ごくたま昨日日記 in July, 2003

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Jul.21,2003 (Mon)

daylife

新宿に着くなりマッサージで夢心地。

丸井メンズ→伊勢丹→丸井シティ→三越→高島屋タイムズスクエアと歩いてようやっと浴衣ゲット。どんな柄かはナイショだ。いずれ着て会う機会もあるかもしれないので。予算オーバーは痛かったけど、たまにしか着ないようなものに妥協するのは嫌だったし、気に入ってしまったものは仕方がない。
一緒に歩いて見立ててくれた絶叫メンバー、どもありがと。

その後は韓国料理に舌鼓を打ち、なぜか西武で寝冷え男の話で盛り上がり、結局帰宅は午前様。明日会社行くの面倒くせぇ。

帰宅していつものようにミステリ系更新されてますリンクをあけてビックリ。衣替えですな。
思い返せば、私がミステリ系更新されてますリンクに登録されたのが2000年の2月7日。日記を書き始めて約1年の頃だった。あれから三年以上が経ったのかあ。
私自身のネットと読書の関係は「読書のカタチ」で書いたとおりですかね。

涅槃の読書模様

『はなれわざ』クリスチアナ・ブランド【→bk1へ】読み中。

Jul.22,2003 (Tue)

daylife

すげえな北島康介。有言実行で世界新で金メダル。この勢いでオリンピックも是非。
ハギトモ、復活してほしいなあ。

バルサにロナウジーニョが移籍、ってのは嬉しいんですがEU外選手枠を越えてしまうのでリケルメが放出っていうのは寂しいなあ。

『トリプルX』を見る。Coooooool!!。感想は明日。

自分のサイトに関しても色々思うところはあるナリよ。

連鎖式

SAKATAMさん「<連鎖式>作品リストとささやかな考察」で、いわゆる「連作短編集」に関する作品リストを経緯がわかるよう発表年代順に作成しています。ありがたい。

こうして眺めてみると改めて山田風太郎の偉大さが認識できますな。連作短編集の流行を作った創元推理シリーズの第一弾は澤木喬『いざ言問はむ都鳥』でしたか。これ積ん読なんだよな、読まなくちゃ。
海外では殆ど見られない形式、というのも確かに。もともと海外ではあまりメタなものは見当たらない(受けない)ような印象(あくまでも印象)があるので、それも理由のひとつかな、と思いました。

ここのリストにないものとしては、北森鴻『メインディッシュ』(全ての短編が繋がっているとは厳密にいえないけど)と『春の下にて花死なむ』(こちらも同様)なども一応連作短編集といえるのではないでしょうか。連鎖式、と呼ぶまでかどうかは難しいところですが。それ言ったらもっとありそうだなあ。他にも思い出したら追々。

『死がいちばんの贈り物』劇団フーダニット[play]

どうしようかと悩んだけど一応感想は書いておく。

まず若竹七海の脚本に関しては、さすがはプロの作家だけにソツなくまとまっており、彼女らしいブラックさもあって締まった話だったと思う。凄く面白いか、と言われると困っちゃうんだけど。

私自身はヒッチコック『ハリーの災難』を思い浮かべたり、失念したけど海外の戯曲でやっぱり似たようなネタの話があって、それを見てるんで、もう少し独自色というか捻りが欲しかったところ。死体移動っていうネタは芝居ではよく使われる手法なんですよね(見ててコミカルだから)。

とまれ、固定空間での限定されたストーリーをしっかりオチまでもっていくのはやっぱりさすが。時間も人数も場面も限られた状態で大きな矛盾や破綻もなくまとめるのはホントに難しいですから。

さて、芝居に関してだが。
基本的に作り手側の意識の高さというのが、感想を書く上での注意点、ということに私はしている。「もっと、こうだった方が」とか「アレはちょっと」という感想は、それを問題意識として相手が捉えない限り意味のないものだからである。
というわけでなので、特に記述しないことにする。下手、という理由で書く気にならないのではない(実際下手だったがそんなのはよくあることだ)ので念のため。あくまでも意識の高さの問題である。

芝居とは直接関係ないことだが、「プロの作家による書き下ろし台本」というのはもんのすごい贅沢である、ということをどれだけ認識しているのかという点が気にかかった。つまるところそれも意識の問題だが。

いつもとは全然違う自分の芝居スイッチが激しく押された。なんとかするしかあるまい。

涅槃の読書模様

『はなれわざ』クリスチアナ・ブランド【→bk1へ】読み中。

購入物。

『リセット』北村薫(新潮文庫)【→bk1へ】

『スキップ』『ターン』に続く、「時と人」三部作の三作目。噂によるとこのシリーズは続くらしい。

昭和のはじめ、兵庫県の芦屋で育った水原真澄は、親友の八千代の家で彼女の従兄弟である修一と出会う。彼女は仄かな想いを抱いたまま成長し、やがて女学生になるが、激化する戦争の足音は彼女の近くにまで迫っていた。
やがて時は流れて。

三部作の締め括りで、解説の宮部みゆきも「これがいちばん好き」と言ってるくらいだから期待して読みました。けれど、結果的にはダメでした。北村薫の美しく柔らかな文体だから最後まで読み通せましたが、そうでなければ挫折したかもしれません。

この作品は大きくわけて二部に分かれており、それぞれある人物が過去を振り返るという形になっています。しかし、それがまさしく「過去を振り返る」だけなんですよ。いわば、ある人物の思い出話を延々聞かされるだけなんです。劇的なドラマもありません(戦争という背景はあるけど)、ストーリーというほどの確固たる物語もありません。本当に「思い出話」。

それでもまだ第一部の真澄の部分は、一人称の普通の語りなので読めるんです。これが第二部になると、ある男性が病院で娘たちに自分の思い出話を残しておこうと考えてカセットに吹き込む、という形式を取っています。これがもう辛い。もし私がこの男性の子供でこんなカセット聞かされたら退屈で死にそうです。

