱い思い。それを正面切って受け入れようとする不器用な心。大人になってしまった自分たちの目に映る眩しい光。だからこそ、この二人をとても愛しいと感じてしまう。この二人の気持ちを羨ましいと感じてしまう。感情移入することで得ることのできる感動とは別な感動が、ここにはあると思う。

久しぶりに何度も読み返したいと思う本に出会えました。それだけで満足です。

『バガボンド -17-』井上雄彦(モーニングKC)【→bk1へ】[comic]

まだまだ続くよ小次郎編。吉岡伝七郎との戦いで斬り合いの楽しさと恐怖を知った小次郎は鐘巻自斎の元を離れ、一刀斎と旅に出る。おお、やっとここでなぜ又八が小次郎の免状を持つに至ったかが繋がった。
それにしても長すぎ。ホントにこのマンガ終わるんだろうな。どう頑張っても船島の対決までで精一杯な気がする。武蔵の生涯を描いてたら終わらないだろう。
ちなみにこの巻を読むための所要時間は3分でした。早すぎ。

『警察署長 -11-』やぶうちゆうき/高原泉(モーニングKC)【→bk1へ】[comic]

超安定。やぶうちゆうきは完全にツボを掴んだね。人情ものとして高レベルの領域に入りました。
署長の使い方も上手くなって、出番の多い少ないに関わらず印象深いキャラとして存在感はバッチリ。
この手のある意味良質だけどベタなマンガってのは少なくなってしまったから、息長く続いて欲しいですね。ドラマもそうだけど。

『コミック星新一 午後の恐竜』オムニバス(秋田書店)【→bk1へ】

何がきっかけで編まれたのかわからないけど、星新一のショートショートをオムニバスでマンガ化して一冊にまとめられている。収録作は以下の通り。

星新一の原作を好きな人が読むのかそうでないのかわかりませんが、個人的には「おーい、でてこーい」が原作よりもマンガとして一番面白かった。「生活維持省」は志村貴子らしいといえばらしいし、原作読んでると星新一らしい乾いた感じが良く出ているのだが、マンガとしてはどうかなあ。「現代の人生」なんかはよく考えると30年近く前の作品だと思うんだけど、まさに「今」を切り取ってて星新一の凄さがわかる。

星新一のショートショートはまだまだあるわけで、シリーズとして続きが出ても面白いと思う。ちなみに私が好きな星新一の一冊は『ちぐはぐな部品』かな。

Jun.26,2003 (Thu)

daylife

昨晩のBSマンガ夜話セレクション『機動警察パトレイバー』を見ていて、以前から思っていて実行していなかったことを思い出す。というのは、「『パトレイバー』のアニメを見よう!」ってことなんである。私はアニメ版『パトレイバー』をまったくといっていいほど見たことがない。TVの深夜枠で再放送されているのを2回ほど見たことがあるだけだ。このTV版にはあまり興味はないのだが、映画版やOVAはオリジナルストーリーだという話を聞いたことがあったので、見てみたいと思ってはいたのだった。

どうやら劇場版は『機動警察パトレイバー 劇場版』と『機動警察パトレイバー2 The Movie』と『WX3機動警察パトレイバー』の3本があるらしい。さらにOVAは2本。計5本ということになる。
アニメ識者(もしくはパトレイバー識者)の方がいたらお聞きしたいのだが、この5本、どういう順番で見た方が良い、というような指針はあるだろうか?。あれば是非ともご教授願いたいです。折角尻据えて見るんだし。よろしくお願いします。やっぱTVシリーズから見なきゃダメ?。
単行本も読み返したくなってしまった。山から捜し出そう。

占い二つ。

その他のニュース。

『Number 579 日本代表総力特集2 Confederations Cup France 2003』

コンフェデでの三試合を徹底レビュー。それと、欧州選手権(EURO2004)予選の記事。まるっきりサッカー特集号。

対ニュージーランド、フランス、コロンビアの三試合を戸塚啓がレポート。
後藤健生/杉山茂樹/田村修一/西部謙司の四人がクロスレビューという構成。しかし、なぜか記事の順番がコロンビア戦、フランス戦、ニュージーランド戦という順番。時系列に沿っていないので少々読み解き難い。

戸塚啓と四人のクロスレビューの殆どは同じ内容。曰く、ジーコの標榜するサッカーの形は見えてきたが、本当にこれでこの先乗り切って行けるのか?。そして、この大会を勝ち抜くことを考えるならばフランス戦で戦力を温存し、コロンビア戦は絶対に勝ち点を取りにいくべきではなかったのか、ということ。決定力不足は今に始まったことではないので、それを含めて日本代表としてどうやって点を獲るのかがビジョンとして見えず、選手起用を含めてジーコには懐疑的。これには私も同感である。
フランス戦は確かにジーコジャパンになってから最高の試合ではあったが、それはジーコの監督としての手腕が最高であったわけではない。ただでさえ国際経験が少なくなってしまった現状で、あと2試合の経験を意地でも取りに行かなかったことが後々響いてこなければいいのだが。

さらにコンフェデ関連の記事では、宮本、遠藤の2選手のインタビュー。
宮本はなんといってもコロンビア戦での致命的なミス。しかし、やはり宮本らしいと思うのは、このミスを正直に受け止め言い訳するようなことはせず、冷静に出来たことと出来なかったことを分析している点。他の選手だったら「これがワールドカップ予選でなくてよかった」という台詞も言い訳に聞こえるが、彼が言うと真実味があるから不思議なものである。個人的には日本の新たなディフェンスラインは宮本中心で行くべきだと改めて感じたので、彼とコンビを組むのは誰なのか、それが気になる。

同じく遠藤のインタビュー。
守備的MFとしては及第点だったと思うが(宮本と同様、あのミスは致命的だったけど)、ガンバで見せるような攻めあがりが少なかったのは残念で、本人もそれは自覚していたようだ。まあ、初代表からあれよあれよで先発メンバーになって、前にいるのがヒデと俊輔じゃあ遠慮もするだろうけど。ボランチはおそらく日本代表で一番の激戦区。今後彼が生き残っていくなら他のボランチよりも武器になるものを持っていかねばならないだろう。稲本、小野は言うまでもなく中田浩二や福西、戸田と比較しても国際経験に不足している。それだけでもハンデになるのだから。

コンフェデにおける一番の活躍を見せた中村俊輔についての記事。
確かにこの大会での俊輔は光っていた。俊輔懐疑派の私としてもそれは認めざるを得ない。この記事では得点に貪欲になった彼を認めつつ、スルーパスが殆どでなかったことについて指摘されているが、今回の日本の戦い方がスルーパスを生み出すようなものでなかったことが一番の要因という気もする。トンデモに聞こえてしまうかもしれないが、私自身は中村俊輔をFWとして使うっていうのもアリでは?と思い始めている。なぜなら、ゴール前でのフェイント、ドリブルにかけて彼に勝る選手はいないからである。もしかするとシュートも。彼をFWで起用することは彼のパスセンスを殺してしまう、という意見もあるかもしれないが、パス出しても得点獲ってくれる人間がいないんだから意味ないじゃん、と言ってみる。案外行けると思うんだが、おそらく実現することはないだろう。

コンフェデでの三試合をアーセン・ベンゲルが総括している。
今の日本を、プラティニ、ティガナ、ジレスという中盤を要した80年代シャンパンサッカーのフランスと似ている、と指摘し、「美しかったが勝てなかった」ところまで似ている、とやや皮肉っている。とはいえ、大方の部分ではベンゲルもまた他のレビュアーと同じような意見だ。ただ、彼独自の視点というか考え方は、中田英寿をFWとして起用するという案と「素晴らしいストライカーが出てくるまで待てば良い」というもの。そんな選手が本当に出てくるんですか?という日本人記者の質問に「信じなければ実現しない」と言い切ってしまうベンゲルはさすがだ。というか、彼にとっては日本がどうなろうと他人事なんだろうけど。