北村薫は最新作の『街の灯』でも昭和初期を舞台に物語を展開しており、この時代をきっちり調べ上げた上で、ひとつの時代の記録として残しておこうとしているのだと思います。その気持ちはわからなくもないし、実際『街の灯』は当時を生きる人間達が背景も含め良く描かれていたと思います。

それと同様、通常の一人称の物語として記述される第一部は、まだ読めます。しかし、一人の人間の記憶に頼った思い出話を延々と続けてしまう第二部はやはり辛い。当時の日記を読み返されて、「今日はアイスを食べたんだね」とか言われてもなあ。本人にとって懐かしく感じられることが、誰にでも同じように感じられるわけではないし、語りのテクニックとして挟みこむ程度ならいいんですが、この場合自分の思い出に「酔ってる」状況が延々と続くので「もう勘弁して要点だけ話して」と言いたくなってしまいました。

肝心の「時と人」の根幹を為すイベントについても「ううーん」と言わざるをえない。アイデア自体が平凡すぎるし、『スキップ』や『ターン』がその状況に置かれてしまった人間たちの姿を描いていたのに対し、本作ではその辺りの苦悩や葛藤といった部分は殆ど書き込まれていない。本来ならば、それこそが北村薫の「時と人」シリーズに求める最大の要因だと勝手に思っているので、「それで本当に幸せなの?」と思わずにはいられませんでした。

同じように大戦当時の日本のディティール細かに描いて、しかも「オチ」がある話でいえば、『エロス』広瀬正の方が全然よかった。

「時と人」シリーズに関しては、発表順、つまり『スキップ』、『ターン』、『リセット』の順にオススメ。『リセット』に関していえば、ストーリーやネタ的なものを求める方は読まない方がいいと思います。そういうカタルシスはありません。うーん、残念だなあ。本当に。

Jul.23,2003 (Wed)

daylife

Nゲージとは、レールとレールの幅が9ミリであることから、「9(Nine)」の頭を取ってNゲージと呼ばれている、ということを今日知った。80へぇ。

微妙に色々弄くり中。

蹴球微熱 U-22日本VS韓国

どうしようもない。言いたいことをいちいち書き出してたらキリがないので書くのやめようかと思ったほど。
それでも我慢して三点だけにとどめておく。

まず今日の試合で合格点が出せるのは根本だけ。彼の左足は期待感がある。精確だし、いろんな種類のキックを持ってる。彼が左サイドでボールを持った時だけは、「なんとかなるかも」と思った。

山本監督には失望した。フル代表以上に何の形もない。後半、松井にボールを集めるようになって少しずつ形が作れるようになったけど、そんなのハーフタイムで指示することじゃないだろう。攻撃に転じた時にまず誰を見る、そしてその人がダメだった時は次にどうする、そういうことはチームとして絶対的な前提だ。
例えば、ディフェンスラインからまず阿部、もしくは鈴木啓太にボールを預ける。二人は松井を見て、松井が受ける体勢であれば松井に出し、同時にFWは動いてパスを待つ、サイドの石川と根本は縦に走る。松井がダメならばFWの前田、もしくは大久保にくさびを入れる。そんな簡単な決まりもないから前半はもうボロボロ。高校生だってもう少し工夫した試合するよ。
誰を見るか、誰に出すか、それがわからないからDFは無能なバックパスを繰り返す。そしてその結果一点目に繋がるようなミスが出る。
山本監督はフル代表のジーコのように選手に自由にやらせているつもりなのかもしれないが、そんなの不可能だ。フル代表はそれぞれが経験値を持ち、さらにトゥルシエ時代のディシプリンも経験してるからこそ多くのイメージが身についている。それを22歳以下の若いメンバーに求めたって無理に決まっている。いいたい、合宿の間に何をしているのか。指導力の欠如と言われても仕方ないと思う。

さらに選手交代にも疑問。交代するのはアリだ。そのメンバーにも特に文句はない。しかし、あのタイミングですることか?。松井がボールを回してやっと大久保との形が作れるようになり、完全に日本がペースを掴んでいたあの時間帯に大久保を交代。さらに相手のゴール前でのフリーキックの時にDFを交代。フリーキックでいきなり投入された選手は戸惑うだろうし、マークの受け渡しだってうまくいかなくなる。あのワンプレイが終わってからの交代ではダメだったのか?。
とにかく今日の采配を見るにつけ、山本監督には失望した。

最後に、これはまだ疑問というか不安の種のようなものだが、大久保ただ一人をフル代表で起用したのは色んな意味で失敗だったのかもしれない、と思い始めた。理由はいくつかあるが、まだ確固とした形で浮き出しているわけではないのでもう少し様子を見たいが。

まだまだまだまだ言い足りないけど今日はここまで。それよりも今日もいい試合をしながら勝てなかった韓国は可哀相だなあ。ここのところツイてないですね韓国は。

『トリプルX』(2002 アメリカ)[movie][dvd]

監督:ロブ・コーエン、出演:ヴィン・ディーゼル、アーシア・アルジェント、サミュエル・L・ジャクソン

『ワイルド・スピード』(未見)の監督、主演コンビが放った新世代スパイアクション。最近ワイヤーアクションやらCGを駆使した映画ばっかり見ていたので、生身の激しいアクションが見たくてDVDを借りてみました。

クルマ、バイク、スケボー、スノボ、果てはスカイダイビングに至るまで、エクストリーム・スポーツならなんでもござれのカリスマ、ザンダー・ケイジ、通称“X”。退屈することが大嫌いなザンダーは、死線ギリギリの自分のスタント映像をインターネットで流し、熱狂的な人気を誇っていた。
そんな彼に目をつけたのがNSA(国家安全保障局)。時代が変わり、普通のエージェントでは入り込めない裏の世界に、札付きの悪(ワル)を「使い捨て」のエージェントに仕立て上げてこき使おうと画策するのだった。
NSAのテストを強引に受けさせられ合格したザンダーは、自身の自由と引き換えにエージェントとしてプラハに旅立った。