さて、あとはEURO2004予選について。
予選終盤の強豪国の運命を担う各国の新戦力についての記事。
ギャラス(フランス)/カモラネージ(イタリア)/ルーニ一(イングランド)/シャビ・アロンソ(スペイン)/クラニ(ドイツ)/デコ(ポルトガル)ら。
イタリア、イングランド、スペインは予選グループでやや苦しんでいる。彼ら新戦力が祖国を救うことになるのか。イタリアはウェールズとの、イングランドはトルコとの、スペインはギリシャとの直接対決が鍵になるだろう。このメンバーの中での一押しは間違いなくシャビ・アロンソだ。

究極の2トップを求めて。
綺羅星のごとく輝く、オランダ代表のFW5人のうち、どの組み合わせが究極の2トップなのか?。
ファンバステン、フリット、クーマンという嘗てのオランダ代表のカリスマ三人による採点表。
5人とは当然、クライファート、ファンニステルローイ、ファンホーイドンク、ハッセルバインク、マカーイである。クライファートが実績込みで一歩リード。次点はファンニステルローイという感じ。ちなみに私はファンニステルローイ、とマカーイのプレミアとリーガの得点王コンビによる2トップが最強だと思う。フランスといいオランダといい、FW余りすぎ。日本に一人くれ。

EURO2004予選で本命イタリアを抑えグループ9のトップに立ち、台風の目となっているウェールズ。その中心選手であり、私が敬愛するライアン・ギグスのインタビュー。
まあ、誰でも一度はツッコミたくなるものだが、「イングランド代表ではなく、ウェールズ代表になって後悔したことはないか?」という問いに、「後悔はしていないが、マンチェスターでイングランド代表の選手を見ていて嫉妬したことはある」と素直に答えている。しかしまあ、多くのギグスファンは世界の晴れ舞台で、彼の快速ドリブルが縦横無尽に駆け回るところが見たい、というのが本音だ。イタリアには悪いがプレーオフに回ってもらってウェールズが予選突破して欲しいものである。キャリア的にもこれが最後のチャンスだからなあ。

サッカー関係のその他の記事では、最近成長著しいスイスとチェコに関する記事。
チェコの方ではJリーグファンには懐かしいハシェックのインタビューが載っています。サンフレッチェファンは是非。

その他の記事。
「Dear KAZU」は前号なかったから終わったかと思っていたら続いていた。この記事の意味が良くわかりません。

仁志の「プロフェッショナルの証明」。今回はあまり面白くなかったけど、やっぱ読ませるわ。仁志は引退後、是非ともスポーツライターになって欲しい。彼の書く記事が読みたい。

NBAファイナル。サンアントニオ・スパーズ優勝。提督ロビンソン引退後はダンカンのチームとしてスパースがどこまで行くのか。ファイナルの相手だったネッツのジェイソン・キッドがもしかしたらスパーズへ、ってこともあるようで、そうなればしばらくは黄金時代が続くだろう。カンファレンスファイナルでレイカーズとスパーズが毎年死闘を繰り広げる、なんてこともあるかも。

Number EYESで、「福田正博はなぜミスターレッズだったか」という考察がなされている。私の考察は既に書いたが、彼の愛され方というのは、実のところK-1のアンディ・フグに似ているところがあると今更のように思う。日本人は煌びやかなスター街道だけを歩いてきたものより、挫折を味わいながら這い上がった者ほど愛する傾向があるように思う。

涅槃の読書模様

『終戦のローレライ(上)』福井晴敏読み中。

購入物。

『金魚屋古書店出納帳 -2-』芳崎せいむ(少年画報コミックス)【→bk1へ】[comic]

そうかあ『タッチ』あだち充ってもう古本的扱いなのかあ。まあ、そうだよなあ。こういう現実(マンガだけど)とマンガがオーバーラップしたりするのって憧れるな。長いことマンガ読んでて一度もないけど。
何を趣味にするにしろ、家族をないがしろにしちゃイカンよなあ。多少の迷惑は仕方がないとしても。
「マンガはしょせん、紙の上の出来事にすぎない」「だからこそ何でも起こりうる」確かに。
金魚屋の地下ダンジョンみたいのがホントにあったら、入ったまま一生出てこないかもしれない。
芳崎せいむの蔵書を一度見てみたいぞ。

Jun.27,2003 (Fri)

daylife

最近やけに足が痺れる。それも痺れそうにないところで突然痺れだすのだ。これって何かの病気の兆候かなあ、と思って調べてみた。
おいおい、脳梗塞とか脳腫瘍とか書いてあるよ。あとは脊髄の神経系か。どれもヤバイな。

カメルーン代表のマルク・ビビアン・フォエ選手には哀悼の意を表します。
これでますますコンフェデの存在価値は失われたな。カメルーン対フランスの決勝戦はどちらも辛いだろうなあ。

ヒマヒマな週末。

マンガ家の主張

「さくら出版」から流出した原稿が「まんだらけ」で売られていたことに対し、漫画家たちが抗議の声を挙げはじめている。→関連リンク集

遂に大物である弘兼憲史が動き出し、東京地裁への訴えも辞さない勢いだが、

「漫画家にとって、原稿や原画は大本となる大事なコンテンツ。それが勝手に
売られていることに怒りを感じる。法的な手段で専門店の責任を問いたい」

という意見には少々首を捻ってしまう。

もし、自分達が盗難に遭い、その盗難品が質屋で売られているところを見つけた場合、果たしてその質屋を訴えるだろうか?。訴えるべきは盗難し、質屋に品を売った人間であって、それを売った質屋ではないだろう。実際、そのような形で質屋が訴えられたという話は聞かない。勿論、質屋が盗難品だとわかって売っていたらまた話は別である。

マンガの原稿は「コンテンツ」であって、唯一無二のもの、他のものと同等に考えてはいけない、という意見もあるかもしれない。しかし、絵画だって唯一無二のコンテンツではあるが、商品として流通しているのだから、マンガの原稿が商品として流通していてもなんらおかしくはない。実際、今回の事件が起こる以前からマンガ原稿は商品として一般に流通していたわけだし、すべからく「マンガ原稿を売るな」という主張はおかしいだろう。

やや話はズレるが、弘兼憲史は「21世紀のコミック作家の著作権を考える会」の会員であり、中心人物でもある。彼が、「大物マンガ家」としてマンガ家を代表して果たさねばならない責務は大きいと思うし、その点は考慮したとしても、彼を代表とする「マンガ家」達の商品意識という概念はどこか外れているように思える。
それほどまでに大切なものを保護する手段を講じていなかったことに関しても、「?」という感じである。

マンガは確かに創作物であり、コンテンツであるが、同時に「商品」なのである。彼らの主張は「商品」である部分を抜きにして、創作物として、コンテンツとして保護して欲しい、という我侭な主張に聞こえて仕方がない。

更に言えば、こうした専門店、新古書店、マンガ喫茶が「マンガ文化」に与えた恩恵というものが、ハナから「ない」、と断じているのも個人的には受け入れられない。少なくとも私の場合、新古書店やマンガ喫茶の存在がなければ手に取りもしなかった、その存在を知ることもなかったマンガやマンガ家は多数存在するからである。

彼らの主張があまりにも一元的に見受けられるのは私だけだろうか。マンガ家にはもっと想像力があるものだと思っていたがなあ。

涅槃の読書模様

『終戦のローレライ(上)』福井晴敏読み中。

購入物。

『神のマジック人間のロジック』西澤保彦(本格ミステリマスターズ・文藝春秋)【→bk1へ】

本格ミステリマスターズの第五回配本分。ノンシリーズの書き下ろし。

僕の名前は御子神守。11歳の日本人だ。
神戸で両親と住んでいたはずの僕は、気がつくと「ファシリティ」と呼ばれるこの学校で暮らしていた。「ファシリティ」には僕の他にも同じくらいの年齢の子供が(ただし彼らはアメリカ人)5人、同じように暮らしていた。
僕達5人はなぜ親元を離れ「ファシリティ」で暮らしているのか?。ここで「実習」と呼ばれる不思議な授業は何のためなのか?。そして、僕たちの記憶が曖昧なのはどうしてなのか?。