いやもうムチャクチャイカしてます!。これは映画館で見なかったことを大後悔。大画面、大音量で見てこその映画だ。

女王陛下の命の下、お国のために命を賭けるジェームズ・ボンドとは正反対のキャラクター、“X”。スキンヘッドに全身タトゥー、「この世でいちばん嫌いなものは“ルール”だ」と言い放つ破天荒な男が、渋々ながらに政府の命令に従うも、裏を知り尽くし、Xスポーツで鍛えたであろう瞬時の状況判断で任務を遂行していく。これまでのスパイ、エージェント像を根底から覆したその天衣無縫ぶりが最高にクールです。

全編これ“ひとりXゲーム”状態。勿論、ヴィン・ディーゼル本人がこなしているわけじゃないでしょうし、スノボのシーンはCG合成もされてるんだろうけど、Xゲームのプロモビデオもビックリのアクション連続。特に、コロンビアでのバイクシーンは「スゲェ!」と叫ばずにはいられませんでした。

主演のヴィン・ディーゼルは外見は「元プロXゲーマー」と言われても信じそうなマッチョマン。実際は、自分で監督した作品でカンヌのコンペティションにも選ばれている才人だったりします。決して二枚目じゃないし(ちょっとブルース・ウィリス似)、今までのハリウッドでは絶対に主演の座を与えられそうにない声の持ち主だったりします。ただ、武骨な中にも稚気がある、といった感じがとても親近感が持て、そういったキャラクターが全身全霊で任務を遂行するというところにも、この映画の面白さがあるでしょう。

またヒロイン役のアーシア・アルジェントは、最初見たとき「え?これがヒロイン?惹かれねえなあ」と思っていたんですが、ある時点を境に急激に魅力的になります。まさに「瞳に力が宿って」からはイカしまくり。

“X”の操縦役であるサミュエル・L・ジャクソンは先日『チェンジング・レーン』を見たばかりなのにまったくの別人に見えた。この人凄いよ。顔まで変わってる気がするよ。

ならず者が無理矢理エージェントとして働かされるという設定以外、ストーリー自体はよくある展開です。しかし、この「よくある展開」だからこそ、余計に面白い。根っこのギミックが変わればここまで変わってしまうということを堪能できる。これは逆に『007』シリーズが先んじてあるからこそ、面白さが倍化してるんだろうなあ。

是非とも続編を期待。今度こそ映画館で楽しみたい。

涅槃の読書模様

『はなれわざ』クリスチアナ・ブランド【→bk1へ】読了。

『いざ言問はむ都鳥』澤木喬読み中。

購入物。

『焼きたて!!ジャぱん -8-』橋口たかし(少年サンデーコミックス)【→bk1へ】[comic]

モナコカップで100億稼ぐために冠が河内に下した指令とはなんと…。河内の捨て身の技(?)のおかげで日本の倍率は250倍に跳ね上がり、あとは優勝するだけになった。しかし、それを知ったサンピエールと雪乃はさらなる刺客を送り込んできた。

この巻はもうピエロ!ピエロ!ピエロ!。ピエロの独壇場。危うし黒ちゃん。バカさ加減のエスカレートぶりは止まるところを知りません。パン・デ・エピスがなんで美味しいのかもちゃんと説明してくれないし、もはやパン作りが添え物のような気すらしてきました。面白いからいいけど。

それにしても近頃のサーカスは凄いね <違います。

『ES -4-』惣領冬美(モーニングKC)【→bk1へ】[comic]

催眠状態での脳波測定に同意したシュロ。美祢は催眠状態の彼の口から信じられないことを聞く。
一方、イザクはその力で町の悪党を殺してゆく。そして遂には次々に起こる不思議な殺人事件に疑いをもった刑事までをその手に…。

すんごい強烈な展開になってきた。あまりにも簡単に人が死んでいく展開が辛い。どう決着がつくにしろ痛いラストが待ってそうだなあ。

惣領冬美がどう始末をつけるのかわかりませんが、もしかしたら問題提起だけで終わってしまうのかも、という気がしてきた。それはそれでいいんだけど。

『バトル・ロワイアル -10-』高見広春/田口雅之(ヤングチャンピオンコミックス)【→bk1へ】[comic]

あまりにも惨い結果を目の前にした七原は、心が折れかけてしまう。しかし、そんな彼の心を支えたのは三村だった。七原は三村から受け取ったバトンを繋ぐため、再び立ち上がる。

遂に残ったのは主要メンバーだけ。ここからは一気にクライマックスだろう。桐原、相馬という二人の敵にどうやって七原達が立ち向かうのか。

内面部分でのクライマックスはこの巻だったと思うんで、あとはもうストーリーとしてどこまで面白い展開があるかだけだろう。早くラストまで読みたいぜ。

Jul.24,2003 (Thu)

daylife

会社にコーヒーの出前に来た喫茶店の店員さんが小西真奈美似の美人だったのでドキドキしてしまい会議に集中できなかったのはナイショだ。

『Number 581 虎に酔う Tigers.to the victory』

トラ!トラ!トラ!。まさしくこれ阪神タイガース特集。
18年振りの優勝に向かってひた走るタイガース。まあ、これくらいの特集やっても罰は当たらないでしょう。
主な記事だけ抜粋。

「チームを変えた7つの「掟」」。
星野監督が選手たちに望んだ7か条。どれもこれも特別なことじゃないんだけど、やっぱり徹底させるというのは難しい。それができたのが今年の強さの要因かと。スポーツは違えど、それは今年のジェフ市原を見ても思うことだ。なにより、選手巻の競争の煽り方は半端じゃない。3割打ってても安心できない、というチームは他にないだろうなあ。なんせ代打陣が軒並み4割近い打率なんだから。
星野監督の選手掌握術に関しては良く言われることですが、選手だけでなく、コーチやフロントまで活かしきっている感じがします。