こ、こいつは……アプローチの方法こそ違うものの、嫌でも某作を思い描いてしまう。それがマイナスとは思わないが、こういうシンクロニシティはあるもんなんだねえ。でもどちらか先に読んだ方がインパクトで勝ってしまうのは仕方がないだろうな。

この物語の根幹を為すアイデアというか、思想は凄く面白いと思いますし、多くの人が一度は「なんとなく」でも考えたことがあるんじゃないかと思う。それをこういった形で大胆にぶちまけた西澤保彦はさすがだし、その点では間違いなく力作。

しかし、小説単体として考えた場合、正直今ひとつだった。というのも、最後にぶちまけられる真実に至るまで、特に面白いことは何も起こらないからである。西澤保彦の得意とするディスカッションについても、そこで語られる内容にも、その大元の謎にもあまり魅力を感じることは出来なかった。

率直に言って、これは短編ネタだと思う。それを長編としてこねくり回すには、それだけのエピソードなり、キャラクターなりが必要だったと思うのだが、それだけのものがなかった。短編でキレ良く見せられたら、それこそ今年の本格ミステリ短編ベスト1に挙げられたのになあ。

ここ最近の西澤作品(『夏の夜会』『聯愁殺』『ファンタズム』、本作)において、アイデアはどれも面白いけれど、エピソードがどれも光っていないように感じる。結構な勢いで新作が発表されるのは読者として嬉しいのだが、その分ストーリーを熟成させるだけの時間が足りていないのではないか?などと勘繰ってしまう。どれもこれもアイデア自体は秀逸なだけに、それを物語としてもっと読ませるものにしてくれたら、と考えてしまうのは読者の我侭だろうか。

Jun.28,2003 (Sat)

daylife

というわけで『機動警察パトレイバー 劇場版』を見た。いやー、押井守節全開。いきなりスケールでかい話でちょっと戸惑ったけど、これは面白いわ。やっぱ日本のアニメの力ってのは凄いね。1989年時点でこの映画でしょ。アイデアと脚本だったらハリウッドに全然負けてませんよ。向こうは今頃『ザ・コア』とか作ってるくらいだしね。

『パトレイバー』としてはキャラデザインが今ひとつ好きではなかったけど、それも含めて押井守だから仕方がない。あくまでも映画『パトレイバー』として面白かったから構わないけど。

タレコミによると映画とOVAは連動してたりしてないということなので、とりあえず映画から見ていくことにしました。余裕があればTVシリーズ見てからOVAに行こうかと。
しかし近所のTSUTAYAは、今日見た劇場版一本目以外はビデオしかないんだよなあ。できればDVDで見たいのに。

ちょっと足を伸ばしたビデオ屋まで行ったら、いつのまにかこっちもTSUTAYAに変わってた。いやーん。TSUTAYAの品揃えってどこも一緒だからTSUTAYAばかりが増えても困っちゃうんだけどなあ。
古い日本映画がレンタルできるビデオ屋がまた一つ消えてしまった。

Jun.29,2003 (Sun)

daylife

ヒマヒマな週末を活かしてマンガの整理を始めました。……全然終わらん。とてもではないが整理というレベルは無理だと判明したのでとりあえず処分するマンガだけでも抜き出すことにする。半分ほどの箱と山からなんとか150冊ほど処分するマンガを抽出。この調子なら300冊くらいは処分できそうだ。こりゃ来週も潰れそうだな。