「江夏豊、最強投手陣を語る」。
今年の阪神はチーム打率3割というのが印象に残りがちですが、投手陣の素晴らしさもまた格別です。井川、伊良部、ムーア、藪、下柳という先発ローテーションがきっちりと勝ち星を挙げている。これは先発投手陣が崩れて中継ぎ、抑えの投手が勝ちを挙げる、というパターンが以下に少ないか、つまり先発がいかに試合を作っているかの証明である。これだけ投手陣がしっかりしてればそりゃ勝てるよなあ。

「中日・谷繁元信が見た阪神打線」。
今年、唯一阪神にまともに組み合っているのが中日。その中日のキャッチャーである谷繁が阪神打線の印象を語る。以外にも7月2日の直接対決時点まで脅威は感じていなかったらしい。しかし、3割バッターが5人並ぶ打線はやっぱり脅威だよな。ムーアが先発の日は3割バッターが6人である。しかし、意外にも3割に達していない3番金本の評価が高い。カープファンとしては嬉しいけどフクザツ。

「'85年組の証言」。
あの18年前の優勝メンバーへのインタビュー。
まずは「最強の助っ人」ランディ・バースのインタビュー。結構日本の野球見てるんだねえ。ちゃんと現在のタイガースを分析してました。自分たちが優勝したとき、自分ならばMVPは真弓を選んだ、という証言が印象に残る。今年もトップバッター今岡が強烈な数字の残してますが、優勝するチームというのはトップバッター、リードオフマンの存在がやはり大きい。
その他には、川藤幸三/弘田澄男/山本和行/福間納一/池田親興といったメンバーのインタビューが載っています、いちばん印象に残ったのは池田の、「これでやっと18年前の思い出に浸ることがなくなって肩の荷がおりる」という言葉。阪神は新しい歴史を築いたってことだな。

「トラワイド・黄色い報告書」。
Numberお馴染みお笑い新聞形式。これだけ読むと「阪神ファンは濃いなあ」と思ってしまいがちですが、どの球団にもこういうファンはいるよね。含有率は阪神がいちばんかもしれないけど。
ネットでも大きく取り上げられた「トラッキーの中の人」の記事もあります。
連覇の可能性をデータから分析した記事は気が早すぎるような気もしますが、実際に連覇はありそうだよなあ。いちばんの驚きは、クリーンナップの打点が全体の33%ということ。ちょうど3分の一。ということは1番から9番まで満遍なく打点をあげているということ。これは恐ろしい。ちなみに‘85年当時は46%。半分近くを、バース、掛布、岡田の三人で獲っていた。
あと、前監督の野村克也を称えた記事も。これには個人的にも賛成。今の下地を作ったのは間違いなく野村監督。それに更なるスパイスを加えて、実地で活かしたのが星野監督だと思う。

「優勝前の独り言」。
北村薫、矢作俊彦、徳岡隆夫(誰?)の三人がエッセイを寄稿。
北村薫はさすがに『新本格猛虎会の冒険』の発案者だけある。しかしあの企画もこういう年に出せたって凄いことだね。しかし、「勝てない阪神」に対する愛着を書いたのに優勝してしまうっていうのはある意味皮肉か。矢作俊彦は「特に阪神ファンなわけではない」のに、依頼が来たらしい。徳岡隆夫って誰だが知らんけど、つまらないエッセイだった。

阪神以外の記事。
「巨人軍がいま、できること」。
何が笑ってしまうって、未だに「巨人巨人」と言ってるというその事実。2位でもなければ勝率5割をウロウロしているチームに何を求めてるんだか。結局話題は木佐貫のことだけだ。バカバカしい。まだスワローズに期待した方がいいと思う。

その他の気になった記事。
仁志敏久「プロフェッショナルの証明」連載第8回。
今回も守備哲学満載。第一歩目の大切さを説いています。いやー毎回読み応えあるわ。

ウィンブルドンで4回戦まで進んだ浅越しのぶの記事。ハンチュコワ破った試合は凄かったなあ。2時間半以上の試合。杉山の活躍ばかりが目立つ女子テニス界ですが浅越が活躍するようになると面白くなる。男子も頑張れ。

PRIDEミドル級グランプリプレビュー。
個人的には優勝はシウバかランペイジ・ジャクソンかなあ、と予想しています。桜庭はこれで負けたらもう後はない。密かに吉田には期待してますが、シウバやジャクソンのパンチには耐えられないかもなあ。漫画家の嶋田隆司(ゆでたまご)と格闘写真家・井賀孝の対談は、格闘関係の対談になるとおかしくなっちゃう傾向がある「Number」にしてはまともでした。

メジャーオールスターのレポートと松井のインタビューは特に読み応えはなかった。松井のインタビューは殆ど毎号あるのでそろそろ飽きました。

「AT THE FRONT」で紹介されている女子のサッカー審判・樽本好美さん。写真も内容もとてもよかった。実は毎号この「AT THE FRONT」で取り上げられる人たちは楽しみにしている。

涅槃の読書模様

『Number』と↓しか読んでません。

購入物。

『ブラックジャックによろしく -6-』佐藤秀峰(モーニングKC)【→bk1へ】[comic]

がん編の続き。抗がん剤治療の限界を見せつけられ、自我崩壊寸前に追い詰められる斉藤。
そんな時、指導医である庄司と、抗がん剤治療を頑なに拒む宇佐美の対立の原因を庄司から聞かされる。

このがん編は個人的に好きだなあ。これまでの展開は斉藤と病院という確執が描かれていたわけですが、このがん編では病院内でも抗がん剤を支持する、支持しない、がんを告知する、告知しないなどの対立があって複雑なんだけど、それがまたいい。

基本的に医療方針というのはマニュアルだけではどうしようもなくて、やっぱり患者一人一人に一つずつの治療方針があるのだと思う。それができないのが現状なのかもしれませんが。