まあ、おかげで『機動警察パトレイバー』ゆうきまさみも全巻見つかったので読み耽ったり。そんなことしてるから終わらないんだというツッコミは無し。

処分予定のマンガに関しては物好きな引き取り手が現れるかもしれないので、一応リストにしてアップするつもりです。

滅・こぉるさんのツッコミ。確かにアナロジーとして絵画を出したのはちょっと違いましたね。ただ、現行の流通に関して言えば、食えなくなったマンガ家が自分の原稿を売りに出したりしている例もある。それもまた問題含みといえばそうなんですが。

仰るとおり、私が言いたいのは「出版業界全体(マンガ家含む)の責任転嫁意識」に対してなのだが、その論を補強するために、やや恣意的な表現を使ったのはマズかったかもしれない。
ただ、毎度毎度ことが起こってから他者に責任を押し付け、自分達の足元を改善しようとしない彼らの態度には、釈然としないものを感じてしまうである。

Jun.30,2003 (Mon)

daylife

週末の二日間で口にした台詞は、「焼肉弁当おかず大盛りで」だけだったshakaでございます。
枕に意味はありません。
ところで今日一日で売れたタバコの量がどれくらいだったのか気になるところです。私は2カートン分だけ買いました。

K-1はもう日本人選手を中心にした大会はやめた方がいい。恐ろしくつまらない上に今回はくだらない試合ばかりだった。前回の日本人大会もそうだったけど、あれを金取って見せるのは客を舐めてる。あまりにつまらないので試合にコメントする気にもなれない。

市川憂人さんの『推理小説のエッセンス』(第一回)と(第2回)を読む。この話が持ち上がったあの場にいた者として非常に興味深いし、この冒険に旅立った市川さんには頭が下がる。続きも楽しみにしています。で、できればその後に反応できることがあれば反応したいです。

『週刊ブックレビュー』(→サイト)あなたを眠らせないミステリー本 第五弾

昨晩寝る前にやっていたので見てしまった。北上次郎関口苑生の二人が2003年上半期のミステリー本の中から野球の打順になぞらえてベストナイン(+代打)を選ぶというもの。結果は以下の通り。

1.『第三の時効』横山秀夫 <集英社>【→bk1へ】
2.『重力ピエロ』伊坂幸太郎 <新潮社>【→bk1へ】
3.『非国民』森巣博 <幻冬舎>【→bk1へ】
4.『サイレント・ゲーム』リチャード・ノース・パタースン <新潮社>【→bk1へ】
5.『葉桜の季節に君を想うということ』歌野晶午 <文藝春秋>【→bk1へ】
6.『手紙』東野圭吾 <毎日新聞社>【→bk1へ】
7.『繋がれた明日』真保裕一 <朝日新聞社>【→bk1へ】
8.『ZOO』乙一 <集英社>【→bk1へ】
9.『闇の狩人を撃て』P・T・デュータマン <二見書房>【→bk1へ】
代打『夢は荒れ地を』船戸与一 <文藝春秋>【→bk1へ】

まずはクリーンナップからということで助っ人外国人の四番打者に『サイレント・ゲーム』。リチャード・ノース・パタースンは北上次郎曰く「リーガルサスペンスの東の横綱」(*1)で、本作はパタースンの中でも傑作らしい。私はパタースン作品はまだ未読だが、これまでの作品も評価が高い。二人とも激賞。気になる作家だ。
『葉桜の季節に君を想うということ』も二人とも文句なしの選出で、このラインナップの中ではもっともミステリらしいミステリの一冊。「とにかく驚かされること請け合いだけどネタバレになるから何も喋れない」と二人が困惑する様が笑えた。個人的には「驚き」は保証できるけど小説として面白いかどうかは疑問。
『非国民』は関口苑生の上半期一押し。ミステリというよりはギャンブル小説(といってもホントにギャンブルするわけではないらしい)。汚職警官を如何に騙すかという痛快小説っぽい。文庫落ちしたら読んでみようと思った。