『警察署長 -12-』高原泉/やぶうちゆうき(モーニングKC)【→bk1へ】[comic]

なんか二ヶ月連続の単行本なんだけどどうしてかな?。
安定しすぎで言うことなし。実はドラマ(『こちら本池上署』)もたまに見るんだけど、堅実に作ってあって好きなんですよ。

このままのペースで長く続いて欲しいですね。

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN -5-』安彦良和(角川コミックス・エース)【→bk1へ】[comic]

来ましたよ名言の宝庫ともいえるランバ・ラル編。
「ザクとは違うのだよ、ザクとはぁ」、「坊やだからさ」、など思わず口に出してしまう。

グフってアニメで見てたときはこんなに強かったイメージないんですが、かなり凄いモビルスーツだったんだなあ。
アムロがドンドン壊れていってます。もう少し人間ドラマの部分にボリューム欲しいなあ。

Jul.25,2003 (Fri)

daylife

えー、そのネタに関しては放置の方向で。

『猟奇的な彼女』のDVDを購入。時間があるときにゆっくりと見よう。家で見るときは周りを気にせずバカ笑いして泣けるので楽しみー。

昨晩寝る前にレンタルしてきた『機動警察パトレイバー THE MOVIE2』を見た。恐ろしく退屈だった。
ストーリーはまあそれなりなんだけど、映像がとにかく退屈。これ、声優に竹中直人と根津甚八を起用していることからも、アニメで如何に実写のような映画を撮るかってことを意識しているように感じるんだけど、うまくいってない。そもそも、セリフもなければ目を惹くようなイベントもない単なる町や人の映像を2分以上も続けても、所詮は「絵」なわけで、実写映像と同じような効果を求めるのは間違いだ。淡々とした映像というよりも間延びした映像ばかりで、アニメを見ていて初めて早送りしたくなった。
「別にパトレイバーじゃなくてもいい」っていうところは確かにあるけど、それはまあ構わない。ただ、この映画での後藤は、本来のキャラ設定とちょっとズレているような気がする。それに関しては不満だった。
見るところがなかったわけではないが、これを劇場で金出して見ていたら多分ものすごく失望しただろうなあ。レンタルで済ませてよかった。

ところで久しぶりにビデオを見たわけだけど、DVDに慣れてしまった身としては映像の荒さがやっぱり気になりますね。まあ、レンタルビデオだからテープが劣化してたというのもあるとは思いますが。

今日は今日でBSでやっていた『スフィア』を見てしまう。まったく事前知識なかったんだけどダスティン・ホフマンとサミュエル・L・ジャクソンが出ていたので見始めたらこれがかなり面白かった。パニックホラーの形式でありながら未知との遭遇(意味不明)。これはなかなかのオススメ。特にSF畑の人は見て損はないと思います。
紅一点で出演している女優さんが「見覚えあるけど誰だっけ」とエンドロールで確認したらシャロン・ストーンだった。全然違う!(なにがだ)。なんか最近毎週のようにサミュエル・L・ジャクソン見ている気がする。見る度に別人に見える。凄いなこの人は。

今日は映画の話題ばかりでした。

あらすじはどこまで?

書店をうろついていて色々と本を眺めつつページを繰ったりしていたのだが、思わず「えっ?!」と思ってしまう本を見つけてしまった。

その本とは、『世界の名作文学案内 これだけは読んでおきたい』三木卓監修【→bk1へ】という本。
この本は西洋文学の中の名作をイラストやマンガを交えて紹介する、という類の本である。で、なにが気になったのかというと、各作品のあらすじがラストまで紹介されているということである。

紹介されている本の中には『赤毛同盟』コナン・ドイル『奇岩城』モーリス・ルブランといったミステリの作品もあり、これらはさすがにオチまで紹介されてはいない。しかし、その他の作品に関しては見事に最後まで紹介されているのだ。

「これだけは読んでおきたい」と銘打っているが、これは如何なものか。確かに小説は、それも名作と呼ばれるような作品であれば、あらすじを知っていたところで面白さを損なうことはあまりないのかもしれない。だが同時に、「こういう話なのか」とわかってしまえば読んだ気になってしまう私のような人間も少なからずいると思う。

果たして「読んで欲しい」と思う本を紹介するときに、この方法は適切なのであろうか?。自分も一応レビューめいたものを書いている。そこには自分のための覚書としての意味と、これから読む人への紹介の意味も含まれている。他人に本を薦めるときに、自分ならあらすじを全て紹介するようなことはしないし、自分がされる立場であってもあらすじを最後まで語るようなことはして欲しくないと個人的には思う。これはミステリに限らない話。

なんか考えちゃいましたよ。皆さんはどう思います?。

涅槃の読書模様

『いざ言問はむ都鳥』澤木喬読み中。

『はなれわざ』クリスチアナ・ブランド(ハヤカワ文庫)【→bk1へ】

名作の誉れ高く、私が愛用している『東西ミステリーベスト100』(文春文庫)でも38位にランクされている。このリストの作品は殆ど読んだ気になっていたのだが、実は読んでいなかった。というのも、長らく文庫化されていなかったからだ。この度漸く文庫化されたのを機会に読んでみた。

スコットランドヤードの名警部・コックリルは飛行機から降りる時点で早くもこの旅に後悔していた。イタリア各地を巡るツアーの顔触れはどれもこれも一癖も二癖もある人ばかり。しかも、知り合ったばかりだというのに既に人間関係が拗れ始めている。
やがて地中海のサン・ホアン・エル・ピラータ島に到着。コックリルの嫌な予感は的中する。ツアーのメンバーの一人が何者かに殺されたのだ。しかし、皮肉なことに容疑者のアリバイはコックリル自身が立証できる。
果たしてコックリルはこの事件を解決して無事にイギリスに帰ることができるのか。

1955年といえば、第二次世界大戦が終わってからまだったったの10年。だというのに、こうしたリゾートが当たり前のように存在していたのに驚き。そのせいもあって50年近く前の作品という感じはあまりしない。ただ、訳はさすがに古く感じてしまうが。

これぞまさに本格というお手本のような作品。限られた容疑者、不可能犯罪、そして名探偵。そこにさらに一捻りある。というのはコックリルを含む容疑者全員が、ある事情から皆で頭を突き合わせて事件を様々なパターンで読み解くのである。時には「私が犯人です」というものまでいる。この辺りがミステリとして本作の評価を高くしているのかもしれない。

ただ、解決に関しては驚きというよりも、「なぜその解決案がここまで出てこないかなあ」という気にもさせられる。ただ、それに気付かない読者にとっては「やられた!」と感じるのは間違いないだろう。

解説で恩田陸が、「これだからイギリス人ってやつは」と書いているが、まさしくその通り。クリスティや最近でいえばミネット・ウォルターズなどのイギリス女流作家の書くミステリというのはトリックもさることながら、そこで描かれる人間関係こそが真骨頂のような気がする。
本作の登場人物であるヴァンダ・レインのメモに残されていたコックリル警部の描写などは、そのいい例である。「なんでここまでアイロニカルになれるのか」というほどに皮肉たっぷりだ。

人物描写、捩れた人間関係、それらの人物が口にするシニカルな台詞。それこそが、イギリス女流ミステリの楽しみ方かもしれない。

余談ですが、舞台となっているサン・ホアン・エル・ピラータ島は景勝地としては訪ねてみたい気にさせられますが、そこの人とは関わり合いにはなりたくないという感じ。そういった島の人々の描写にもブランドらしい皮肉っぽさが溢れていると思います。

Jul.26,2003 (Sat)

daylife

超久々に娘達とお出かけ。「チャイニーズ梅の花」というもともとは湯葉料理がメインらしいレストランでランチ。全室個室のようで、なんかいい感じ。料理もまあまあ美味しかったし。一度行ってみるにはいいかもしれない。

その後、中華街をぶらついて買い物して、一昨年の12月に行った「ブラッセリーモトヤ」(山手キリスト教会の近く)というケーキ屋へ。混んでいたので外テーブルでお茶。梅雨晴れの一日で吹く風も涼しくて快適。ケーキはもちろん美味しかったのでした。

なんか今日のような休日を地元で過ごすと、「やっぱ横浜っていいかも」と思う。まあ、滅多にこういう日はないのも事実だが。
てなわけでゆっくりまったり過ごしたのであった。

チェ・ヨンス…やってくれたな。

『終戦のローレライ(上)(下)』福井晴敏(講談社)

昨年私が読んだ作品の中でベストに推した『亡国のイージス』以来、3年半振りの新作。上下巻あわせて1000ページに渡る二段組という超重量級の一冊。

昭和20年7月。太平洋戦争末期。
海軍大佐・浅倉は迫り来る終戦の時を日本にとって「あるべき」形で迎えるために極秘作戦を決行する。
それは潜水艦・伊507に海軍の「規格外品」である船員を集め、ドイツで生まれた秘密兵器「ローレライ」を海底から無事に引き上げるという任務だった。

大作、という言葉がピッタリだろう。長さも、そして語られる物語の重さも、全てが大作という言葉に相応しい。あまりに大作すぎてとてもじゃないが全ては語れない。「面白い」という言葉で片付けることさえできない作品である。

しかし実際のところ、基本的な構造は『亡国のイージス』と殆ど同じである。日本という国の将来を憂い、己の信念のもとに動き出す将官と若く無垢な青年との意思のぶつかり合い。青年を温かく見守る甲板士官。途中で判明する作戦の真実。などなど、時代設定、イージス艦と潜水艦、そしてもちろん「ローレライ」の存在という違いはあれど、図式はものの見事に一致している。それはつまり、作者の書きたいと思う気持ちの現われでもある。

その思い入れの強さが本作を「大作」にしたのは間違いないが、小説としての面白さでいうなら『亡国のイージス』の方が面白かった。本作は、あまりに「大作」すぎて楽しんで読む、という範囲を越えてしまったような気がするのである。だが反対に、『亡国のイージス』よりも本作の方がより考えさせられたし、作者の思いの丈は伝わってきた。この国の「あるべき姿」というものを嫌でも考えさせられてしまう。

本作が発表されて、「直木賞か」という声もチラホラ聞こえてきたが、実際は候補にも挙がらなかった。しかし、それは当然だと思う。これは直木賞という賞のレベルの作品ではない(別に作品に貴賎があると言っているわけではありません)。エンタテイメントという範疇では括れない作品だと思う。

じっくりと10日間かけて読んだわけだが、それくらいの時間かけて浸りながら読んでよかったなあ、と思う。
ただひとつだけ不満を述べるとすれば、終章は長い。作者が「戦後」という歴史を語りたいのはわかるが、あれもこれも書き綴ってしまったせいで余韻が崩れてしまった。この作品にこそ、余韻は必要だった。語りすぎは、時に気持ちを冷ましてしまう。それだけが残念だ。

Jul.27,2003 (Sun)

daylife

一週間ほど擬似一人暮らし。洗濯やらなんやらで一日終わってしまった。

海へのトラウマを私に植え付けた『ジョーズ』。でもやってると見てしまう。恐いよー。

Jul.28,2003 (Mon)

daylife

井筒監督の自虐ギャグが炸裂するマツダ「アテンザ」のCMは爆笑ものだ。私だったらリュック・ベッソンよりも井筒監督が撮ったCMの方を見たいけどね。興味本位で。

ツール・ド・フランスはランス・アームストロングが五連覇!。インデュラインの記録に並んだ。来年も優勝したら六連覇の新記録だ。って気が早いか。ウルリッヒはまたも二位。何度目だ?。調べてみたら5回目。これも記録じゃないか?。アームストロングと同時期に生まれたのが不幸だったってことですか…。