さて、次に機動力と出塁率の一、二番。ここでも二人とも推薦の『第三の時効』がすんなりと決まった。「面白さは保証つきで四番候補だけど短編集ということでトップバッターに」という松井稼頭夫レベルの一番バッター。私自身も超オススメ。
二番の伊坂幸太郎は北上次郎が『重力ピエロ』を、関口苑生は『陽気なギャングが地球を回す』と別の作品を挙げていたのだが、強引に北上が「これは今年を語る上で外せない」と『重力ピエロ』を。

続いての六番、七番にはベテランの域に入った中堅バッターを、ということで『手紙』と『繋がれた明日』がランクイン。作家レベルで安心できる二人なのは言うまでもなく、この二作は「まるで示し合わせたかのように(By北上)」同じテーマをモチーフとしていながら、書く作家でこんなにも違う、という読み比べが出来るので是非二作とも、ということらしい。真保裕一作品は文庫落ちを待って全て読んでいるのだが、そう言われると今すぐに読みたくなっちゃうなあ。

九番には「もうひとつ海外作品を」ということで『闇の狩人を撃て』が。娘を誘拐された元FBIの父親が活躍するという、いかにもアメリカ的な作品らしい。アクション小説好きとしては気になる一冊だが、もう一声欲しいなあ。
八番には半ば強引に北上次郎が『ZOO』を。読んだばかりで興奮しているせいもあるだろうが、かなり押していた。北上曰く「乙一はとにかく「なんでこんなことを考えるんだろう」という奇妙なことを書く作家」らしい。関係ないけど『ZOO』の装丁は綺麗ですね。
最後に、伊坂幸太郎で一歩譲った関口苑生が「代打で神様、仏様、船戸様(*2)」として『夢は荒れ地を』を。カンボジアを舞台にした冒険小説で、雰囲気的には南米三部作に似ているらしい。そう言われると読みたくなる。

ベストナインの中で私の既読は『第三の時効』、『葉桜の季節に君を想うということ』、『手紙』のたった三冊のみ。こうして紹介されるとどれも読みたくなるけど、文庫派としては厳しいなあ。つか、なんでこんな長々と番組の1コーナーをレビューしてるんだ私は。
さて、皆様の2003年上半期ベストナインは如何ほどに?。

涅槃の読書模様

『終戦のローレライ(上)』福井晴敏読み中。しばらくはかかりっきりです。

購入物。

『天使みたい ガールフレンズ1』山下和美(クイーンズコミックス)【→bk1へ】[comic]

表題作【天使みたい】のドラマ化にあわせたのか、↓の『白い花紅い華』と2巻同時復刊。サブタイトルどおり、両方とも女性同士の関係が描かれた短編が集められた(一編だけ男が主人公)短編集。

【天使みたい】は、双子として生まれた「はるか」と「かなた」だったが、かなたが事故で死んでしまい、科学者だった両親がロボット(?)として再生。
はるかの成長にあわせてかなたの身体も記憶も作り変え、二人は一人として成長していく、みたいな話。別にSFチックな話ではなくて、「自分ではない自分」の存在に関わる山下和美らしい思索的というかある意味哲学的な話。

私が気に入ったのは表題作よりも【マーブル・フレンド】という自分とはまったく違うタイプの女の子同士の話。一見シニカルなんだけど、山下和美の上手さが光る。オススメ。

『白い花紅い華 ガールフレンズ2』山下和美(クイーンズコミックス)【→bk1へ】[comic]

こちらの表題作【白い花紅い華】は、これまた相反するタイプの二人の女子高生の話なんだけど、最後に数年後の同窓会の模様が描かれていて、ここの処理の仕方が上手いなあと思う。

ラストの一編である【EDENの女】は、かなーりイタイ話。グサっとくる女性ももしかしたらいるかもしれないっすね。
久々に少女マンガ家らしい山下和美のマンガが読めるので2巻併せてオススメです。

6月の読了本一覧

計10冊。リンク先はレビューです。


*1: おそらく西はスコット・トゥローだろう
*2: 言わずもがなですが阪神の代打の神様・八木になぞらえてですね

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