書き逃していたレビューをしこしこと書く。一応今年の目標は読んだ本に関しては全てレビューを書く(最悪「面白かった」だけでも)ことにしている。
サイト的には、平日に関しては、本、マンガ、映画、芝居のいずれかのレビューを一つでも書く、というのが目標。ネタ的な日記は書けないし、それでも読みに訪れてくれる人がいるならば何らかの「情報」があった方がいいかな、と考えてのことである。ニュース系の話題を取り上げ始めたのもその影響。
実際に訪れてくれる人がそれでどこまで満足かはわからないけど、それ以上深く考えると行き詰まってしまいそうだったので、とりあえず自分にはそう言い聞かせながら更新してます。
休日に関しては余力があれば平日と同じようにしていくけど、基本的には休みを優先ということで。

訪れる人が何を求めてここにくるのか、とか考え出すとキリがないというかどツボにはまります。自分のレビューなんか誰か読んでるんだろうかとか、日記やコラムめいたことも果たして書く意味があるのかとか(意味なんて自己満足以外ないんですが)。これもいわゆる思考停止なんだろうな。

涅槃の読書模様

『いざ言問はむ都鳥』澤木喬読了。

気になる一冊。

購入物。

『捕虜収容所の死』マイケル・ギルバート(創元推理文庫)【→bk1へ】

弁護士として働く傍ら、移動中の電車で執筆を続けたと言われるイギリスのミステリ作家、マイケル・ギルバート。本国では著名であり作品数も多いにもかかわらず、日本では知る人ぞ知る、という地位に甘んじている。そんなギルバートの著作の中でも傑作と名高い本作が漸く文庫化。

1943年。第二次世界大戦が激化するヨーロッパ。イタリアのアペニン山脈東部にある127捕虜収容所にはレイヴァリー大佐以下約400名の英国人捕虜が収容されていた。彼らは“脱走委員会”の指揮の下、カラビニエーレ(イタリア憲兵)の監視の目を盗んで密かに脱走路を掘り進んでいた。
ところがある日、脱走路で捕虜の一人が死んでいるのが発見される。脱走路が発見されることを恐れた委員会は遺体をダミートンネルへと移し変えるが、それが原因で一人の将校が犯人として連行されてしまう。
委員会はゴイルズ大尉にことの真相を究明するように命じるのだが。

ページをめくって登場人物の多さに腰が引けてしまいましたが、大変なのは最初だけで、ゴイルズにバトンが渡されてからは比較的楽に読み進められました。

まず設定が秀逸。収容所からの脱走劇というだけでも血湧き肉踊るのに、それに加えて脱走トンネルという密室で起こった殺人。当然犯人は収容所の中の誰か。これだけの材料を鼻先で嗅がされたらそりゃあ読んじゃうでしょう。

で、結論から言うと、「脱走するまで」は面白かったです。捕虜収容所というのは刑務所と違うので、捕虜にはある程度の自由が許されているわけですが、その辺りの描写もなかなか興味深いし、脱走委員会と他の捕虜たちとの確執や、カラビニエーレとイタリア正規軍との微妙な力関係、そして勿論解決への推理など読みどころは沢山あります。

そしていよいよ事件の真相が、という段になって脱走が始まるわけですが、ここからが退屈。それまでの活き活きとした描写はどこへいった、という感じ。そして、最後の最後になって真相が明かされるわけですが、そこまでの時点で事件というかこの小説自体への興味が薄れているので、「へぇー」という感想になってしまう。作者本人が脱走劇を書いた時点で満足してしまったのではないだろうか。それくらい熱の入りが違います。

設定はいうまでもなく面白いし、進行するストーリーもそれなりに面白いんだけど、全体的な構成は今ひとつ、といった感じ。緻密な構成に慣れてしまった読者からすると「ちょっとなあ」と思ってしまうでしょう。一つ一つの料理は美味しいんだけど、ディナーとしての統一感がなく、しかもデザートが不味い、みたいな。

個人的には古き良きミステリサスペンスをほどほどに楽しんだな、という感想。満足はしないけど不満もない。できれば脱走に関しても事件の解決に関してもカタルシスがもう少しあればなあ、という印象でした。

Jul.29,2003 (Tue)

daylife

海外の同業他社と提携することになり、そこのお偉いさんを迎えてのセミナーで一日が終わった。うちの会社の何十倍の規模で作られたそのシステムを見て愕然。こりゃあ勝負にならんよ。うちが提携してなかったら敗北は目に見えてたな。危ない危ない。薄氷を踏むサラリーマン生活である。

退社後、丈直しが終わった浴衣を取りに行く。帯の結び方を指南してもらう。不安だ。次に着る時までに憶えていられるだろうか。練習しよ。

つばめグリルで食事して帰ってきたら大雨。タクシーで帰宅。いや、浴衣が雨で濡れたら大変だからですよ。

中央、郵便局?

↑わかるひとだけわかってください。

186(一服中)さんのはてなダイアリーを読んで惑星ピスタチオの思い出が強烈に甦ってきた。DVD-BOXは私も買おうっと。『破壊ランナー』はNHKの芸術劇場でやったときのビデオを持っているけど(*1)。ちなみに台本も持っている。

初めてピスタチオの公演を見たのが‘95年の1月2日、シアターTOPSでの『破壊ランナー』だった。これ以降、ピスタチオの公演は腹筋善之介一人芝居と解散公演以外全て観ている。中には二度観に行ったものもある。

パンフレットは全て取ってあるし、『破壊ランナー』、『小林少年とピストル』『ロボ・ロボ』『Believe』『レコンキスタ』『熱闘飛龍小学校☆パワード』については台本も持っている。

それくらい好きな劇団だった。だから解散公演がMYSCONと重なってしまったときは正直悲しかった。

なんてことを思い出しながらWebを彷徨っていたら、信じられない訃報に直面してしまった。…全然知らなかった。もう舞台で彼女の姿を観ることはできないのか。
日を改めて、ピスタチオと彼女について、語ることにする。

涅槃の読書模様

『<性>のミステリー』伏見憲明読み中。

『鋼鉄都市』アイザック・アシモフ(ハヤカワ文庫)【→bk1へ】

SFとして、さらにはミステリとして高い評価を得ているアシモフの古典的名作。人間とロボットのコンビが探偵役となる三部作(あとの二作は『はだかの太陽』『夜明けのロボット』)の第一作。
1954年、つまり50年も前に書かれたSFである。日本での初刊行は1979年。

人口増加の一途を辿り、大気は汚れ、食糧不足に悩みながらドームの中で生活を余儀なくされる未来の地球。宇宙人との遭遇も果たしたが、両者の関係は決してうまくいっているとは言えなかった。そんな折、宇宙人の一人が何者かによって殺された。ニューヨーク・シティの刑事であるベイリは、署長から直々に捜査を依頼されるが、一つだけ条件があった。それは相棒をつけること。彼の名はR・ダニエル・オリヴォー。そう、彼はロボットだったのだ。

さすがはアシモフ。彼の描く未来世界はありきたりなものとは一線を画し、それ故に古びた感じがあまりしない。勿論、50年前と今では状況が違うので、古さを感じえない部分もあるにはあるが。それ以上に、彼の予測能力とアイデアには驚かされる。

SFというジャンルの作品は、未来や並行世界を描きつつも、暗に現在という世界を透かし見れるものが多いが、この作品もそうである。ロボットや宇宙人に対する地球人の差別意識や偏見、プライヴァシーという病、そういった「現代人(ただし50年前)」が置かれている状態を、アシモフはSFという透かしを通して見事に描いている。

それは、物語の核となる「殺人事件」であっても同様で、単純な“フーダニット”でありえるはずがない。そこには恐るべき“ハウダニット”が隠されており、それこそがアシモフがロボットの跋扈する未来世界を通して放った痛烈な皮肉であり、提言なのである。

ただ、個人的には読み進める上で「キツイなあ」と感じる部分も多々あった。例えば、刑事であるベイリのキャラクターである。あまりにも独善的で、それ故にとても「優秀な刑事」には思えない。彼が最初の推理を披露する場面などは、あまりにも独りよがりな推理を強引に進めていくので端から見ていて気の毒になる。

そうした中で、ベイリとダニールの関係が徐々に良好なものへと発展していくわけだが、ロボットであるダニールは当然気持ちの移り変わりは殆どない。ほぼ一方的にベイリのダニールに対する見方が変わっていくだけである。それがまた独善的に感じてしまうのである。人間の勝手な都合で、良き友人にもなり、侮蔑の対象にもなりうる、ということが本質的な問題であることは理解出来る。だが、物語として、このベイリという人間を通じて、それを説かれてもあまり同意できないのだった。

つまるところ50年という隔たりを感じさせるのは未来世界の描き方でも、また言葉遣いの問題でもなく、そういった人間の内面の描き方の多様性なのかもしれない。なんてことを考えてしまうのは先日「構造主義」をちょっと齧ったからなのかもしれないけど。


*1: 伊丹AIHALLでの公演の方ですね

Jul.30,2003 (Wed)

daylife

このところアクション映画ばかり見ているが、今日も『ボーン・アイデンティティ』を見た。感想は明日。

ピドヒールが届いた。早速履いてみた。へー、これは不思議な感じ。確かに歩きやすい。女性用しか売ってませんが、足のサイズが22.5の私は履けるのです。足が小さくて珍しく得したね。

宅配された箱の中には、「いい和雑貨どっとこむ」の編集長からのお手紙も入っていた。自分のところの製品にとても愛着と自信を持っていることが伺えた。こういうフォローがあると、次からも利用しようと思うよね。いい商売してます。
だが、まさか編集長もこれを履いている男がいるとは夢にも思うまい。

涅槃の読書模様

『<性>のミステリー』伏見憲明読了。

購入物。

『ストロボ』真保裕一(新潮文庫)【→bk1へ】

第123回直木賞の候補にも挙がった連作短編集。
一人のカメラマンを主人公に、彼の50代、40代、30代、20代、そして10代へと時間が逆行する形式で編まれている。

【遺影】/【暗室】/【ストロボ】/【一瞬】/【卒業写真】の五編を収録。

相変わらずの手堅い一冊。
カメラマン・喜多川光司が愛機と共に切り取った一瞬のシーン。その一枚のスナップにまつわるエピソードが並んでいるわけだが、一つ一つのエピソードが何がしかの「契機」になっている。

ただ、その一つ一つのエピソードは「巧いなあ」と思わせるものの、アルバムを逆さから捲るように時間の逆行していくスタイルが効果を上げているのかどうか、私には今ひとつわからなかった。並んでいる作品を時代順に読んだとしても違いはない、とは言わない。この書き方ならば、並べられた通り逆行していく方が面白いのは確かだ。ただ、それが「効果」とまでいえるかどうか、私には判じかねた。まあ、効果があったかどうかは別として面白いのは確かなんだけど。

真保裕一は「小役人シリーズ」時代から「心のぐずついた」男を描くのは抜群に巧く、本作でもそれは証明されている。カメラマンとしてそれなりに成功している喜多川だが、それでも「何かが違う」という思いを抱えながら、自分の転機を捜し求めていく。

この、喜多川という主人公と作者である真保裕一を重ね合わせることは容易だ。小説家としてそれなりに成功し、喜多川と同じように50代を迎えようとしている真保裕一に果たして「転機」は訪れるのか。『ホワイトアウト』は一つの転機だったと思うけど。
四度目の候補となった直木賞(*1)もダメだったが、直木賞も一つの転機になりそう。ファンとしては現状に満足しないで前進してくれることを祈るのみです。


*1: 一度目は『ボーダーライン』、二度目は『ダイスをころがせ!』、三度目は本作、四度目は『繋がれた明日』

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